「工事ごとの利益がわかるのは、いつも工事が終わって数ヶ月後…」「出来高請求の管理がExcelで限界にきている」

建設業のバックオフィス業務は、「工事台帳の作成」「出来高ごとの請求」といった業界特有の商習慣があり、一般的な会計ソフトだけでは管理しきれないのが実情です。そのため、現場監督は日報を書き、経理はそれをExcelに打ち直し、さらに会計ソフトに入力するという「三重苦」が生まれています。

本記事では、kintoneとfreeeを連携させることで、工事台帳を自動作成し、複雑な請求管理をスッキリ解決する具体的なDX手法を解説します。

建設業特有の「ドンブリ勘定・二重入力」問題を解決する

建設業のDXが進まない最大の原因は、現場と経理のデータが分断されていることにあります。

建設業バックオフィスの3大課題

  • 工事台帳の遅れ: 原価(材料費・労務費・外注費)の集計が遅れ、赤字工事に気づくのが遅くなる。
  • 出来高管理の煩雑さ: 「今月は40%分だけ請求」といった分割請求の管理がExcelで属人化している。
  • 多重入力のムダ: 現場の日報、Excelの工事台帳、会計ソフトへの仕訳入力と、同じ数字を何度も入力している。

kintone×freee連携で実現する「工事台帳」の自動化

高額な建設業専用ERPを導入しなくても、kintoneとfreeeを組み合わせることで、柔軟かつ低コストに工事台帳システムを構築できます。

連携の全体像

役割分担を明確にすることが成功の鍵です。

システム 役割と入力データ
kintone
(現場・工務)
「工事情報と原価の入り口」
・工事登録(案件名、契約金額、工期)
・日報入力(人工、使用材料)
・発注管理(外注費、材料費)
freee
(経理)
「会計処理と支払の出口」
・仕訳の自動作成(未成工事支出金など)
・請求書発行
・協力会社への支払管理

自動化のポイント
kintoneに入力された「日報(労務費)」や「発注データ(材料費・外注費)」をfreeeに連携させることで、工事台帳(原価管理表)をkintone上でリアルタイムに自動集計できます。

「出来高請求」や「保留金」にも対応する連携フロー

建設業で最も頭を悩ませる「請求管理」も、kintoneのプロセス管理機能を使えばスムーズになります。

パターンA:出来高請求(分割請求)の管理

仕組み: kintoneの案件アプリに「請求予定テーブル」を作成します。

フロー:

  1. 契約時に「着手金30%」「中間金30%」「完工金40%」の予定を登録。
  2. 請求時期が来たら、kintone上で「請求ステータス」を進める。
  3. 承認されたデータのみがfreeeに飛び、請求書が自動発行される。

メリット: 「請求漏れ」や「過剰請求」をシステム的に防ぐことができます。

パターンB:業者への支払査定(出来高払い)

仕組み: 協力会社からの請求書をkintoneで受け付け、現場監督が査定(承認)します。

フロー:

  1. 協力会社がkintone(ゲストスペース等)に請求額を入力。
  2. 現場監督が「今月の出来高はここまで」と査定入力。
  3. 経理が確認後、freeeに連携して支払データを作成。

具体的な導入ステップと削減効果の試算

従業員50名規模の建設会社での導入シミュレーションです。

📉 導入効果の試算(月間)

  • 工事台帳の作成時間:20時間 → 0時間(自動化)
  • 請求・支払の照合時間:30時間 → 5時間(83%削減)
  • 年間換算:約200万円以上のコスト削減効果 + 赤字工事の早期発見

導入の3ステップ

  • 工事マスタの統一

    kintoneの「工事番号」とfreeeの「取引先タグ/品目タグ」を紐付けます。これがズレていると連携できません。

  • 「日報」のデジタル化

    現場監督がスマホで日報を入力できる環境を作ります。ここが原価データの源泉になります。

  • 小さく連携開始

    まずは「請求書発行」だけ、次は「外注費連携」と、段階的に連携範囲を広げます。

運用のリアル:現場への定着とセキュリティ

システムを作っても、現場の職人や監督に使ってもらえなければ意味がありません。

  • 入力はスマホで完結させる:日報入力は「選択肢を選ぶだけ」「音声入力」など、極力文字入力を減らします。
  • 協力会社の巻き込み:指定請求書をExcelからkintone入力に変えてもらう際は、説明会を開くなど丁寧なフォローが必要です。
  • 権限管理:協力会社には「自社の請求データ」しか見えないよう、kintoneのアクセス権を厳密に設定します。

よくある質問(FAQ)

Q. JV(共同企業体)の工事管理もできますか?

A. はい、可能です。
スポンサー企業とサブ企業の出資比率をkintoneに登録し、按分計算するアプリを作成することで管理できます。

Q. 建設業会計(未成工事支出金など)に対応できますか?

A. freee側の設定で対応可能です。
完了基準か進行基準かに応じて、連携時の勘定科目を自動で振り分ける設定を行います。

Q. 既存の工事台帳システムから移行できますか?

A. 段階的な移行をおすすめします。
過去の全データを移行するのはコストがかかるため、「新規工事からkintoneで管理する」という運用がスムーズです。

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「建設業の特殊な経理フローに対応させたい」「工事台帳を自動化したい」という企業様へ。要件整理からアプリ設計、連携設定まで定額でサポートします。

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まとめと定額支援のご案内

建設業のバックオフィスDXは、単なるペーパーレス化ではありません。「工事ごとの収支をリアルタイムで見える化し、どんぶり勘定から脱却する」ための経営改革です。

kintoneとfreeeを活用すれば、高額な専用システムを入れなくても、自社の商習慣にフィットした工事管理システムを構築できます。

はてなベース株式会社では、建設業のお客様への導入実績も豊富にございます。「出来高請求の管理をどうkintoneに落とし込むか?」「現場が使いやすい日報アプリとは?」といった具体的なご相談も大歓迎です。

まずは無料相談で、現在の業務フローと課題をお聞かせください。最適なDXプランをご提案いたします。

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