マネーフォワードと債務支払の自動連携ガイド|支払依頼からFBデータ作成までのフロー
目次
「各部署から上がってくる支払依頼書をExcelに転記して、ネットバンキングで振込作業をするのが毎月の重荷」「支払漏れや金額ミスがないか、振込のたびに冷や汗をかく」
多くの企業が「マネーフォワード クラウド会計」などを導入していますが、その前段階である「債務管理(誰にいくら払うかの確定)」や「FBデータ(全銀協フォーマット)作成」は手作業のまま、というケースが少なくありません。
本記事では、kintoneなどの管理システムとマネーフォワードを連携させ、支払依頼から振込データ作成までを自動化する具体的なフローについて解説します。
なぜマネーフォワードと債務支払管理の連携が必要なのか?
経理業務の中で最も神経を使う「支払業務」をシステム連携させることで、以下のリスクとコストを削減できます。
- 二重入力の撲滅: 支払依頼書の内容を会計ソフトに再入力する手間がなくなります。
- 不正・ミスの防止: 承認されたデータのみがFBデータ化されるため、金額改ざんや支払漏れを防げます。
- 資金繰りの可視化: 確定した支払予定がリアルタイムで会計に反映され、キャッシュフローが見えやすくなります。
自動化の全体像:支払依頼からFBデータ作成までのフロー
システム連携によって、業務フローは以下のように変わります。
-
支払依頼の登録(申請)
現場担当者がkintone等のシステムで「請求書」をアップロードし、支払先・金額・支払日を入力します。
-
承認ワークフロー
上長や経理担当者が内容を確認し、システム上で承認ボタンを押します。これにより支払データが「確定」します。
-
マネーフォワードへの連携(自動仕訳)
確定したデータがマネーフォワードに連携され、自動で「未払金/買掛金」の仕訳が計上されます。
-
FBデータ(振込データ)の作成
マネーフォワード債務支払または連携システムから、銀行にアップロードするためのFBデータ(全銀フォーマット)を出力します。
【比較表】3つの連携手法(API・CSV・ミドルウェア)
自社の規模や予算に合わせて、最適な連携方法を選びましょう。
| 連携手法 | 自動化レベル | 費用感(目安) | 特徴・推奨ケース |
|---|---|---|---|
| API連携 | ◎ (リアルタイム) |
高 (50万〜) |
完全自動化を目指すなら 承認完了と同時にマネーフォワードへデータが飛ぶため、タイムラグがない。開発コストはかかるが運用は最も楽。 |
| CSV連携 | △ (手動取込) |
低 (10万〜) |
コスト重視・小規模向け 「月に数回、まとめて取り込む」運用ならこれで十分。システムの改修が不要な場合が多い。 |
| ミドルウェア (iPaaS/RPA) |
○ (準自動) |
中 (30万〜) |
柔軟な連携に 「kintoneとマネーフォワードの間に変換処理を入れたい」など、独自のルールがある場合に有効。 |
マネーフォワード×支払管理の自動化成功事例
事例詳細を見る
事例1: 製造業(従業員50名) – 支払処理時間を80%削減
課題: 紙の請求書とExcelで支払管理をしており、毎月30時間かけて振込作業を行っていた。金額入力ミスも散発。
解決策: kintoneで「支払依頼アプリ」を作成し、マネーフォワード クラウド会計とAPI連携。
効果:
- kintoneで承認されたデータが自動でマネーフォワードに飛び、仕訳とFBデータが自動生成される仕組みを構築。
- 作業時間が月30時間→5時間に短縮。入力ミスもゼロに。
事例2: 小売業(従業員30名) – CSV連携で低コスト導入
課題: 店舗ごとの小口支払が多く、経理が集計するのに手間取っていた。
解決策: 各店舗がkintoneに入力し、経理がCSVをエクスポートしてマネーフォワードに取り込むフローに変更。
効果:
- API開発を行わず、既存機能を活用することで初期費用を抑制。
- 集計作業が自動化され、月20時間の工数削減を実現。
失敗しない連携ツールの選び方
連携ツール(または開発手法)を選ぶ際は、以下の4点を確認してください。
- FBデータの出力形式: 利用している銀行のフォーマットに対応しているか(固定長、CSVなど)。
- 消込機能の有無: 支払後の「消込処理」まで自動化できるか。
- 電子帳簿保存法対応: 請求書のPDFデータを添付して連携できるか。
- 権限設定: 「申請者」「承認者」「支払実行者」の権限を適切に分けられるか。
よくあるトラブルと解決方法
FBデータが銀行側でエラーになる
原因: 半角カナの使用、禁止文字(&や-など)の混入、口座名義の相違などが主な原因です。
解決策: 入力システム側(kintone等)で、銀行仕様に合わせた「入力規則(バリデーション)」を設定し、不正な文字が入らないようにします。
連携データの金額が合わない
原因: 消費税の端数処理(切り捨て・切り上げ)のルールが、申請システムと会計システムで異なっている場合に発生します。
解決策: 両システムの計算ロジックを統一するか、連携時に「税込金額」で渡すように設定します。
導入ステップとセキュリティ対策
導入ステップ
- 現状フローの棚卸し:現在の支払依頼から振込までの手順を書き出し、ボトルネックを特定します。
- マスタ整備:支払先(取引先)の口座情報や、勘定科目コードを整理・統一します。
- テスト運用:少額の支払いや特定の部署からテスト運用を開始し、FBデータが正しく作れるか確認します。
セキュリティ対策
金銭に関わるデータのため、以下の対策は必須です。
- アクセス制限:支払データにアクセスできる社員を最小限に絞ります。
- 操作ログの保存:「誰が承認したか」「いつFBデータを出力したか」のログを必ず残します。
- 承認ルートの固定:金額に応じて承認ルート(課長承認→部長承認など)をシステムで強制します。
よくある質問(FAQ)
Q. FBデータとは何ですか?
A. 銀行振込を一括で行うためのデータファイルです。
「全銀協規定フォーマット」と呼ばれる形式が一般的で、このファイルをネットバンキングにアップロードすることで、一件ずつ振込入力をする手間が省けます。
Q. kintone以外のシステムでも連携できますか?
A. はい、可能です。
CSVインポート機能を使えば、Excelや他のワークフローシステムからのデータも取り込めます。API連携の場合は開発が必要になることがあります。
まとめと定額支援のご案内
マネーフォワードと債務支払管理の連携は、経理担当者の負担を劇的に減らすだけでなく、「正確で迅速な月次決算」を実現するための鍵となります。
成功のポイントは、「自社の承認ルールに合った連携方法を選ぶこと」と「銀行振込に必要なデータ要件を正しく理解すること」です。
はてなベース株式会社では、kintoneとマネーフォワードの連携実績が豊富にあります。「API連携までは予算が出ないけど、CSV連携でどこまで楽になるか知りたい」といったご相談も大歓迎です。
まずは無料相談で、現在の支払業務のフローをお聞かせください。最適な自動化プランをご提案いたします。