採用管理をkintoneで、入社手続きをfreee人事労務で行う企業にとって、システム間の情報分断は大きな負担です。本稿では、iPaaSを活用してこの二つのシステムを強力に連携させ、採用決定から入社手続き、労務管理までをシームレスに繋ぐ具体的な設定方法と、それによって実現する未来の業務フローを徹底解説します。
課題:分断された採用プロセスと労務管理
多くの企業では、以下のような課題を抱えています。
- 二重入力の手間とミス: kintoneの採用者情報を、freee人事労務に従業員として手作業で再入力している。
- 連絡・確認のタイムラグ: 人事担当者が採用決定者に連絡し、入社手続きに必要な情報を収集・更新するため、時間がかかり連絡漏れも発生する。
- 進捗の不透明性: 誰の入社手続きがどこまで進んでいるのか、関係者間で分かりにくい。
これらの課題は、人事部門の生産性を低下させるだけでなく、新しい仲間を迎える大切なオンボーディング体験の質を損なう原因にもなり得ます。
解決策:iPaaSを活用した「kintone⇔freee人事労務」双方向連携
現時点(2024年6月)でkintoneとfreee人事労務を直接連携させる公式機能や専用プラグインは提供されていません。しかし、YoomのようなiPaaS(クラウド連携自動化ツール)を活用することで、プログラミングの知識がなくても、この二つのシステムを強力に連携させることが可能です。
実現できることの全体像
これにより、採用担当者はkintoneを見るだけで進捗を把握でき、労務担当者は情報収集と入力の手間から解放されます。
実践編:具体的な設定方法 (iPaaS: Yoomを利用)
ここでは、iPaaSの中でも特にkintoneとfreee人事労務の連携テンプレートが充実している「Yoom」を利用した設定例を解説します。
シナリオA:kintoneの「採用決定」をトリガーに従業員をfreee人事労務へ自動登録
このフローにより、採用担当者がkintoneでステータスを変更するだけで、労務担当者の作業を介さずにfreee人事労務への一次登録と本人への招待が完了します。
- Yoomのアカウント準備とアプリ連携: Yoomにログインし、「マイアプリ」からkintoneとfreee人事労務を連携させます。
- トリガーの設定(kintone): 「レコードのステータスが更新されたら」をトリガーに設定し、対象アプリとステータス(例:「採用決定」)を指定します。
- アクションの設定(freee人事労務): 「従業員を招待する」をアクションに設定し、kintoneのフィールド(氏名、メールアドレス等)をfreeeの項目にマッピングします。
- フローの有効化: 設定を保存し、フローをONにします。
シナリオB:freee人事労務での情報更新を検知し、kintoneの進捗を自動更新
この双方向連携が、人事プロセスのシームレス化の鍵となります。
- トリガーの設定(freee人事労務 - Webhook): Yoomで「従業員情報が更新されたら」のWebhook URLを生成し、freee人事労務に登録します。
- アクション1(情報取得): Webhookで受け取った従業員IDをキーに、最新の全情報をfreee人事労務から取得します。
- アクション2(条件分岐): 「銀行コードが空ではない」など、「入社手続き完了」の定義を設定します。
- アクション3(kintone更新): 条件を満たした場合に、kintoneの採用管理レコードのステータスを「入社手続き完了」に更新します。
結論:iPaaS活用で始める、次世代の人事プロセス
kintoneとfreee人事労務の連携は、もはや「できたら良いな」という夢物語ではありません。iPaaSを活用することで、専門的な知識がなくとも、驚くほど簡単かつ強力な自動化・同期の仕組みを構築できます。このシームレスな体験は、人事部門の業務効率を飛躍的に向上させるだけでなく、新しい仲間をスムーズかつ温かく迎え入れるための、強力な武器となるでしょう。まずはYoomなどのiPaaSの無料トライアルから、その第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。