赤字でも払うの?
法人住民税「均等割」を徹底解説!
freee会計で賢く対応
新しく会社を立ち上げたばかりの方、あるいは厳しい経営状況を乗り越えようと奮闘されている経営者の方にとって、事業が利益を上げていない時期に届く税金の通知は、時に困惑の種となるかもしれません。「なぜ赤字なのに税金を払わなければならないのだろう?」そう疑問に思うのは、決してあなただけではありません。
この記事では、特に税務に詳しくない小規模事業者(従業員数10名程度の同族会社を想定)の経営者の方々を対象に、その「謎の税金」とも言える法人住民税の「均等割(きんとうわり)」について、わかりやすく解説します。均等割とは一体何なのか、なぜ存在するのか、そして、おおよそどれくらいの金額になるのか、基本的なところから丁寧にご説明します。
人気のクラウド会計ソフト「freee会計」を活用した均等割の管理方法や、日々の経理業務を効率化するヒントにも触れていきます。本記事の情報は、国税庁や各地方自治体の公表資料など、信頼性の高い情報源に基づいており、公認会計士・税理士による監修を受けています。税金に関する不安を少しでも解消し、賢い会社経営の一助となれば幸いです。
1そもそも法人住民税「均等割」とは?
法人住民税の「均等割」について理解を深める前に、まず「法人住民税」そのものがどのような税金なのかを押さえておきましょう。
法人住民税とは?
法人住民税は、法人が事業所や事務所を置いている都道府県および市町村に対して納める地方税です。個人の住民税に法人版がある、と考えるとイメージしやすいかもしれません。この法人住民税は、大きく分けて次の2つの要素で構成されています。
- 法人税割(ほうじんぜいわり):国に納める法人税の額を基にして計算される部分です。したがって、会社の利益が出ておらず、国への法人税の納税額がゼロであれば、基本的にこの法人税割もゼロになります。
- 均等割(きんとうわり):こちらが本記事の主役です。均等割は、法人税割とは異なり、会社の利益とは関係なく課される固定の金額です。
「均等割」を深掘り
均等割は、その名の通り「等しく割って負担する」という意味合いを持ちます。より具体的に言えば、「法人がその地域社会の一員として存在すること自体に対して支払う、一種の基本的な年会費や地域貢献費のようなもの」と捉えることができます。
- 特徴1:赤字でも支払い義務がある
これが多くの方を悩ませる点ですが、均等割は、会社がその事業年度で赤字であったとしても、原則として支払わなければならない税金です。 - 特徴2:金額は会社の規模で決まり、利益とは無関係
均等割の具体的な金額は、会社の利益の多寡ではなく、その会社の「資本金等の額」と、その自治体内にいる「従業員数」という2つの「規模」を示す指標によって決まります。
なぜ均等割は存在するのか?~「応益負担」の考え方~
では、なぜ利益が出ていなくても、この均等割を支払う必要があるのでしょうか。その背景には「応益負担(おうえきふたん)」という考え方があります。
これは、法人はその地域に事業所を置くことで、道路や橋の整備、ゴミ収集、消防・救急、警察といった様々な行政サービスの間接的な恩恵(利益)を受けているという考え方です。たとえその期に利益が出なかったとしても、これらの行政サービスがなければ事業活動自体が成り立ちにくいため、その費用の一部を地域社会の構成員として広く公平に負担し合うべき、というのが均等割の基本的な趣旨です。
2均等割はいくら?~小規模企業のケース~
均等割の基本的な考え方がわかったところで、次に気になるのは「具体的にいくらくらいかかるのか」という点でしょう。
小規模企業の具体例
多くの小規模企業に当てはまるケース、例えば資本金が1,000万円以下で、従業員数が50人以下の会社を考えてみましょう。
- 東京都23区内に事業所が1つだけある場合:
この規模の会社であれば、年間の均等割額は通常 70,000円 となります。これは、都道府県民税と市町村民税の合計額です。 - その他の市町村の場合:
法人住民税は「都道府県民税」と「市町村民税」の2つに分かれ、それぞれを各自治体に納付する必要があります。税率は自治体によって異なりますが、最も小規模な法人の場合、合計で年額 70,000円程度 が最低ラインとなるのが一般的です。
参考:均等割額の目安(小規模企業向け)
所在地例 | 資本金等の額 | 従業員数 | 年間均等割額の目安(合計) |
---|---|---|---|
東京都23区内 | 1,000万円以下 | 50人以下 | 70,000円 |
一般的な地方都市 (例:上越市モデル) |
1,000万円以下 | 50人以下 | 約70,000円~ |
事業年度の途中で設立・廃止した場合(月割計算)
会社を設立した事業年度や、事業年度の途中で事務所を開設・廃止した場合、その事業年度の均等割は月割りで計算されます。計算方法は、原則として「(年間均等割額 × 存在した月数) ÷ 12ヶ月」となります。月数の数え方には端数処理のルールがあるため注意が必要です。
3均等割はいつ、どうやって納めるの?
納付期限 – 守るべき大切な期日
法人住民税の申告と納付の期限は、原則として「事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内」と定められています。例えば、決算日が3月31日の場合、申告と納付の期限は通常、5月31日となります。
納付方法 – 多様化する選択肢
均等割の納付方法には、近年ますます多様な選択肢が提供されています。
- 金融機関や税事務所の窓口での納付
- eLTAX(エルタックス)を利用した電子納税
- コンビニエンスストアでの納付
- クレジットカード納付
- スマートフォン決済アプリ
- 口座振替/銀行振込
どの納付方法が利用可能かは自治体によって異なるため、公式ウェブサイト等で最新の情報を確認してください。
4freee会計は、あなたの経理業務をどうサポートするか
日々の事業運営、顧客対応、そして成長戦略の策定と、小規模事業の経営者は常に多忙です。このような課題に対し、クラウド会計ソフト「freee会計」は、経営者の強力な味方となります。
- 日々の記帳作業を自動化・効率化:銀行口座やクレジットカードの取引明細を自動で取り込み、記帳作業を大幅に削減します。
- 正確な財務諸表(決算書)の作成:簡単な操作で損益計算書や貸借対照表を作成できます。
- 税金の支払い記録も正確に管理:支払った均等割を「租税公課」などの勘定科目で簡単に登録し、支出を正確に記録できます。
- 税務申告に向けた準備を円滑に:「freee申告」と連携すれば、法人税申告書の作成から電子申告までを一気通貫で行うことが可能です。
- 税理士との連携もスムーズに:会計データをリアルタイムで共有し、円滑なコミュニケーションを実現します。
freee会計を導入・活用することは、均等割という特定の税金への対応だけでなく、会社全体の経理財務プロセスの効率化、正確性の向上、そして経営判断に必要な財務情報の可視化に繋がります。
5ここが違う!均等割と法人税割
ここで改めて、法人住民税のもう一つの構成要素である「法人税割」との違いを明確にしておきましょう。この二つは同じ「法人住民税」という枠組みの中にありながら、その性質は大きく異なります。
均等割と法人税割の比較
特徴 | 均等割(きんとうわり) | 法人税割(ほうじんぜいわり) |
---|---|---|
計算の基礎 | 会社の資本金等の額および従業員数 | 国に納める法人税額(利益に応じて変動) |
赤字の場合 | 原則として支払い義務あり | 原則として支払い義務なし |
税の性格 | 地域の行政サービスへの会費的な性格 | 会社の儲け(所得)に対して課される |
金額の変動性 | 会社の規模により固定 | 会社の利益額に比例して変動 |
この根本的な違いを理解することは、自社の地方税負担を正確に把握し、適切な資金計画を立てる上で非常に重要です。
✓結論:均等割を理解し、賢く経営する
法人住民税の均等割は、会社を設立し事業を続ける以上、避けて通れない税金の一つです。その本質は、法人が地域社会から受ける様々な行政サービスの対価として支払う、いわば「地域社会への参加費」のようなものです。
重要なのは、この均等割の額は会社の利益の有無にかかわらず、資本金や従業員数といった「規模」によって決定されるという点です。一度理解してしまえば、均等割は予測可能で計画的な経費として、事業運営のコストに織り込むことができます。
日々の経理業務の負担を軽減し、税務申告の準備をスムーズに進めるためには、「freee会計」のようなクラウド会計ソフトの活用が非常に有効です。これらのツールは、経営者が本来の事業活動に専念できる時間を生み出してくれます。
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この記事は、国税庁や地方自治体のウェブサイト・公開資料、およびその他の信頼できる情報源を参考に、細心の注意を払って作成されており、はてなベース税理士事務所の監修を受けています。しかしながら、税法および関連する規定は改正されることがあり、また、個別の具体的な状況によって税務上の取り扱いが異なる場合があります。したがって、本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。具体的な税務処理や申告手続き等については、必ず貴社ご担当の税理士にご相談いただくか、管轄の税務署または地方自治体の税務担当窓口にご確認くださいますようお願い申し上げます。
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