「プロジェクトごとの本当の利益が、決算が終わるまでわからない」「社員がExcelで提出する工数表の集計だけで数日かかる」

勘定奉行などの会計ソフトを導入していても、個別原価管理(プロジェクト別収支管理)の分野では、多くの企業が課題を抱えています。

このような課題はありませんか?
・現場はExcelで工数管理、経理は勘定奉行。データが分断されている。
・仕掛品の計上や労務費の配賦計算が複雑で、Excelが属人化している。
・赤字プロジェクトの検知が遅れ、対策が打てないまま完了してしまう。

これらの課題は、現場入力に強いkintone(キントーン)と、会計に強い勘定奉行を連携させることで解決できます。本記事では、工数入力から原価計算、そして勘定奉行への仕訳連携までの「脱・Excel」フローを解説します。

なぜ勘定奉行単体ではプロジェクト収支が見えないのか

勘定奉行は優れた会計ソフトですが、プロジェクト管理(PM)ツールではありません。現場のリアルな情報を会計ソフトに直接入力するのはハードルが高いため、以下のような問題が発生します。

1. 「工数(時間)」と「金額」の分断

原価の大きな割合を占める「労務費」は、「誰が・どのプロジェクトに・何時間使ったか」という情報がないと計算できません。しかし、会計ソフトには「給与支払額」のデータはあっても、「時間の内訳」データがないため、正確な原価が割り出せません。

2. タイムラグによる「手遅れ」

従来の運用では、月末にExcelの工数表を回収し、経理が手計算で集計し、翌月中旬に試算表が出ます。これではプロジェクト進行中に赤字の予兆に気づくことができません。

3. 配賦(共通費)計算の複雑さ

家賃や水道光熱費などの「間接費」を、各プロジェクトにどう割り振るか(配賦)。この計算ロジックがExcelの複雑なマクロになっており、担当者しか触れない「ブラックボックス」化しているケースが多々あります。

kintone×勘定奉行による原価管理自動化フロー

「入力しやすいフロントシステム(kintone)」と「堅牢なバックエンド(勘定奉行)」を分けることが成功の秘訣です。

フロー1:現場での工数・経費入力(kintone)

現場社員は、スマホやPCからkintoneに入力します。

  • 工数入力: 「Aプロジェクトに3時間」「Bプロジェクトに5時間」といった日報形式で入力。
  • 経費精算: 立替経費や外注費の請求書もkintoneで申請・承認。

フロー2:原価計算・配賦(kintone)

kintone上で、蓄積されたデータを元に原価を計算します。

  • 労務費計算: 社員ごとの「時間単価(標準単価)」×「作業時間」で自動計算。
  • 配賦計算: 部門共通費などを、工数比率に応じて各プロジェクトに自動按分。

フロー3:勘定奉行への仕訳連携

計算結果を「仕訳データ」として勘定奉行に連携します。これにより、会計上の「プロジェクト別損益計算書」が完成します。

【仕組み】工数管理から仕訳データ連携までの流れ

具体的なデータの流れは以下のようになります。

  1. 日次:現場入力

    エンジニアや現場監督がkintoneアプリに工数を入力。プロジェクトコードは勘定奉行の「プロジェクトコード」と一致させておきます。

  2. 月次:承認・締め処理

    プロジェクトマネージャーが工数と経費を承認。月次でデータをロック(締め処理)します。

  3. 月次:原価計算ロジック実行

    kintoneのカスタマイズ機能や計算プラグインを使用し、直接費・間接費をプロジェクトごとに集計します。

  4. 連携:CSV/API連携

    勘定奉行のインポート形式に合わせたCSV(仕訳データ)をボタン一つで書き出し、会計ソフトに取り込みます。

連携事例:IT企業・建設業での改善実績

事例1:受託開発・IT企業(従業員50名)

課題: 複数のプロジェクトを兼務するエンジニアが多く、誰がどの案件にどれだけコストをかけているか不明確だった。

導入内容:

  • kintoneで「工数管理アプリ」を作成し、カレンダー形式で入力負荷を軽減。
  • 社員マスタに「標準単価」を持たせ、リアルタイムでプロジェクト原価を表示。

効果:

✅ 収支の可視化: 「実は赤字だった案件」が特定され、見積もり精度の向上に繋がった。

✅ 決算早期化: 原価計算のExcel作業がなくなり、月次決算が5日早まった。

事例2:専門工事・建設業(従業員30名)

課題: 現場ごとに発生する材料費や外注費の請求書が紙で届き、奉行への入力漏れが頻発していた。

導入内容: 請求書受領時にkintoneへ登録し、案件ごとの「実行予算」と「実績」を対比させるアプリを構築。

効果: 予算超過のアラートが出るようになり、発注段階でのコストコントロールが可能になった。

失敗しない連携方法の選び方(API vs CSV)

勘定奉行との連携には主に2つの方法があります。

連携手法 コスト 特徴
CSV連携 推奨。 kintoneからCSVを書き出し、奉行で読み込む最も一般的な方法。コストパフォーマンスが良い。
API連携 奉行クラウドAPIを使用し、ボタン一つで同期。便利だが、API利用料や開発費が高額になりがち。

まずは「CSV連携」からスモールスタートし、運用が定着してからAPI化を検討することをおすすめします。

よくあるトラブル:配賦(共通費)の扱い

重要ポイント:
すべてのコストを厳密に配賦しようとすると計算が複雑になりすぎて失敗します。

まずは「直接費(労務費・外注費)」の正確な把握から始めましょう。家賃や管理部門の人件費などの「間接費」は、kintone上では「全社共通プロジェクト」として集計するか、一定の「配賦率(例:労務費の20%)」で簡易計算するなど、運用ルールを簡素化することが成功の鍵です。

セキュリティと内部統制

原価情報は、社員の給与ランクなどが推測できる機密情報です。

  • 閲覧制限: kintoneの「アクセス権」設定機能を使い、一般社員には「自分の工数」だけ見せ、管理者には「金額(原価)」を見せるという制御が可能です。
  • ログ管理: 誰がいつデータを修正したかの履歴が残るため、不正なデータ改ざんを防止できます。

よくある質問(FAQ)

Q1: 勘定奉行の「プロジェクトコード」と連携できますか?

A: はい、可能です。kintone側でプロジェクトマスタを持ち、勘定奉行のコードと一致させることで、スムーズなデータ連携が実現します。

Q2: 現在Excelで管理していますが、移行は大変ですか?

A: kintoneはExcelを取り込んでアプリ化できるため、現在の管理項目をそのまま移行しやすいのが特徴です。いきなり完全自動化を目指さず、まずは「工数入力のWeb化」から始め、徐々に原価計算へとステップアップすることをおすすめします。

Q3: 連携構築の期間と費用感は?

A: CSV連携による標準的な構築であれば、期間は1〜2ヶ月、費用は30〜50万円程度からスタート可能です(要件により変動します)。

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まとめ:どんぶり勘定からの脱却

勘定奉行とkintoneによる個別原価管理の連携は、単なる「事務作業の効率化」ではありません。「どのプロジェクトが儲かっているか」をリアルタイムに把握し、経営判断を早くするための投資です。

しかし、原価管理システムの導入は「計算ロジックの定義」や「現場への定着」など、システム以外のハードルが高いのも事実です。

はてなベース株式会社では、システム開発だけでなく、「御社の業務フローに合わせた無理のない原価管理ルール」の策定からサポートいたします。

「今のExcelをkintoneに置き換えたらどうなるか?」といったシミュレーションも可能です。まずはお気軽にご相談ください。

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