Difyで内定者フォロー革命!“内定辞退”を防ぐAIチャットボットの作り方 | はてなベース株式会社

Difyで内定者フォロー革命!
“内定辞退”を防ぐAIチャットボットの作り方

はてなベース株式会社 公式ブログ

はじめに

「内定承諾、ありがとうございます!」

採用担当者として、これほど嬉しい言葉はありません。しかし、同時にあなたは、こうも感じているはずです。「本当の戦いは、ここからだ」と。

内定承諾から入社までの、数ヶ月から時には一年近くに及ぶ、長い「内定者フォロー期間」。この期間の過ごし方が、入社後の活躍、そして何より“内定辞退”という最悪の事態を防ぐための鍵を握っています。

しかし、現実はあまりに多忙です。あなたのデスクには、こんな問い合わせが繰り返し寄せられていませんか?

  • 「研修はいつから始まりますか?」
  • 「配属先はいつ頃わかりますか?」
  • 「家賃補助の制度について、詳しく教えてください」
  • 「おすすめのPCスペックはありますか?」

もし、あなたがこの、重要でありながらも非効率な状況に、少しでも課題を感じているなら、この記事はあなたのための「決定的な解決策」です。

今回ご紹介するのは、プログラミング知識ゼロで、驚くほど簡単にAIチャットボットを構築できるツール「Dify」を使い、24時間365日、内定者のあらゆる疑問に自動で答える「内定者専用AIコンシェルジュ」を、あなた自身の手で作り上げる具体的な方法です。

この記事を読み終える頃、あなたは以下のスキルと未来を手にしています。

  • 繰り返し発生する質問対応の工数を8割以上削減する、具体的なチャットボット構築の全ステップ
  • Difyの基本的な使い方と、人事領域で活用するためのノウハウ
  • 内定者の不安をリアルタイムで解消し、エンゲージメントを高め、内定辞退率を低下させる新しい仕組み
  • 単純作業をAIに任せ、採用担当者が「人間ならではの価値」を発揮できる、新しい働き方

もう、同じ質問に何度も答える日々に終止符を打ちましょう。AIという頼れる新入社員をチームに迎え入れ、あなたの内定者フォローを、次のステージへと進化させるのです。

シナリオのご紹介:今日の主人公は、新卒採用担当者

この物語の主人公は、多くの企業で未来の才能を採用するために奮闘する、あなた自身かもしれません。彼女の直面する課題と解決のプロセスに、ぜひご自身の業務を重ね合わせてみてください。

【登場人物】

  • 佐藤さん: 中堅ソフトウェア開発会社「株式会社コードウェーブ」の人事部・新卒採用担当。毎年30名ほどの新卒内定者の採用から入社までをフォローしている。
  • 会社の状況: 事業は順調に成長しているが、人事部門は少数精鋭。効率化できる業務は積極的に効率化し、より戦略的な業務に時間を割きたいと考えている。

【佐藤さんの課題】

内定承諾後、内定者から寄せられる質問の多くが、すでに配布した「入社のしおり」に書かれている内容や、社内規定に関する定型的なものであることに気づいている。しかし、内定者にとっては聞き慣れない言葉も多く、資料を読むだけでは不安なため、直接人事に聞きたいという気持ちも理解できる。この質問対応に、特に内定者フォローが本格化する12月~3月にかけて、業務時間のかなりの部分を割かれている。また、担当者が複数いるため、時として回答のニュアンスにズレが生じ、内定者を混乱させてしまうこともあった。

今回は、この佐藤さんが、無料から使えるノーコードAIプラットフォーム「Dify」を使い、この長年の課題を解決していく全プロセスを、実際の操作画面のイメージと共に、ステップ・バイ・ステップで解説します。

第1章:なぜ今、「AIチャットボット」による内定者フォローが必要なのか?

Difyの具体的な使い方に入る前に、なぜ従来の電話やメールによるフォローだけでは不十分で、AIチャットボットがこれからの時代の「必須ツール」となりつつあるのか、その背景を理解しておきましょう。

現代の内定者の「当たり前」を理解する

Z世代やα世代と呼ばれる現代の若者たちは、完全なデジタルネイティブです。彼らにとって、疑問や問題が発生した際に取る行動は、私たち世代とは大きく異なります。

  • 即時性を求める: わからないことがあれば、その場でスマートフォンを取り出し、検索して「すぐに」答えを得るのが当たり前。
  • テキストコミュニケーションが基本: 電話での問い合わせには心理的なハードルを感じる一方、チャットでのやり取りには全く抵抗がない。
  • 時間を問わない: 不安や疑問は、深夜や休日、ふとした瞬間に訪れる。

従来の「平日の9時~18時の間に、電話かメールで問い合わせる」というフォロー体制は、もはや彼らのライフスタイルや行動様式に合っていないのです。

従来のフォロー体制が抱える「3つの限界」

  • 時間的制約の限界: 人事担当者の対応は勤務時間内に限られます。内定者が最も不安を感じる夜間に寄り添うことができません。
  • 情報の一貫性の限界: 担当者によって回答の粒度やニュアンスが異なれば、内定者はかえって不安や不信感を抱きかねません。
  • リソースの限界(機会損失): 定型的な質問対応に時間を奪われるほど、より付加価値の高いフォロー活動に使えるリソースが失われていきます。

Difyで作成するAIチャットボットは、これらの限界をすべて解決します。24時間、常に一貫した品質で、定型業務をこなし、人間がより創造的な仕事に集中するための時間を生み出してくれるのです。

第2章:Difyとは? なぜ人事担当者でも“簡単に”使えるのか?

「AIチャットボットなんて、エンジニアじゃないと作れないでしょう?」

一昔前なら、その通りでした。しかし、「Dify」の登場が、その常識を覆しました。

Difyを一言で表すなら、「AIアプリケーションを作るための、超高性能な“料理キット”」です。

  • プログラミング知識は一切不要!: 食材(データ)を用意し、レシピ(指示)を書けば、あとはDifyが自動で美味しい料理(AIアプリ)を作ってくれます。
  • 自社の情報を賢くする: あなたが持っているPDF、Wordなどをアップロードするだけで、Difyがその内容をAIに学習させ、あなたの会社専用の「賢い脳(ナレッジベース)」を自動で構築します。
  • 低コストで始められる: Difyはオープンソースであり、クラウド版も無料で試せるプランが用意されています。

Difyは、これまで専門家の領域だったAI開発のハードルを劇的に下げ、私たちのようなビジネスサイドの人間が、自らの手で業務課題を解決するための、強力な武器となるツールなのです。

第3章:実践編|Difyで「内定者専用AIコンシェルジュ」を作る全ステップ

お待たせしました。いよいよ、佐藤さんと一緒に、実際にDifyを使ってチャットボットを構築していくプロセスを見ていきましょう。一つひとつのステップを丁寧に進めれば、誰でも必ず完成させることができます。

【ステップ1】ナレッジの準備:AIの「教科書」を作る

AIチャットボットは、学習データ(ナレッジ)がなければ、ただの箱です。まずは、AIに学習させるための「教科書」となるデータを用意しましょう。佐藤さんは、PC内の様々なフォルダに散らばっていた情報を、一つのフォルダにまとめました。

  • よくある質問リスト(FAQ): これまでExcelで管理していたQ&AリストをCSVファイル形式で保存。
  • 入社案内のしおり(PDF): 内定者に配布しているPDFファイル。
  • 社内規定の一部(テキスト): 副業規定や服装規定など、特によく質問される部分をWordなどにコピー&ペーストして保存。

ポイント: 最初から完璧なデータを用意する必要はありません。まずは、手元にあるもの、特に「頻繁に聞かれる質問」に関する情報から準備しましょう。

【ステップ2】Difyアプリの作成:チャットボットの“脳”を作る

教科書が準備できたら、いよいよDifyの登場です。

  1. Difyにサインアップ・ログイン: Difyの公式サイトにアクセスし、アカウントを作成してログインします。
  2. 新しいアプリを作成: スタジオ画面で「アプリを作成」をクリックし、「チャットボット」を選択します。アプリ名を「内定者AIコンシェルジュ」と入力します。
  3. ナレッジのアップロード: アプリ作成後、左側のメニューから「ナレッジ」を選択します。「ナレッジを作成」をクリックし、ステップ1で用意したファイルを、ドラッグ&ドロップでアップロードします。

Difyが自動的にファイルを解析し、AIが理解しやすいようにデータを細かく分割・整理してくれます。この時点で、チャットボットの「脳」の大部分は完成です。

【ステップ3】AIへの“しつけ”:キャラクターと応答ルールを設定する

次に、このチャットボットに、あなたの会社らしい「人格(ペルソナ)」を与え、会話のルールを教え込みます。左側のメニューから「プロンプト」を選択し、「システムプロンプト」に指示を書き込みます。

【プロンプト例:AIへの役割指示】

# あなたの役割と指示書

あなたは、株式会社コードウェーブの人事部アシスタントAI「コーディー」です。これから、内定者からの質問に回答します。以下のルールを厳格に守ってください。

## あなたのペルソナ
- **名前**: コーディー
- **話し方**: 常に親しみやすく、ポジティブで、丁寧な言葉遣いを心がけてください。内定者の先輩のような、少しフレンドリーな口調が理想です。絵文字も効果的に使って、温かみのあるコミュニケーションを演出してください。

## 回答のルール
1. **ナレッジ第一主義**: 回答は、必ずアップロードされたナレッジの内容にのみ基づいて生成してください。
2. **不明な場合の対応**: ナレッジに記載がない質問をされた場合は、絶対に知ったかぶりをしてはいけません。その場合は、必ず「ごめんね、その質問は僕の知識の中にはないみたいなんだ…!💦 大事なことだと思うから、お手数だけど人事担当の佐藤さん(sato@codewave.jp)に直接メールで聞いてみてくれるかな?」と回答してください。
3. **会話の終わり方**: 回答の最後には、必ず「他に何か知りたいことはあるかな?😊」という一文を付け加えてください。

【ステップ4】テストと調整:AIと対話してチューニングする

設定が完了したら、公開前に必ずテストを行います。右側の「デバッグとプレビュー」画面で、内定者になりきって、様々な質問を投げかけてみます。

テスト会話の例

あなた: 「家賃補助について教えてください」

コーディー: 「家賃補助制度だね!『入社のしおり』によると、会社から3km以内に住む場合は、月額3万円の住宅手当が支給されるよ。申請方法の詳細は、入社後のオリエンテーションで説明するからね!他に何か知りたいことはあるかな?😊」

あなた: 「社長の好きな食べ物は何ですか?」

コーディー: 「ごめんね、その質問は僕の知識の中にはないみたいなんだ…!💦 大事なことだと思うから、お手数だけど人事担当の佐藤さん(sato@codewave.jp)に直接メールで聞いてみてくれるかな?」

AIが指示通りに、そして正確に動作することを確認します。もし回答が不正確なら、ナレッジやプロンプトを修正して精度を高めていきます。

【ステップ5】公開と展開:内定者にAIコンシェルジュを届ける

テストが完了したら、画面右上の「公開」ボタンを押し、「埋め込み」セクションからURLをコピーします。このURLを、内定者専用ポータルサイトなどに設置し、案内メールを送れば、定型的な質問対応の自動化が実現します。

第4章:応用編|チャットボットをさらに進化させるアイデア

  • 新入社員オンボーディングへの活用: ナレッジを「経費精算の方法」「社内ツールの使い方マニュアル」といった、新入社員向けのFAQに入れ替えるだけで、「新入社員専用の教育係」に進化します。
  • 利用ログの分析で、先回りフォロー: Difyの会話ログから「どの質問が最も多くされているか」を分析し、次年度の案内の改善や、先回りした情報提供に繋げます。
  • 他部署への横展開: この成功事例を基に、「社内ITヘルプデスクボット」や「営業向け製品FAQボット」など、他部署の業務効率化を支援します。

第5章:注意点と成功の秘訣

  • 最初から「完璧」を目指さない: まずは「よくある質問TOP20に、8割の精度で答えられれば上出来」というマインドで、スモールスタートしましょう。
  • AIと人間の「役割分担」を明確にする: 定型的な情報提供はAI、感情的なケアや個別性の高い対応は人間、というハイブリッドな体制が最高のフォローアップを実現します。

まとめ:人事担当者は「質問応答係」から「エンゲージメントデザイナー」へ

DifyでAIコンシェルジュを導入した佐藤さん。結果として、内定者からの定型的な質問対応にかかる時間は、実に8割以上も削減されました。

しかし、本当の成果は、削減された時間の「使い方」にありました。彼女は、これまで対応業務に追われていた時間を、内定者一人ひとりとの1on1面談や、内定者同士の繋がりを深めるためのオンラインイベントの企画といった、より創造的で、エンゲージメントを高めるための活動に使えるようになったのです。

これからの内定者フォローは、AIによる効率的で即時性の高い「情報提供」と、人間による温かみのある「感情的サポート」の、両輪で駆動する時代になります。

Difyは、そのための第一歩を踏み出す、最高のツールです。あなたも、AIという頼れる部下をチームに迎え、内定者フォローを、そしてあなた自身の働き方を、アップデートしませんか?

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今回ご紹介した内定者フォローの自動化は、人事DX(HR-DX)のほんの一例です。

「AIで職務経歴書を自動スクリーニングし、採用工数を削減したい」「社員のエンゲージメントサーベイの結果を、AIで分析し、組織課題を可視化したい」「社員一人ひとりに最適化された、AIによる研修プログラムを設計したい」

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