はじめに:「Difyで、社内のFAQチャットボットを作ってみた。これは、すごい…!」
あなたも今、AIチャットボットの驚くべき手軽さと、その効果を実感している一人かもしれません。そして、同時に、こうも感じているのではないでしょうか。
- 「でも、AIの力は、こんなものじゃないはずだ」
- 「チャットボットだけでなく、もっと複雑な、日々の業務プロセスそのものを、AIに自動化させることはできないだろうか?」
- 「例えば、Webサイトの情報を自動で集めてきて、それを要約し、さらにSNSに投稿する…といった、複数のAIが連携するような、夢の仕組みは作れないものか…」
もし、あなたがDifyの便利さに感動し、その一歩先にある、より広大で、パワフルなAI活用の世界に足を踏み入れたいと考えているなら、この記事は、そのための「新しい地図」です。
今回ご紹介するのは、Difyの次に学ぶべき、次世代のノーコードAIアプリケーション開発プラットフォーム**「Genspark」**です。
Difyが、特定の質問に完璧に答える**「AI専門家」を育てるツールだとすれば、Gensparkは、様々な能力を持つAIたちを組み合わせ、一つの目的のために協業させる「AIオーケストラの指揮者」**になるためのツールです。
さあ、AIチャットボットの、その先へ。あなた自身の“AIオーケストラ”を編成し、複雑な業務を自動化する、壮大なシンフォニーを奏でましょう。
シナリオのご紹介:今日の主人公は、“次のAI活用”を模索するDX推進担当者
この物語は、AIの可能性に気づき、自社の業務改革をさらに推し進めたいと願う、すべての先進的なビジネスパーソンの物語です。
【登場人物】
- 石川さん: 中堅企業のDX推進室に所属するリーダー。30代後半。
【石川さんの課題】
Difyのナレッジベース型チャットボットの有用性は実感したが、次に何をすべきか、壁にぶつかっていた。彼が本当に自動化したいのは、「毎朝、競合他社のWebサイトを巡回し、新着情報があれば、その内容を要約して、関係部署のSlackチャンネルに自動で投稿する」といった、より複雑な業務プロセス。Difyだけでは、この複雑なワークフローを実現するのは難しいと感じていた。
今回は、この石川さんが、Difyの次に学ぶべきツールとして「Genspark」を調査し、その概念を理解し、基本的な使い方をマスター。そして、自社のより高度な業務自動化への道を切り拓いていくプロセスを、一緒に追体験します。
第1章:Gensparkとは何か? Difyと何が“決定的に”違うのか?
まず、GensparkとDifyの、似ているようで全く異なる「思想(コンセプト)」を理解することが、すべての始まりです。
Difyは「特化型のAI職人」
Difyの最大の強みは、**ナレッジベース(知識源)に基づいた、高精度な「AIチャットボット」**を、驚くほど簡単に作れる点にあります。特定の知識を深く学習させ、その範囲内の質問に対して、人間のように自然な対話で、正確に答えさせる。「対話」が中心となるタスクで、絶大な力を発揮します。
Gensparkは「万能型のAIオーケストラ指揮者」
一方、Gensparkの思想は、**「AIエージェント(自律型AI)」**の構築にあります。これは、チャットボットのように、人間の問いかけを待つのではなく、与えられた目的を達成するために、複数のツールやAIを、自ら判断して使いこなし、一連のタスクを自律的に実行する、という考え方です。
Gensparkは、多様な能力を持つ楽団員たち(各種AIモデル、外部ツール)を、あなたの指示(ワークフロー)通りに連携させ、一つの壮大な交響曲(複雑な業務プロセス)を奏でさせることができるのです。
Dify vs Genspark 比較まとめ
観点 | Dify | Genspark |
---|---|---|
思想 | AIチャットボットの構築 | 自律型AIエージェントの構築 |
得意なこと | ナレッジベース型の高精度な対話AIの作成 | 複数のAIやツールを連携させた業務ワークフローの自動化 |
アプローチ | チャットボット中心(LLMに特化) | ワークフロー中心(多様なAIやツールを連携) |
コア機能 | ナレッジベース、プロンプトデバッグ | ビジュアルなワークフロービルダー、多様なAI/ツールの統合 |
難易度 | 初心者向け。すぐに始められる。 | 中級者〜向け。概念の理解と試行錯誤が必要。 |
たとえるなら | 最高の専門店(ラーメン屋、寿司屋) | 何でも揃う総合レストラン(巨大フードコート) |
結論: 「対話型のAIアシスタントが欲しい」ならDifyを、「業務プロセスそのものを自動化したい」ならGensparkを、というように、あなたの目的によって使い分けるのが、最も賢い選択です。
第2章:Gensparkでできること|その驚くべき機能と魅力
Gensparkが「AIオーケストラ」である理由を、その具体的な機能から、さらに深く見ていきましょう。
- 【魅力①】ビジュアルなワークフロービルダー: プログラミングコードを一行も書くことなく、画面上でノード(処理の単位)をドラッグ&ドロップし、線で繋ぐだけで、複雑な処理の流れを直感的に設計できます。
- 【魅力②】豊富なAIモデルの統合: GPT-4o, Claude 3, Gemini 1.5 Proといった世界最高峰のLLMを、まるで楽器を持ち替えるように、自由に切り替えたり、組み合わせたりできます。
- 【魅力③】圧倒的なマルチモーダル対応: テキスト(LLM)以外のAI(画像生成、音声認識、動画生成など)も、同じワークフローの中でシームレスに扱えます。
- 【魅力④】強力な外部ツール・API連携: Web検索、Webサイトのスクレイピング、あらゆる外部サービスのAPIを、ワークフローの一つの部品として、自由に組み込むことができます。
第3章:実践編|Gensparkを始めてみよう!最初のAIエージェント構築ステップ
百聞は一見に如かず。石川さんと一緒に、Gensparkで簡単なAIエージェントを構築してみましょう。ここでのゴールは、「Gensparkの基本的な考え方と操作感」を掴むことです。
お題:指定した会社のWebサイトを読み込み、事業内容を要約し、Slackに通知するAIエージェント
- アカウント作成と画面の見方: Genspark公式サイトからサインアップし、「Create New Agent」で新しいエージェントの作成画面(キャンバス)を開きます。
- 最初のAIエージェント(ワークフロー)を設計する:
- 【トリガーの設定】: 「Trigger」で「Manually(手動実行)」を選択します。
- 【ノードの配置と接続】:
- a. User Inputノード: ユーザーがURLを入力する箱(変数名: company_url)を配置。
- b. Fetch Websiteノード: User Inputで入力されたURLを読み込むノードを配置。
- c. LLMノード: AIモデル(例: Gemini 1.5 Flash)を選択し、プロンプトに「添付されたWebサイトの本文({{本文の変数}})を読み込み、事業内容を300字以内で要約してください。」と指示。Fetch Websiteの出力をこのノードの入力に接続します。
- d. Slackノード: Slackと連携設定し、LLMノードの出力結果({{LLMの出力結果}})を指定したチャンネルに投稿するように設定。
- 実行と結果の確認: 「Run」ボタンを押し、URLを入力して実行します。数秒後、指定したSlackチャンネルに、AIが要約した事業内容が、自動で投稿されれば成功です!
「すごい…こんなに簡単に、一連の流れが作れてしまうのか…!」石川さんは、Gensparkの持つ、無限の可能性を確信した瞬間でした。
第4章:活用事例|Gensparkが可能にする、一歩先の“インテリジェント”な業務自動化3選
基本的な使い方が分かったところで、Gensparkが、いかにして私たちの業務を、より高度で、知的なレベルで自動化できるか、その具体的な活用事例を見ていきましょう。
事例①:【自律型AIリサーチャー】競合のプレスリリースを24時間自動監視&要約
1時間ごとに競合サイトを巡回し、新しい情報があればその内容をAIが要約・分類し、関係部署のSlackチャンネルに自動投稿するワークフローです。
事例②:【AI採用アシスタント】応募者の職務経歴書をAIが“一次面接”する
Google Driveに新しい職務経歴書がアップされたら起動。AIが採用要件と照らし合わせて候補者を評価し、「強み」「懸念点」「面接での質問リスト」を生成して、人事担当者にメールで自動送信するワークフローです。
事例③:【AIコンテンツ・ファクトリー】一つのテーマから、ブログ記事・SNS投稿・画像を“全自動”で一括生成
人間が「ブログ記事のテーマ」を入力するだけで、AIがWebリサーチ、ブログ執筆、SNS投稿文生成、アイキャッチ画像生成までを一気に行い、Google Driveにすべてを保存するワークフローです。
第5章:注意点と今後の展望
- 学習コスト: Difyに比べて、できることが多い分、その概念(エージェント、ワークフロー、ノードなど)を理解し、使いこなすには、ある程度の学習と試行錯誤が必要です。
- 実行コスト(クレジット): 複雑なワークフローや高性能なAIモデルを頻繁に呼び出すと、クレジットを消費します。コストを意識した設計が重要になります。
- 日本語情報の少なさ: まだ比較的新しいツールのため、日本語のドキュメントやコミュニティは充実していません。フロンティア精神が求められます。
まとめ:専門家から、AIを操る“指揮者”へ
Difyが、一つのタスクをこなす「専門家」を育てるツールだとすれば、Gensparkは、それら無数の専門家たちを束ね、より大きな目的を達成させるための「プロジェクトチーム」を、自分自身の手で編成するようなものだと、彼は理解しました。
これからのビジネスの世界で求められるのは、個別のタスクをこなす能力だけではありません。様々な能力を持つAIやツールを、いかにして賢く組み合わせ、自社の課題を解決する「仕組み(ワークフロー)」を設計し、指揮できるか。そんな**「AIオーケストラの指揮者」**としての能力こそが、あなたの、そしてあなたの会社の未来を、決定づけるのかもしれません。
DifyでAI活用の第一歩を踏み出したあなた。次は、Gensparkという指揮棒を手に、あなただけのシンフォニーを奏でてみませんか?
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今回ご紹介したGensparkのようなAIエージェントプラットフォームの活用は、DX推進の、まさに最先端です。「自社の、どの業務が、AIエージェントによって自動化できるのか、専門家と一緒に洗い出したい」「DifyやGensparkのようなノーコード/ローコードAIプラットフォームを使いこなし、社内でAIソリューションを内製できる“DX推進人材”を育成したい」「AIの活用だけでなく、その際のセキュリティポリシーや、コスト管理、そして組織全体の文化醸成まで、包括的なサポートが欲しい」
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