「補助金で赤字補填」は命取り。NPOが信頼を守るための会計DXパッケージ | はてなベース株式会社

「補助金で赤字補填」は命取り。
第三セクター・自治体事例に学ぶ、
NPOが信頼を守るための会計DXパッケージ

「第三セクターの赤字を、補助金で埋め合わせているのではないか?」
「ふるさと納税の経費率が、実は基準を超えているのではないか?」

公益性の高い事業を行うNPO法人、一般社団法人、そして第三セクターにおいて、今、最も恐れるべきは「資金管理のどんぶり勘定」です。

多くの組織では、悪意はなくとも、慢性的な人手不足とアナログな管理体制が原因で、「どのお金が、何に使われたか」が不明瞭な状態に陥っています。しかし、その代償は「事務が大変」というレベルでは済みません。

岡山県内でも、管理体制の不備や認識の甘さが原因で、補助金の返還命令や、ふるさと納税制度からの除外という厳しい処分を受ける事例が相次いでいます。これは対岸の火事ではありません。

本記事では、岡山県総社市や吉備中央町で実際に起きた事例を教訓に、
組織を守り、支援者の信頼を勝ち取るための「会計DX(透明化)」の具体策を解説します。

第1章:【岡山県の実例に学ぶ】「どんぶり勘定」が招いた指定取り消しと信用失墜

「うちは行政と連携しているから大丈夫」
そう思っていませんか? 実は、岡山県内でも「経理処理の不備」や「資金使途の流用」によって、組織の存続に関わる重大な問題が発生しています。

1-1. 第三セクターへの補助金が「赤字穴埋め」に流用(総社市)

近年、大きな問題となったのが、総社市の第三セクター「そうじゃ地食べ公社」の事例です。
市はふるさと納税の返礼品調達などの名目で、この公社に対し多額の補助金を支出していました。しかし、実態としては、補助金が本来の目的(米の調達費)ではなく、公社の赤字補填に流用されていた疑いが浮上しました。

市議会でも「補助金の虚偽申請ではないか」と厳しく追及され、第三者委員会による調査が行われる事態に発展しています。「赤字だからなんとなく手元の補助金で埋める」という資金使途の混同が、結果として市長や組織全体のガバナンス不全を問われる大問題となりました。

1-2. 「隠れ経費」で基準違反、制度から除外へ(吉備中央町・総社市)

また、吉備中央町や総社市では、ふるさと納税の返礼品(米)の調達費用が、国の定める基準を大幅に超えていたことが発覚しました。
特に問題視されたのは、調達コストの一部を「事務費」や「支援金」といった別の名目で処理し、見かけ上の経費率を低く見せていた(経費の隠蔽・付け替え)点です。

この「どんぶり勘定」の結果、両自治体は総務省からふるさと納税制度の対象外(指定取り消し)という極めて重い処分を受け、数億円規模の財源を失うこととなりました。

これらの事例は、「資金の使い道が透明化されていない(ブラックボックス化している)」ことが、いかに組織にとって致命的であるかを物語っています。

第2章:なぜExcelや紙の管理では「不正・流用」を防げないのか

総社市の公社や吉備中央町の事例でも、管理はおそらくExcelや紙を中心に行われていたと考えられます。なぜそれでは防げないのでしょうか。

2-1. 「資金の紐付け」が曖昧になる

「この補助金Aは、事業Bのためにしか使えない」というルールがあっても、一つの通帳で資金をごちゃ混ぜに管理し、Excelで後から「これは補助金分」と計算しているだけでは、資金繰りが苦しい時に「一時的な流用」が起きやすくなります。そして、それが常態化し、最終的に「使途不明金」や「目的外使用」として発覚するのです。

2-2. 意図的な操作が容易にできてしまう

Excelは誰でも数字を書き換えられます。「事務費」を「事業費」に書き換えても、履歴は残りません。監査の直前に帳尻を合わせるような操作が可能であること自体が、組織のガバナンスリスクとなります。

第3章:信頼を勝ち取る
「Looker Studio」によるガラス張りの会計

不正や疑念を生まないためには、「数字を操作できない仕組み」が必要です。
BIツール(Looker Studio)を活用し、資金の流れを「ガラス張り」にしましょう。

資金分析ダッシュボード
▲ リアルタイムで資金状況を可視化するダッシュボード例

資金源分析ダッシュボード

「補助金」「寄付金」「自己資金」などの財源ごとに、使途(人件費、事業費など)を内訳表示します。

予実管理の自動化

予算と実績のズレを毎日自動更新し、異常値を早期に発見します。監査資料作成の手間もゼロに。

タグ付けの徹底

freee会計で「資金源タグ(〇〇補助金)」と「プロジェクトタグ」を紐付け。後付けの辻褄合わせを不可能にします。

導入効果:
「赤字補填に回っているお金はないか」「経費率が基準を超えていないか」が、ダッシュボード上で常に監視できる状態になります。
これにより、理事会報告資料の作成時間も劇的に短縮されます。

データの信頼性は「入力」から。
freee会計による不正防止機能

Looker Studioで正しい分析を行うためには、元となるデータの正確性が不可欠です。
クラウド会計freeeの機能を活用し、入力段階でのミスや改ざんを防ぎます。

入出金管理機能

銀行口座連携

ネットバンキングと連携し、明細を自動取得。手入力による改ざんを防ぎ、通帳残高と会計データのズレをゼロにします。

レシート管理機能

証憑の電子保存

スマホ撮影でレシートを即座にクラウド保存。電子帳簿保存法に対応し、「いつ・誰が・何に使ったか」を確実に記録します。

請求書管理機能

請求・消込の自動化

請求書発行から入金消込までを一元管理。請求漏れや不明瞭な入金を防ぎ、債権管理の透明性を高めます。

第4章:脱・属人化!「kintone」で業務プロセスを適正化する

正しい会計処理を行うためには、現場の業務フローも整える必要があります。

4-1. 申請・承認フローをシステム化

kintone(キントーン)を活用し、稟議や支払依頼のワークフローをシステム化します。「誰が承認した支出なのか」が記録されるため、トップダウンでの不透明な支出や、担当者の独断による不正を防ぐことができます。

4-2. 銀行連携で「現金の動き」を透明化

前述のfreeeとの連携に加え、kintone上で予算執行状況を管理することで、稟議段階での予算超過をブロックする仕組みも構築可能です。

第5章:システム導入だけでは不十分。「仕組み」を作る内製化支援

総社市や吉備中央町の事例から学ぶべきは、「ルールを守れない体制」の脆さです。ツールを入れるだけでなく、それを正しく運用する「人」と「ルール」を育てなければなりません。

私たちは、単にソフトを導入するだけでなく、以下のような「内製化支援」を行います。

  • 補助金要件に合わせた勘定科目・タグ設計
    「使途不明」と指摘されないためのデータ構造を設計します。
  • ガバナンス規定の策定支援
    利益相反や目的外使用を防ぐための運用ルール作りをサポートします。
  • 自走サポート
    貴法人のスタッフだけで、適正な予実管理ができるようトレーニングします。

外部に丸投げするのではなく、「自分たちの組織の中に、正しい会計ノウハウを根付かせる」ことこそが、長期的な組織の安定につながります。

まとめ:透明性は、組織を守る最大の「防具」である

補助金の返還命令や指定取り消しは、組織の財政だけでなく、地域からの信頼も一瞬で破壊します。
岡山県内での相次ぐ事例を「他山の石」とし、自組織の管理体制を見直すことが急務です。

まずは「無料相談」でリスク診断を

「今の管理方法で、監査に耐えられるか不安」
「第三セクター特有の会計処理について相談したい」

そう思われた方は、ぜひ一度、私たちはてなベース株式会社にご相談ください。公認会計士とエンジニアがタッグを組んだ「バックオフィスDX」の専門チームが、貴法人の現状を診断いたします。

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