はじめに:「あなたのそのスプレッドシート、ただの“表計算ソフト”だと思っていませんか?」
私たちは毎日、Googleスプレッドシートを開き、数値を入力し、簡単な計算をし、情報を整理しています。それは、非常に便利で、なくてはならないツールです。しかし、その本当のポテンシャルを、私たちは、まだ10%も、引き出せていないのかもしれません。
あなたは、こんな、地味に面倒で、時間のかかる作業に、心当たりはありませんか?
- Webサイトや、ドキュメントから、長い文章をコピーしてきて、その「要約」を、別のセルに、手作業で打ち込んでいる…。
- 顧客からのアンケートのフリーコメントを、一つひとつ読みながら、「ポジティブ」「ネガティブ」といった「分類」を、手作業で行っている…。
- 製品の特徴をまとめたリストを見ながら、その広告の「キャッチコピー」を、うんうんと、頭を捻りながら考えている…
もし、あなたが、これらの作業を、スプレッドシートの上で、まるでSUM関数のように、=AI要約(A1)
と、ただ、関数を一つ入力するだけで、AIが、一瞬で、すべてを自動でやってくれるとしたら…?
この記事でご紹介するのは、プログラミング知識が、ほぼゼロの方でも、この記事にある“魔法の呪文(コード)”を、コピー&ペーストするだけで、Googleスプレッドシートに、あなただけの**「オリジナルのAI関数(=神関数)」**を追加できてしまう、まさに、革命と呼ぶべき、具体的な方法です。
この記事を読み終える頃、あなたは以下のスキルと未来を手にしています。
- Google Apps Script(GAS)という、あなたの仕事の“面倒”を解決する、強力な武器の存在
- Gemini APIキーを無料で取得し、AIの能力を、自分のスプレッドシートから呼び出すための、具体的な準備
- コピペだけで、文章の要約、翻訳、分類、アイデア出しなど、様々な“神関数”を、自分で作り出すための全ステップ
- スプレッドシートを、単なる「情報の器」から、AIと連携して、知的生産を自動化する「最強の思考ツール」へと進化させる、新しい働き方
もう、AIのサイトと、スプレッドシートの間を、何度も、行ったり来たりする必要はありません。あなたの、そのシートの上で、直接、AIを、まるで手足のように、自在に操る力を、手に入れましょう。
シナリオのご紹介:今日の主人公は、“コピペと要約”に追われる、コンテンツマーケター
この物語は、日々の、地味な反復作業の中に、生産性向上の大きなチャンスが眠っていることに気づく、すべてのビジネスパーソンの物語です。
【登場人物】
- 佐藤さん: Webメディアを運営する会社の、コンテンツマーケティング担当。30代。
【彼の課題】
彼の重要な仕事の一つに、外部のライターから納品される、新しい記事のドラフト(Googleドキュメント)の内容を確認し、その**「要約」**を、**スプレッドシートでできた「記事管理表」に、まとめる、という作業がある。いちいち、記事の文章をコピーし、GeminiのWebサイトを開いて、貼り付け、要約結果を、またコピーして、スプレッドシートに戻ってきて、貼り付ける…。この「行ったり来たり」**の、単純だが、回数の多い作業が、非常に面倒で、彼の貴重な時間を、奪っていた。「このスプレッドシートのセルに、直接、AIを呼び出す関数があれば、どんなに楽だろう…」と、彼は、毎日、夢想していた。
第1章:GAS (Google Apps Script) とは何か? なぜ、あなたの“面倒”を解決できるのか?
**GAS(Google Apps Script)**とは、「Googleの各種サービス(スプレッドシート、ドキュメント、Gmail、カレンダーなど)を、プログラムで、自動操作するために、Googleが、無料で、提供している、おまけ機能」だと思ってください。
言語は、JavaScriptがベースになっていますが、難しいことを覚える必要はありません。これを使えば、あなたが、普段、手作業で行っている、様々な「定型業務」を、自動化することができる、非常に強力なツールなのです。
そして、今回は、このGASを使って、「スプレッドシートの中から、外部のAI(Gemini API)の能力を、呼び出す」という、少し高度な、しかし、極めて価値の高い、魔法に挑戦します。
第2章:準備編|“神関数”を作るための、たった2つの下準備
魔法を唱えるには、いくつかの、簡単な準備が必要です。しかし、ご安心ください。どちらも、数分で完了する、簡単な作業です。
準備①:【Gemini APIキーの取得】AIの能力を使うための“秘密の鍵”を手に入れる
まず、あなたのスプレッドシートが、Geminiと「会話」するための、**“秘密の鍵(APIキー)”**を、手に入れます。
- Googleアカウントにログインした状態で、「Google AI Studio」にアクセスします。
- 画面左側のメニューから、「APIキーを取得」をクリックします。
- 「新しいAPIキーを作成」というボタンをクリックします。
- 表示された、
AIzaSy...
といった長い文字列が、あなたの「APIキー」です。これをコピーし、安全な場所に保管しておきましょう。
準備②:【スクリプトエディタの起動】スプレッドシートの“隠し扉”を開く
次に、魔法の呪文(コード)を書き込むための、特別な場所を開きます。
- AI関数を追加したい、Googleスプレッドシートを開きます。
- 上部のメニューから、「拡張機能」をクリックし、その中から「Apps Script」を選択します。
- 新しいタブで、**「Apps Script エディタ」**という、見慣れない画面が開きます。これが、あなたの「魔術工房」です。
第3章:実践編|コピペでOK!AI要約関数 =AI_SUMMARY() を創り出す全工程
お待たせしました。いよいよ、佐藤さんと一緒に、プログラミング経験ゼロから、「神関数」を創り出す、感動のプロセスを、ステップ・バイ・ステップで、体験していきましょう。
【ステップ1】コードの貼り付け:“魔法の呪文”を、そのままコピーする
まず、あなたに、難しいコードを、一から書いてもらう必要は、全くありません。以下の、すでに完成された**「魔法の呪文(コード)」**を、そのまま、すべてコピーしてください。
【AI要約関数 =AI_SUMMARY() のための、魔法の呪文(GASコード)】
// @ts-nocheck
const API_KEY = 'ここにあなたのAPIキーを入力';
const API_URL = 'https://generativelanguage.googleapis.com/v1beta/models/gemini-1.5-flash-latest:generateContent?key=' + API_KEY;
/**
* 指定されたテキストをAIが要約するカスタム関数
* @param {string} text 要約したいテキスト。
* @param {string} prompt AIへの追加の指示(任意)。
* @return {string} 要約されたテキスト。
* @customfunction
*/
function AI_SUMMARY(text, prompt = "この文章を、重要なポイントを3つに絞って、300字以内で簡潔に要約してください。") {
if (!text) {
return "エラー: 要約するテキストがありません。";
}
const requestBody = {
"contents": [{
"parts": [{
"text": prompt + "\\n\\n---\\n\\n" + text
}]
}]
};
const options = {
'method': 'post',
'contentType': 'application/json',
'payload': JSON.stringify(requestBody),
'muteHttpExceptions': true
};
try {
const response = UrlFetchApp.fetch(API_URL, options);
const responseCode = response.getResponseCode();
const responseBody = response.getContentText();
if (responseCode === 200) {
const json = JSON.parse(responseBody);
if (json.candidates && json.candidates.length > 0 && json.candidates[0].content && json.candidates[0].content.parts && json.candidates[0].content.parts.length > 0) {
return json.candidates[0].content.parts[0].text.trim();
} else {
return "エラー: AIからの応答を解析できませんでした。";
}
} else {
return "エラー: APIリクエストに失敗しました。ステータスコード: " + responseCode + " " + responseBody;
}
} catch (e) {
return "エラー: " + e.message;
}
}
コピーしたら、準備編で開いた、**「Apps Script エディタ」**の画面に行き、元々書かれているサンプルコードをすべて削除した後、そこに、今コピーしたコードを、そのまま貼り付けます。
【ステップ2】APIキーの設定:“秘密の鍵”を、コードに埋め込む
貼り付けたコードの一番上の行にある、'ここにあなたのAPIキーを入力'
という部分を、準備編であなたが取得した、あなただけの**「秘密の鍵(APIキー)」**の文字列に、書き換えるだけです。(※シングルクォーテーション'
は、消さないように注意してください)。書き換えたら、フロッピーディスクのアイコンをクリックして保存します。
【ステップ3】“神関数”の誕生と、感動の瞬間
すべての準備は、整いました。佐藤さんは、固唾を飲んで、元のスプレッドシートの画面に戻ります。そして、B1のセルに、まるで、いつもSUM関数を入力するように、こう、キーボードで打ち込みました。
=AI_SUMMARY(A1)
Enterキーを押すと、数秒後、B1のセルに、A1の長文記事の要約が、美しい日本語で、自動的に、表示されました。「…できた…!本当に、関数になった…!」佐藤さんは、思わず、声を上げました。
【ステップ4】関数のカスタマイズ:あなただけの“魔法”を、無限に創造する
この「神関数」の、本当にすごいところは、AIへの「お願い(プロンプト)」の内容を変えるだけで、あなただけの、様々な能力を持つ関数に、進化させることができる点です。
【カスタマイズ例①】最強の「翻訳関数」を作る
Apps Script エディタに戻り、関数名をAI_TRANSLATE_EN
に変え、プロンプト部分を"この日本語の文章を、自然な英語に翻訳してください。"
と書き換えて保存すれば、=AI_TRANSLATE_EN(A1)
という、あなただけの「AI翻訳関数」が完成します。
【カスタマイズ例②】最強の「アイデア出し関数」を作る
同様に、関数名をAI_CREATE_COPY
に、プロンプトを"以下の商品特徴から、ターゲット顧客に響く、キャッチーな広告文を、3つ提案してください。"
と書き換えれば、商品特徴から、広告コピーを自動生成する関数も作れます。
第4章:導入効果|スプレッドシートが“最強の思考ツール”へと進化する
- 【効果①】反復作業の、完全なる撲滅: 記事要約の転記作業は、関数をオートフィルするだけで完了するようになりました。作業時間は、実に95%以上も、削減されました。
- 【効果②】思考の、圧倒的な高速化: スプレッドシート上で、大量のテキストデータに対し、要約、翻訳、分類、アイデア出しといった、高度な知的作業が、リアルタイムで、瞬時に、行えるようになりました。
- 【効果③】揺るぎない“スキル”と“自信”: プログラミング経験のなかった佐藤さんが、「自分でも、業務を自動化する、便利なツールが作れた」という、大きな成功体験は、彼に、大きな自信を与えました。
第5章:注意点と、成功のための心構え
- APIの利用料金について: Gemini APIには、寛大な「無料利用枠」が設定されています。個人が、今回のような使い方をする範囲であれば、ほとんどの場合、料金は発生しませんが、大量に利用する場合は、料金体系を確認しましょう。
- エラーは、友達。怖がらないで: エラーが出ても、慌てないでください。それは、AIが「指示が、少しだけ、分かりません!」と、あなたに対話を求めているサインです。エラーメッセージをGeminiに質問し、対話しながら解決するプロセスを楽しみましょう。
- 機密情報の取り扱いに、最大限の注意を: 会社の重要な機密情報や、お客様の個人情報を含むセルを、この関数で、安易に、外部のAPIに送信することは、情報漏洩のリスクを伴います。
まとめ:あなたは「シートの入力係」から、AIを操る「魔法使い」へ
GASと、Gemini APIの組み合わせ。それは、「プログラミング」と「AI」という、これまで、私たち非エンジニアにとって、最も高く、そして、分厚く感じられた、2つの壁を、一瞬にして、取り払ってくれる、革命的なソリューションです。
あなたの目の前にある、そのスプレッドシートは、もはや、単なる、情報を記録するための「マス目」ではありません。AIという、無限の能力を秘めた精霊を、自在に呼び出し、操るための、**「魔法陣」**なのです。
【PR】あなたの“チーム全体”の業務、AIとGASで、丸ごと自動化しませんか?
今回ご紹介したカスタム関数は、個人の生産性を高める、強力な第一歩です。「スプレッドシートだけでなく、Gmailの自動返信、Googleドキュメントの自動生成、Googleカレンダーへの自動登録など、より高度な自動化を実現したい」「GASや、Pythonといった、プログラミング言語を、基礎から体系的に学び、自社で、本格的な業務システムや、自動化ツールを、内製できる“DX推進人材”を、育成したい」「AI APIと、RPAや、iPaaSといったツールを、さらに高度に連携させ、部署を横断した、全社的な業務プロセスを、再発明したい」
このような、より本格的で、組織全体の生産性を、根本から変革する「業務自動化・DX戦略」にご興味はありませんか?
はてなベース株式会社では、GASとAI APIを活用したスプレッドシートの自動化から、全社的なDX推進人材の育成研修まで、貴社の生産性向上を強力にサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。
研修・サービス開発に関するお問い合わせ