勤務時間(労働時間)とは?着替えは含む?「所定」と「法定」の違いまで完全解説
「9時〜18時勤務(休憩1時間)の会社で、18時30分まで残業した。」
この30分間に、残業代の割増(1.25倍)が付くか付かないか、即答できますか?
正解は「付かない(1.0倍でよい)」です。この違いを理解していないと、給与計算で大きなミスを犯します。
本記事では、労働時間の定義から、間違いやすい「法定」と「所定」の違い、グレーゾーン判定までを徹底解説します。
1. 法律上の「労働時間」の定義(指揮命令下とは)
まず大原則として、労働基準法上の「労働時間」は以下のように定義されています。
使用者の指揮命令下に置かれている時間
※作業をしていなくても、指示があればすぐ動ける状態(手待時間)を含む
「指揮命令下」にあるかどうかは、就業規則などの形式ではなく「実態」で判断されます。
たとえ「休憩時間」としていても、電話番を強制されているなら、それは自由利用が保障されていないため「労働時間」となります。
2. 最重要:「所定労働時間」と「法定労働時間」の違い
給与計算や残業管理をする上で、最も混同しやすいのがこの2つです。
| 用語 | 意味 | 残業代の扱い |
|---|---|---|
| 法定労働時間 | 法律(労基法)で定められた上限。 原則:1日8時間・週40時間 |
これを超えると「割増賃金(×1.25以上)」が必要 |
| 所定労働時間 | 会社が独自に決めた労働時間。 例:9:00〜17:00(7時間) |
これを超えても、法定(8h)以内なら「通常の賃金(×1.0)」でOK |
💡 冒頭のクイズの解説
所定労働時間が「7時間」の会社で、30分残業して「7.5時間」働いた場合。
これは法定労働時間の「8時間」以内に収まっています。
この30分は「法内残業」と呼ばれ、法律上は割増(1.25倍)を払う義務はありません(1.0倍分の時給支払いで可)。
※ただし、就業規則で「所定を超えたら一律割増」と定めている場合は、会社のルールが優先されます。
3. 休憩時間は勤務時間に含まれる?(拘束時間の考え方)
会社にいる時間すべてが労働時間ではありません。全体の時間を「拘束時間」と呼び、その内訳は以下のようになります。
拘束時間 = 労働時間 + 休憩時間
休憩時間は「労働から完全に解放されている時間」であり、給与は発生しません。
ただし、前述の通り「電話番」や「来客対応」をさせている場合は休憩とはみなされず、労働時間(=給与対象)としてカウントする必要があります。
4. これって労働時間?グレーゾーン判定(着替え・掃除)
「着替え」や「移動」など、判断に迷うケースを○×で判定します。
制服への着替え時間
原則:労働時間
会社が制服着用を義務付け、かつ更衣場所を指定している場合、着替えは「業務に不可欠な準備行為」として労働時間に含まれます(三菱重工長崎造船所事件などの判例あり)。
始業前の掃除・朝礼
原則:労働時間
強制参加はもちろん、「参加しないと評価が下がる」「事実上の強制」がある場合も指揮命令下にあるとみなされます。
直行直帰の移動時間
原則:労働時間ではない
出張先への移動時間は「通勤時間」と同じ扱いになります。ただし、移動中に物品の監視や指示を受けている場合は労働時間になります。
5. 正しい計算は「1分単位」!端数処理のルール
「15分単位で切り捨て」は違法です。労働時間は「1分単位」で集計し、賃金を支払うのが原則です(全額払いの原則)。
- 遅刻や早退も1分単位で控除
- 残業時間も1分単位で支給
唯一認められている例外は、「1ヶ月の総労働時間の端数」を30分単位で四捨五入することだけです(日々の切り捨てはNG)。
6. 複雑な計算を自動化する「勤怠システム」の活用
ここまで解説した通り、正しい給与計算を行うには以下の判断を毎月・全社員分行う必要があります。
- この残業は「法定内」か「法定外」か?(割増率の判定)
- 着替え時間や朝礼時間は加算されているか?
- 1分単位で集計できているか?
これを手計算やExcelで行うのはリスクが高すぎます。法改正に自動対応するクラウド勤怠管理システムを導入し、自動計算させるのが最も確実な解決策です。
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