Salesforceの画面に「Einstein」と「Agentforce」、2つのAI機能が並んでいるのを見て、「何が違うの?」と思ったことはありませんか。
名前が何度も変わってきた経緯もあり、混乱するのは当然です。この記事では、EinsteinとAgentforceの違いを“役割”の観点からすっきり整理します。
SalesforceのAI、なぜわかりにくいのか
SalesforceのAIは、2016年の「Einstein」登場以降、何度もブランド名が変わってきました。
| 時期 | 名称 | 役割 |
|---|---|---|
| 2016年 | Einstein | 予測・分析AI |
| 2023年 | Einstein GPT | 生成AIを追加 |
| 2024年前半 | Einstein Copilot | AIアシスタント |
| 2024年後半 | Agentforce | 自律型AIエージェント |
| 2025年〜 | Agentforce 2.0 / 2dx | さらに進化 |
Einstein Copilotが突然「Agentforce」に改名されたり、CRM Analyticsが「Tableau Einstein」になったりと、名前の変遷が混乱の原因です。
ただし、覚えるべきポイントは1つだけ。EinsteinとAgentforceは「役割が違う」ということです。
Einstein = 判断を助けるAI
Einsteinは、データを分析して数値やスコアを提示するAIです。
たとえば、リードの画面を開いたときに「このリードの成約確率は85点」と表示されるのがEinstein Lead Scoringです。商談画面で「この案件は停滞リスクあり」と出るのがDeal Insightsです。
Einsteinの主な機能は次のとおりです。
| 機能 | 何をしてくれるか |
|---|---|
| Lead Scoring | リードの成約可能性をスコア表示 |
| Opportunity Scoring | 商談の受注確度をスコア表示 |
| Deal Insights | 商談の停滞リスクを通知 |
| Forecasting | 売上予測の精度を向上 |
| Case Classification | ケースの自動分類・優先度判定 |
| Next Best Action | 次にとるべきアクションを推薦 |
共通しているのは、Einsteinは「こうした方がいい」と教えてくれるが、実際に手を動かすのは人間という点です。
Agentforce = 代わりに動くAI
一方のAgentforceは、人間の代わりにタスクを実行するAIです。
お客様からの問い合わせに自動で回答したり、リードに対してメールを送ったり、社内のITヘルプデスクとして対応したり。「判断して終わり」ではなく、「判断した上で行動する」のがAgentforceの特徴です。
現在、Agentforceには以下のエージェントが用意されています。
| エージェント | 何をしてくれるか |
|---|---|
| Service Agent | 顧客からの問い合わせに自動応答 |
| SDR Agent | リードへのメール送信・商談獲得 |
| Sales Coach | 営業担当へのロールプレイ指導 |
| Personal Shopper | EC上での商品提案・購入支援 |
| Campaign Agent | マーケティング施策の自動生成 |
AgentforceにはAtlas Reasoning Engineという推論エンジンが搭載されており、「質問を分析→必要なデータを取得→回答を生成→回答の品質を確認」というループを自律的に繰り返します。
10シナリオで見る使い分け
「この業務にはEinstein? Agentforce?」という疑問に、具体例で答えます。
| やりたいこと | 使うべき機能 | 理由 |
|---|---|---|
| リードの優先順位をつけたい | Einstein | スコアリングで数値化 |
| リードに自動でメールを送りたい | Agentforce | SDR Agentが代行 |
| 商談の受注確度を知りたい | Einstein | Opportunity Scoringで予測 |
| 商談のロールプレイで練習したい | Agentforce | Sales Coachが対話 |
| ケースを自動分類したい | Einstein | Case Classificationで振り分け |
| ケースに自動回答したい | Agentforce | Service Agentが対応 |
| 売上予測の精度を上げたい | Einstein | AI Forecastingで分析 |
| 社内ITヘルプデスクを自動化したい | Agentforce | ITサポートAgentが回答 |
| 顧客の解約リスクを検知したい | Einstein | 予測モデルでスコア化 |
| 解約リスクの顧客に自動連絡したい | Agentforce | プロアクティブに行動 |
迷ったときの判断基準はシンプルです。
「数値で知りたい」→ Einstein
「AIに動いてほしい」→ Agentforce
両方を組み合わせるのがベスト
EinsteinとAgentforceは対立するものではなく、補完関係にあるのがポイントです。
たとえば、以下のような連携パターンが考えられます。
パターン1 — 解約防止
1. Einsteinが解約リスクの高い顧客を検知(スコアリング)
2. Agentforceが該当顧客に自動でフォローメールを送信(タスク実行)
パターン2 — リード対応
1. Einsteinがリードをスコアリングして高確度のリードを特定
2. Agentforce SDRが高スコアのリードに自動でアプローチメールを送信
パターン3 — ケース対応
1. Einsteinがケースの内容を自動分類・優先度判定
2. Agentforce Service Agentが低〜中優先度のケースに自動回答
Einsteinが分析・判断し、Agentforceが実行する。この組み合わせによって、人間の介入を最小限にしながら業務を回すことが可能になります。
料金の違い
| 項目 | Einstein | Agentforce |
|---|---|---|
| 基本利用 | Enterprise Edition以上に標準搭載 | 別途ライセンスが必要 |
| 追加費用の目安 | 多くの機能が追加費用なし | 月額$2/会話(従量課金)または月額$125/ユーザー〜 |
| 高機能プラン | Einstein 1 Edition(現Agentforce 1 Edition) | Agentforce 1 Edition — $550/ユーザー/月 |
Einsteinの主要機能(Lead Scoring、Opportunity Scoringなど)は、Enterprise Edition以上であれば追加費用なしで利用できます。
一方、Agentforceは別途ライセンスが必要です。料金体系は以下の3パターンがあります。
従量課金 — 1会話あたり$2(外部顧客向けチャット)
ユーザー単位 — 月額$125/ユーザー(社内利用向け)
Flex Credits — $0.10/アクション(非対話型の処理向け)
まずはEinstein機能で自社データの分析精度を確認し、効果が見えたところでAgentforceの導入を検討するのが現実的なステップです。
まとめ
| Einstein | Agentforce | |
|---|---|---|
| 役割 | 分析・予測・スコアリング | タスク実行・自動対応 |
| 動き方 | 数値を出して人間に判断材料を提供 | 人間の代わりに行動 |
| 代表機能 | Lead Scoring、Deal Insights | Service Agent、SDR Agent |
| 費用 | Enterprise Edition以上で標準搭載 | 別途ライセンス($2/会話〜) |
| 一言で言うと | 「教えるAI」 | 「動くAI」 |
SalesforceのAIは名前が変わりすぎて混乱しがちですが、「教えるAI(Einstein)」と「動くAI(Agentforce)」という2つの役割さえ押さえておけば、今後どんな新機能が登場しても整理できます。