従業員の遅刻・早退、給料計算の正解は?控除額の出し方と「残業相殺」のテクニック
「遅刻した分、残業して取り戻したらプラマイゼロ?」
「フレックス制の場合、遅刻控除はどうなる?」
働き方が多様化し、遅刻・早退の処理は複雑になっています。
本記事では、基本の控除計算から、実務で頻発する「遅刻と残業の相殺」、さらにフレックス制や賞与での調整方法まで、プロレベルの運用知識を完全網羅します。
1. 遅刻・早退分の給与控除:基本の計算式
まず、基本ルールとして「ノーワーク・ノーペイ(働いていない時間に賃金は発生しない)」の原則があります。
遅刻や早退をした時間分の給与を差し引くことは完全に適法です。
月給 ÷ 月平均所定労働時間
(例:30万円 ÷ 160時間 = 1,875円/時)
【ステップ2:控除額を計算】
2時間遅刻した場合:
1,875円 × 2時間 = 3,750円 を給与から引く
注意点:計算は原則として「1分単位」で行います。「5分の遅刻を30分としてカット」するのは、働いた25分分の賃金を不払いにすることになり、違法(全額払いの原則違反)です。
2. 実務の盲点!「遅刻した日の残業」はどう計算する?
「朝1時間遅刻したが、夜1時間残業して、結局8時間働いた」というケース。
この残業代に「割増(1.25倍)」は必要なのでしょうか?
割増賃金が必要なのは「実労働時間が1日8時間を超えた場合」です。
遅刻により実労働時間が減っているため、残業してもトータル8時間以内であれば、それは「法内残業」扱いとなり、通常の時給(1.0倍)で計算します。
【計算テクニック:相殺の考え方】
実務上は、以下のどちらかで処理します。
- 厳密に計算:遅刻1時間分を控除し、残業1時間分(×1.0)を支給する。(結果プラマイゼロ)
- 相殺処理:所定労働時間を満たしているので、控除も支給もしない。
3. フレックスタイム制の場合、遅刻控除はある?
フレックス制を導入している場合、「遅刻」の概念自体が変わります。
- コアタイムなし(スーパーフレックス):
そもそも始業時刻が決まっていないため、「遅刻」という概念が存在しません。月の総労働時間が不足した場合にのみ控除します。 - コアタイムあり:
「必ずいなければならない時間(コアタイム)」に遅れた場合は遅刻となります。ただし、給与から控除するか、ただの規律違反とするかは就業規則次第です。
フレックス制なのに「9時に来なかったから遅刻控除」といった運用をしていると、フレックスの実態がないとみなされるリスクがあるため注意しましょう。
4. 「遅刻3回で欠勤1日」は違法!減給の正しいやり方
「遅刻3回で1日欠勤扱い(給与カット)」という昭和のルールは、ほぼ違法です。
30分の遅刻(10分×3回)に対して、8時間分(1日分)の給与を引くのは、働いた7時間30分分の賃金を不当に没収することになります。
ペナルティを与えたい場合は、働かなかった分を引く「控除」とは別に、「減給の制裁(懲戒処分)」の手続きを踏む必要があります。
5. ボーナス(賞与)で遅刻分をマイナスするのはOK?
「月給から引ける額には限界がある。ボーナスで調整したい」と考える経営者も多いでしょう。
結論から言うと、賞与での減額(マイナス査定)は、就業規則や賞与規定に基準があれば適法です。
制限:厳しい法的制限あり(平均賃金の半額まで)。
リスク:高い。
制限:裁量が認められやすい。
方法:「勤怠評価」として係数を掛ける。(例:遅刻5回以上は評価係数0.8など)
ただし、「遅刻1回につき賞与から1万円引く」といったあからさまな罰金型ルールは、やはり違法性を問われる可能性があるため、「評価係数」を用いた調整が安全です。
6. 遅刻控除と評価管理を自動化する仕組み
「1分単位の遅刻控除」「法内残業の相殺」「賞与査定への反映」。
これらをすべて手計算で行うのはミスのもとです。
システム化で自動化しませんか?
はてなベースは、ツールの導入だけでなく、
「会社を守るための正しい運用ルール作り」まで伴走支援します。