はじめに:「勤怠データ」は経営の宝の山です
毎月の勤怠締め作業、本当にお疲れ様です。
「紙やエクセルでの管理をやめて、kintone(キントーン)でタイムカードを作れないか?」
そう考えて検索してたどり着いた方に、私たちはてなベース(Hatena Base)から、公認会計士の視点も交えた重要なアドバイスがあります。
「勤怠管理のデジタル化を、単なる『ペーパーレス』で終わらせてはいけません」
勤怠データは、単なる出退勤の記録ではありません。会計的には「売上原価(労務費)」の根拠となる極めて重要なデータです。
kintoneを活用すれば、集計作業がなくなるだけでなく、そのデータを活用して「プロジェクトごとの正確な利益計算」や「部署別の生産性分析」といった、経営判断に直結するデータを生み出すことができます。
kintone標準機能の「落とし穴」と連携の必要性
結論から申し上げますと、kintoneの標準機能だけで「給与計算まで直結する完璧なタイムカード」を自作するのは推奨できません。多くの企業が「簡単そうだから」と作り始め、運用開始後に以下の壁に直面しています。
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なぜ「自作」は危険なのか?
1. 複雑な時間計算の壁:
日本の労働基準法は非常に複雑です。「15分単位のまるめ処理」「休憩時間の自動控除」「深夜残業と休日出勤の重複計算」などをkintoneの標準計算式だけで組むのは困難です。JavaScript開発が必要になり、結果的にコストが高つきます。
2. 法改正対応のリスク:
「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率引き上げ」など、法律は頻繁に改正されます。その度に自社アプリを改修し続ける運用は、バックオフィスの負荷を逆に高めてしまいます。
3. 内部統制・監査上のリスク:
IPO(上場)を目指す場合、「誰がいつ勤怠データを修正したか」という監査証跡(ログ)が必須です。kintone標準の変更履歴だけでは、労務監査に耐えうる厳密な管理が難しい場合があります。
【活用事例】はてなベース流!kintoneによる「攻めの勤怠データ分析」
専用システムとkintoneを連携させると、どのような「経営データ」が見えるようになるのでしょうか。私たちのお客様で実際に効果が出ている事例をご紹介します。
事例1:プロジェクト別収支(原価管理)のリアルタイム化
特にシステム開発(SES)、制作会社、士業などの「人が原価」となる業種で必須の連携です。
- 課題: 売上は管理できているが、「誰がどの案件に何時間使ったか」の集計が月末まで分からず、プロジェクトごとの正しい利益が見えていなかった。
- 解決策:
- 勤怠システム(KING OF TIME等)で「総労働時間」を確定。
- kintoneの日報アプリで「案件ごとの工数割合」を入力。
- kintone上で【社員の時給単価 × 案件工数】を自動計算し、案件管理アプリの原価に反映。
- 効果: 「この案件、進捗の割に原価を使いすぎている」といった予実差異がリアルタイムで可視化され、赤字プロジェクトへの早期介入が可能になりました。
事例2:36協定遵守と「隠れ残業」の防止
働き方改革関連法の遵守はもちろん、社員のメンタルヘルスケアにも役立ちます。
仕組み: kintone上で「36協定の上限(月45時間など)」と「現在の残業時間」をグラフで比較。
効果: 危険水準(例:月35時間超過)に達しそうな社員がいれば、kintoneから自動で本人と上長、人事担当者にSlack/Chatwork通知。月末に慌てて調整する必要がなくなり、労務リスクを未然に防げるようになりました。
事例3:freee人事労務 × kintoneによるマスタ一元管理
仕組み: kintoneで「社員名簿」を作成し、入社手続きが完了したらAPI連携で「freee人事労務」に従業員マスタを自動作成。
効果: 入社手続き時の二重入力の手間が消滅。さらに、kintone上の「等級・号俸テーブル」と連動させることで、給与改定時のミスもゼロになりました。
「会計×開発」のはてなベースだからできる、手厚い伴走支援
「連携のメリットは分かったけど、自社の就業規則に合わせた設定ができるか不安…」
「API連携なんて、自分たちでは難しそう…」
ご安心ください。私たちはてなベース株式会社の最大の特徴は、「公認会計士・税理士」と「エンジニア」がチームで伴走する点にあります。
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会計・労務のプロによる要件定義
単にシステムの設定をするだけではありません。「その勤怠ルールは労働基準法的にOKか?」「そのデータ連携で正しい原価計算ができるか?」といった、CFO・管理部長の視点で業務フロー全体を設計します。
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IPO準備にも耐えうる「内部統制」の構築
将来的に上場を目指す企業様には、監査法人対応を見据えた「承認フロー」や「職務分掌(権限設定)」を含めた、堅牢なシステム構築をご提案します。これは一般的なkintoneベンダーには難しい、私たちの得意領域です。
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「現場が使える」までの定着支援
高機能なシステムも、現場が使わなければ意味がありません。マニュアル作成や社内説明会の実施、運用開始後のチャットサポートなど、現場の社員様がストレスなく使えるようになるまで徹底的に伴走いたします。