「Salesforceに訪問記録を入力したあと、経費精算のためにまた同じ内容をマネーフォワードに入力している」「月末になると営業マンが経費精算に追われ、本来の営業活動が止まってしまう」

多くの営業組織で発生しているこの「二重入力」「交通費計算の手間」は、システム連携によって解消可能です。

本記事では、Salesforceの活動履歴とマネーフォワード クラウド経費を連携させ、「訪問記録を入れるだけで経費申請が完了する」自動化フローの構築方法について解説します。

なぜ連携が必要なのか?営業活動履歴と経費精算の二重入力問題

営業担当者の貴重な時間を奪っているのは、単純作業の繰り返しです。連携によって以下の3つの課題を解決できます。

連携による3つのメリット

  • 二重入力の撲滅: Salesforceに入力した「訪問先・日時」がそのまま経費データになるため、再入力が不要になります。
  • 交通費計算の自動化: 出発地と到着地から運賃を自動計算するため、「乗換案内で調べて転記する」手間がゼロになります。
  • 不正・ミスの防止: 実際にSalesforceに活動記録があるものだけを経費申請できるため、架空請求や入力ミスを防げます。

Salesforce×マネーフォワード連携の全体像

目指すべきフローは以下の通りです。

  • 活動履歴の入力(Salesforce)

    営業担当者はいつも通り、Salesforceのカレンダーや活動履歴に訪問予定・実績を入力します。

  • 交通費の自動計算(API連携)

    システムが裏側で「オフィスの最寄り駅」と「訪問先の最寄り駅」をもとに、経路検索APIを使って最安運賃を算出します。

  • 経費データの作成(マネーフォワード)

    算出された金額と訪問日時、訪問先名がセットになった「経費明細」がマネーフォワード側に自動作成されます。

  • 申請・承認

    営業担当者はマネーフォワードで内容を確認し、ボタンを押すだけで申請完了です。

【比較表】3つの具体的な連携パターン(API・ミドルウェア・バッチ)

連携を実現する手法は主に3つあります。コストとリアルタイム性のバランスで選びましょう。

連携手法 自動化レベル 費用感(目安) 特徴・推奨ケース
API連携
(リアルタイム)

(50万〜)
完全自動化
Salesforceで保存ボタンを押した瞬間に連携。ユーザー体験が最も良いが、開発コストがかかる。
ミドルウェア
(iPaaSなど)

(準リアルタイム)

(30万〜)
バランス型
ASTERIA WarpやDataSpiderなどのツールを利用。ノーコードで設定変更しやすいのが強み。
バッチ処理
(CSV連携)

(定時実行)

(20万〜)
コスト重視
夜間にまとめてデータを流し込む方式。リアルタイムではないが、安価に構築可能。

交通費の自動計算ロジック(経路検索APIの活用)

「どうやって交通費を計算するのか?」という技術的な疑問にお答えします。

一般的には、「駅すぱあと」や「Google Maps Platform」などの外部APIを利用します。

🚗 自動計算のロジック例

  1. Salesforceの取引先マスタから「住所」を取得。
  2. Google Maps API等で住所を「緯度経度」に変換し、最寄り駅を特定。
  3. 「自社の最寄り駅」から「訪問先の最寄り駅」までの運賃を経路検索APIで取得。
  4. 往復フラグがあれば×2をして、経費金額として確定。

具体的な導入ステップと成功事例

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事例1: IT企業(従業員50名) – 申請時間を80%削減

課題: 営業20名が月末にまとめて経費入力を行っており、1人あたり月3時間かかっていた。

解決策: SalesforceとマネーフォワードをAPI連携。活動報告と同時に経費データを作成。

効果:

  • 入力作業が実質ゼロになり、月60時間の工数削減。
  • 「訪問していないのに経費申請する」といった不正リスクも排除。

事例2: コンサルティング(従業員30名) – 日次バッチ連携

課題: 毎日複数のクライアントを訪問するため、経路が複雑で計算ミスが多発。

解決策: 夜間にバッチ処理でその日の活動履歴を吸い上げ、交通費を計算してドラフト作成。

効果:

  • 翌朝には経費明細ができあがっており、確認ボタンを押すだけの運用に定着。
  • 計算ミスによる経理からの差し戻しが激減。

よくあるトラブルと解決方法

計算されたルートが実際と違う(遠回りなど)

原因: APIは「最短」や「最安」の論理的なルートを返しますが、実際は「乗り換えが楽なルート」を使うことがあるためです。

解決策: 完全自動化を目指さず、「自動計算された金額を、申請者が手動で修正できる」仕様にしておくのが現実的です。

定期券区間の控除ができない

原因: 単純な運賃計算APIだけでは、個人の定期券区間を考慮できないためです。

解決策: 「定期券区間控除機能」を持つ上位の経費精算API(駅すぱあと連携版など)を利用するか、マネーフォワード側の自動控除機能に任せる設計にします。

導入ステップとセキュリティ対策

導入ステップ

  1. 要件定義:どの活動タイプ(訪問、直行直帰など)を連携対象にするか決めます。
  2. マスタ整備:Salesforceの取引先住所が正確に入力されているか確認・修正します。
  3. パイロット運用:一部の営業チームだけでテスト運用し、計算精度を確認します。

セキュリティ対策

APIキーやアクセストークンの管理は厳重に行います。また、SalesforceとマネーフォワードのユーザーID(メールアドレス)を一致させておくことで、誤った人の経費として登録される事故を防ぎます。

よくある質問(FAQ)

Q. Salesforceを使っていない社員の経費はどうなりますか?

A. マネーフォワード側で直接入力可能です。
連携はあくまで「営業担当者の入力補助」ですので、Salesforceを使わない内勤者などは、通常通りマネーフォワードで申請できます。併用運用が可能です。

Q. 領収書の添付は自動化できますか?

A. 交通費(ICカード乗車)の場合は不要なケースが多いです。
電車移動などの交通費は領収書なしで認められることが一般的です。タクシーや接待交際費など領収書が必要なものは、マネーフォワードのスマホアプリで撮影・添付する運用と組み合わせます。

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まとめと定額支援のご案内

Salesforceとマネーフォワード経費精算の連携は、営業現場の負担を減らし、本来の業務である「顧客とのコミュニケーション」に時間を割いてもらうための有効な投資です。

成功のポイントは、「100%の自動化を目指さず、修正可能な柔軟性を持たせること」「定期券区間などの細かなルールを事前に整理すること」です。

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