経理の月次処理を9割時短!Dify×OCRで請求書の不備チェックを自動化する方法 | はてなベース株式会社

経理の月次処理を9割時短!
AIが請求書の“不備”を自動検知する、驚異のDify×OCR活用術

はてなベース株式会社 公式ブログ

はじめに:「月末は、経理部にとって戦場だ」

静かなオフィスの中で、あなたのチームは、今日もまた、山のように積み上がった「紙」と、Excelの画面、そして会計ソフトの間を、何度も往復していませんか?

協力会社やフリーランスから送られてくる、数十、数百の請求書。その一枚一枚を、あなたは、虫眼鏡を使うような集中力で、チェックしていく。

「あれ、この請求書、請求書番号が書いてない…」「消費税の計算が、1円だけ合わない…」「振込先口座の名義が、会社名じゃなくて個人名になっている…」

これらの、細かくも重大な**「不備」**を見つけるたびに、あなたの仕事は中断される。担当者に確認のメールを送り、差し戻し、再発行を待つ。この、コミュニケーションコストと、精神的なストレスは計り知れません。

もし、あなたがこの、毎月繰り返される**「請求書処理地獄」**に、身も心もすり減らしているのなら、この記事は、その地獄からあなたを解放するための「現代の錬金術」です。

今回ご紹介するのは、GoogleのAI「Gemini」のOCR機能と、ノーコードAIアプリ開発ツール「Dify」を組み合わせ、これまで人間が目視で行っていた請求書のデータ抽出と、“不備のチェック”までを、AIに全自動で行わせる、画期的な業務改善フローです。

この記事を読み終える頃、あなたは以下のスキルと未来を手にしています。

  • 請求書処理における、ヒューマンエラーと時間浪費の根本原因
  • DifyとAI-OCRを使い、請求書の不備チェックAIを、プログラミング知識ゼロで構築する全ステップ
  • 請求書のチェック・入力にかかる時間を9割以上削減し、月次処理を劇的に高速化する具体的なイメージ
  • 単純作業から解放され、経費分析やキャッシュフロー改善といった、より戦略的で、付加価値の高い経理業務に集中できる、新しい働き方

もう、請求書の山を前に、ため息をつく必要はありません。AIという、超有能で、文句一つ言わない経理アシスタントをチームに加え、あなたの会社の月次処理を、次のレベルへと進化させましょう。

シナリオのご紹介:今日の主人公は、“請求書処理”に疲弊する経理担当者

この物語は、企業の財務を支える、すべての経理担当者の物語です。彼女の抱える課題と、AIによる劇的な業務改革プロセスに、ぜひご自身の日常を重ね合わせてみてください。

【登場人物】

  • 山田さん: 従業員200名規模の広告代理店「株式会社クリエイティブ・パートナーズ」の経理担当。20代後半。

【彼女の課題】

毎月、月末から月初にかけて、多数の外部クリエイターや協力会社から送られてくる、フォーマットの異なる100枚以上の請求書(PDFや紙)の処理に、数日間を費やしている。特に、請求書に記載漏れや計算ミスといった「不備」が多く、その確認と差し戻しのやり取りに、多大なストレスと時間を奪われている。この作業のせいで、月末月初の残業が常態化しており、本来やるべき、経費全体の分析や、予実管理といった仕事に、全く手が付けられていない。

今回は、この山田さんが、**毎月繰り返される、苦痛な「請求書チェック地獄」**をテーマに、DifyとGeminiのOCR機能を組み合わせ、その業務フローを根本から変革していく道のりを、誰にでも分かるように、超具体的に解説していきます。

第1章:なぜ、あなたの会社の月次処理は“遅く、そして間違いだらけ”なのか?

AI活用の話に入る前に、なぜ、多くの企業で、月次処理がこれほどまでに非効率で、ミスの温床となっているのか、その構造的な問題を理解しておきましょう。

従来の「目視による請求書処理」が抱える、根深い“病”

  • 【病①】非効率の極み: 経理担当者は、会計や税務の専門知識を持つ、高度な人材です。その貴重な人材が、付加価値ゼロの単純作業に、毎月、何十時間も費やしています。
  • 【病②】ヒューマンエラーという時限爆弾: 人間が作業する以上、ミスを100%防ぐことは不可能です。金額のゼロを一つ見間違える、振込先を間違える、そして、致命的な「不備を見逃す」。これらは深刻な経営リスクに直結します。
  • 【病③】属人化という名のブラックボックス: 重要なチェックのノウハウが、特定のベテラン担当者の“頭の中”にしか存在しない。その人が休んだり、退職したりした途端、業務が完全に麻痺してしまいます。

これらの病を根本から治療する処方箋は、**「チェック業務の“標準化”と“自動化”」**です。AIは、疲れ知らずで、常に一貫した基準で、網羅的にチェックを実行することで、この処方箋を、かつてないレベルで実現してくれるのです。

第2章:Dify × AI-OCR:最強の“経理アシスタントAI”の仕組み

今回の業務改革の主役は、**「Dify」と「GeminiのAI-OCR機能」**です。この2つを組み合わせることで、驚くべき自動化が実現します。Difyの**「プロンプトエンジニアリング」機能を使うことで、単なるOCR(テキスト化)では不可能な、「ルールに基づいた、高度で、知的な判定」**を、プログラミング知識ゼロで、非常に柔軟に設計できるからです。

第3章:実践編|DifyとAIで創る「請求書不備チェック」自動化フローの全ステップ

お待たせしました。いよいよ、経理担当の山田さんと一緒に、Difyを使って「請求書不備チェックAI」を構築していく具体的なプロセスを、ステップ・バイ・ステップで見ていきましょう。

【ステップ1】チェックリストの作成:AIの“判断基準(ものさし)”を定義する

AIによる自動化で、最も重要なプロセスは、人間が「何を、どう判断しているのか」を、明確に言語化することです。山田さんはまず、自分が普段、請求書をチェックする際に、無意識に頭の中で行っている確認項目を、すべて書き出しました。

【山田さんの請求書チェックリスト】

  • 請求書番号は、必ず記載されているか?
  • 請求日は、当月(または、支払対象月)の日付になっているか?
  • 宛名(当社名)は、「株式会社クリエイティブ・パートナーズ」と、正式名称で正しく記載されているか?
  • 請求元(取引先名)は、明確に記載されているか?
  • 振込先の口座情報(銀行名, 支店名, 口座種別, 口座番号, 口座名義)は、すべて漏れなく記載されているか?
  • 小計、消費税額、合計金額の関係は、計算上、数学的に正しいか?
  • 源泉徴収税の対象となる取引の場合、源泉徴収税額が記載され、正しく計算されているか?

【ステップ2】Difyアプリの作成と“しつけ”:AI経理担当者を育成する

次に、Difyで、このチェックリストに基づいて判断を下す、AIの「脳」を作成します。アプリ作成時に、「テキスト生成」タイプのアプリを選択するのがポイントです。

【プロンプト例1:AIへの役割とチェックルールの指示】

# あなたの役割と厳格な指示書

あなたは、1円のミスも見逃さない、非常に厳格で、細部までこだわり抜く、当社の経理部長です。
あなたの唯一の仕事は、これから入力される「請求書のテキストデータ」を読み込み、以下の「請求書チェックリスト」に基づいて、不備がないかを完璧に監査することです。

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**## 請求書チェックリスト(監査基準)**
(ここに、ステップ1で作成したチェックリストの1~7を、そのまま貼り付ける)
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## 出力指示(この形式を厳守すること)
- 上記のチェックリストをすべて確認し、一つも問題がなければ、「【判定:OK】この請求書に不備は見当たりませんでした。」と出力してください。
- もし、一つでも違反する「不備」を発見した場合は、「【判定:NG】以下の不備が確認されました。」とその下に不備内容を箇条書きで出力してください。

【ステップ3】AI-OCRとの連携:請求書をAIに“読ませる”

物理的な請求書(PDFや画像)を、Difyが処理できる「テキストデータ」に変換します。この役割を担うのが、GeminiのOCR機能です。

【プロンプト例2:GeminiによるOCRでのテキスト化】

この請求書PDFファイルの内容を、レイアウトを保持しようとせず、書かれているすべての文字情報を、プレーンなテキストとして、正確に書き出してください。

【ステップ4】不備チェックの実行:AIによる“自動監査”の瞬間

いよいよ、クライマックスです。山田さんは、Geminiがテキスト化した請求書データをコピーし、Difyの「請求書不備チェックAI」の入力欄に貼り付けて、「実行」ボタンをクリックしました。

Difyの出力結果(不備があった場合の例)

【判定:NG】以下の不備が確認されました。

  • 請求書番号が記載されていません。
  • 合計金額の計算が一致しません。(小計:150,000円、消費税:15,000円に対し、合計金額が175,000円と記載されています)
  • 振込先の口座名義(カナ)が記載されていません。

これまで、彼女が数分かけて、神経を集中させて行っていたチェック作業が、AIによって、一瞬で、かつ、人間では見逃しがちな計算ミスまで含めて、完璧に実行されたのです。

第4章:導入効果|月次処理地獄からの解放と、経理部の進化

  • 【効果①】請求書チェック時間が、9割以上削減: 一枚あたり数分かかっていた目視でのチェック作業が、数秒で完了。月末月初の残業は、嘘のようになくなりました。
  • 【効果②】ヒューマンエラーの撲滅: 計算ミスや、記載漏れの見逃しがゼロになりました。差し戻しのためのコミュニケーションコストや、修正作業の手間が激減しました。
  • 【効果③】業務の標準化と“脱・属人化”: チェックの基準がプロンプトという形で「ルール」として定義され、担当者によるチェック精度のバラつきがなくなりました。

そして何より、この改革は、山田さん自身の役割をも進化させました。単純作業から解放された彼女は、より戦略的で、会社の利益に直接貢献する経理担当者へと、成長を遂げたのです。

第5章:応用編と、その先の“完全自動化”へ

この仕組みは、さらに進化させることができます。**iPaaSツール(ZapierやMakeなど)**を使えば、「メールソフトに請求書PDFが添付されて届いたら」→「自動でGoogle Driveに保存し」→「GeminiがOCRでテキスト化」→「Difyが不備をチェック」→「結果を判定し、OKなら会計システムにAPI連携でデータを自動入力、NGなら担当者にSlackで確認を促す」といった、人間を一切介さない**「完全自動化フロー」**を構築することも、もはや夢物語ではありません。

第6章:注意点と成功の秘訣

  • OCRの精度限界を理解する: AI-OCRの精度は驚異的ですが、100%ではありません。特に、金額や日付など、間違いが致命的となるデータについては、必ず最終的に人間の目で原文と照合しましょう。
  • チェックルールの「継続的な改善」: 新しいパターンの不備が見つかったら、その都度、Difyのプロンプトに記述した「チェックリスト」を更新し、AIをより賢く育てていく、という運用が重要です。

まとめ:経理担当者は「チェッカー」から、会社の“財務ドクター”へ

DifyとAI-OCRの組み合わせは、経理部門の定型業務を劇的に効率化し、担当者を、ミスへの恐怖と、単純作業の繰り返しという、二重の苦痛から解放する、極めて強力なDXツールです。

それは、経理担当者の役割を、過去の取引をただチェックする**「作業者」から、データに基づいて会社の財務の健康状態を診断し、未来の経営を改善するための処方箋を出す「財務ドクター」**へと、進化させる可能性を秘めています。

あなたの会社の、あの「紙の山」。そろそろ、AIに片付けさせてみませんか?

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今回ご紹介した請求書処理の自動化は、経理DXの、ほんの一例です。「経理だけでなく、人事、総務、法務といった、バックオフィス全体の定型業務を、AIで効率化したい」「会計システムや、ERP、RPAといった既存のシステムとAIを連携させ、より高度な業務自動化を実現したい」「自社の業務に合わせて、最適なAIツールを選定し、導入・運用できる“DX推進人材”を社内で育成したい」

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