1. はじめに – kintoneと条件分岐プラグインの概要
「業務アプリの入力作業を自動化したい」「入力ミスや漏れを防ぎたい」と考えている方は多いはず。そんな声に応え、kintoneユーザーに人気なのが条件分岐プラグインです。
kintoneは、プログラミングの知識不要で社内業務アプリを作れるクラウドサービス。その中でも条件分岐プラグインは、指定した条件に達した際に自動入力やエラーチェックができる機能拡張ツールとして、業務効率化に大きく貢献しています。

kintoneの条件分岐プラグイン設定画面 - 直感的なインターフェースで初心者でも簡単に設定できる
本記事では、「kintoneの条件分岐プラグインとは」という観点から、基礎・特徴・設定方法・活用例まで、初心者にもわかりやすく徹底解説します。これからkintoneを始めたい方、さらに業務効率を上げたい方、ぜひご覧ください。
2. 条件分岐プラグインとは?基礎知識を詳しく解説
条件分岐プラグインの基本概要
条件分岐プラグインは、kintoneの機能を拡張するプラグインの一つです。指定した条件に達した際、自動的に入力したり、エラーチェックができたりする機能を提供します。
自動入力・自動計算・入力チェック・書式変更など
入力ミス防止・作業効率化・データ品質向上
kintoneを使用している企業・チーム・個人
プログラミング知識不要、基本的なkintone操作ができれば設定可能
今なぜ条件分岐プラグインが注目されるのか
近年、業務効率化やDX推進の重要性が高まる中、「入力作業の自動化」「ヒューマンエラーの削減」「データ品質の向上」が求められています。条件分岐プラグインは、これらの課題を解決する手段として注目を集めています。
さらに、リモートワークの普及により、「誰でも同じ品質でデータ入力できる仕組み」「チーム間の情報連携の自動化」のニーズが高まり、条件分岐プラグインの重要性がさらに増しています。
3. 条件分岐プラグインの主な機能10選
条件分岐プラグインには、さまざまな機能が備わっています。以下では、主要な10の機能を紹介します。
1. 自動入力・自動コピー
条件分岐プラグインの最も基本的な機能の一つが「自動入力・自動コピー」です。フィールドを指定しておけば、自動で設定された値を入力したり、他のフィールドの値をコピーしたりできます。
- 生年月日を入力すると年齢が自動計算される
- ステータスが「受注」に変わると、自動で受注日時が入力される
- 進捗を「請求」に変えると見積金額がコピーされて売上金額に反映される
2. 日付の自動計算
条件分岐プラグインを使うと、日付の自動計算が可能です。うるう年にも対応しており、カレンダーの暦に合わせて自動出力できます。
- 契約日から自動で契約終了日(1年後)を計算
- 納品日から支払期日(30日後)を自動設定
- タスク作成日から次回フォロー日(2週間後)を自動計算
3. 入力不要項目の非表示
条件に応じて、入力不要な項目を非表示にできる機能です。これにより、入力画面がすっきりし、必要な項目だけに集中できます。
- 顧客種別が「法人」の場合のみ、担当者名や部署名フィールドを表示
- 支払方法が「銀行振込」の場合、クレジットカード情報欄を非表示
- 商品カテゴリによって、関連する詳細情報フィールドだけを表示
4. テーブル行を自動で追加
条件分岐プラグインを活用すると、テーブル行を自動で追加できます。複数行の追加も可能で、条件に合わせてテーブルの値を変化させることができます。
- 商品を選択すると、関連する部品や付属品の行が自動追加
- プロジェクトタイプを選ぶと、必要なタスク一覧が自動的にテーブルに追加
- イベント種別に応じて、必要な準備項目リストが自動生成
5. 保存時チェック
保存時チェックとは、エラーとなる条件を設定し、条件に当てはまるときに保存ボタンを押すと、エラーが表示される仕組みです。
- 必須項目が未入力の場合にエラーメッセージを表示
- 数値が特定の範囲を超えている場合に警告
- 日付の前後関係が矛盾している場合(例:開始日が終了日より後)にエラー表示
保存時チェック機能を活用することで、データの整合性を保ち、入力ミスや論理的な矛盾を防止できます。
6. 書式変更
条件分岐プラグインで書式変更を自動で行えます。定めたフィールドの背景や前景の色を条件に従って変更できます。
- 粗利率が30%以下の場合に文字色を赤に変える
- 期日を過ぎたタスクの背景色を変える
- 在庫数が少ない商品を黄色でハイライト表示
7. 自動採番
自動採番は、レコードに自動で通し番号をつけ、文章の重複を防ぐ機能です。
- 請求書番号や見積書番号の自動生成
- 案件種別やグループごとの採番
- 年度や月ごとにリセットされる連番の生成
8. アプリ間更新
kintoneの条件分岐プラグインには、アプリ間更新機能が備わっています。複数のアプリを使っている際に、連動する情報を一括で管理できます。
- 顧客情報が更新されたら、関連する案件情報も自動更新
- 入金管理アプリと売上管理アプリの連携
- 在庫管理と発注管理の自動連携
9. 削除時チェック
レコードを削除する際に確認メッセージが表示される機能です。削除前にメッセージで確認を求められるため、誤削除を防止できます。
- 重要なレコードの削除前に警告メッセージを表示
- 関連データがある場合に削除の影響を警告
- 特定の権限がないユーザーの削除操作を制限
10. その他の便利機能
上記以外にも、条件分岐プラグインには様々な便利機能があります。
- 計算式による複雑な数値処理
- 条件付き必須項目の設定
- 複数条件の組み合わせによる高度な分岐処理
5. 条件分岐プラグインの設定方法をステップ解説
ここでは、条件分岐プラグインの基本的な設定方法を初心者向けにステップバイステップで解説します。
- kintoneのシステム管理画面を開く(右上の歯車アイコン→「システム管理」)
- 左メニューから「プラグイン」を選択
- 「プラグインのアップロード」から条件分岐プラグインのファイルを選択してアップロード
- 設定したいアプリの管理画面を開く(アプリ内の歯車アイコン)
- 「プラグイン」を選択
- 「プラグインを追加」から条件分岐プラグインを選択して追加
- 追加したプラグインの「設定」ボタンをクリック
- 「+」ボタンをクリックして新しい設定タブを作成
- 設定タブ名を入力(例:「自動入力設定」「エラーチェック」など)
- 動作条件を設定(いつ処理を実行するか)
- 「条件」セクションで、処理を実行する条件を設定
- 「処理」セクションで、条件が満たされた時に実行する処理を選択
- 処理の詳細(対象フィールド、値など)を設定
- 「保存」ボタンをクリックして設定を保存
- アプリに戻り、新しいレコードを作成するか既存のレコードを編集
- 設定した条件を満たすようにフィールドに値を入力
- 条件分岐プラグインが正しく動作するか確認
- 必要に応じて設定を調整
FAQ: よくある疑問
はい、AND条件やOR条件を使って複数の条件を組み合わせることができます。例えば「ステータスが受注中 AND 金額が10万円以上」といった複合条件が設定可能です。
まず動作条件(レコード追加時、フィールド変更時など)が正しく設定されているか確認してください。また、条件に使用しているフィールドのフィールドコードが変更されていないかも確認しましょう。
6. 条件分岐プラグインの活用例・利用シーン
条件分岐プラグインは様々な業務シーンで活用できます。ここでは、実際の業務で役立つ活用例を紹介します。
営業・顧客管理での活用
- 商談ステータス管理:ステータスが「成約」に変わったら自動で成約日を入力
- フォロー管理:最終接触日から一定期間経過したら次回フォロー日を自動設定
- 顧客ランク分け:年間取引額に応じて顧客ランクを自動判定して表示
プロジェクト・タスク管理での活用
- 進捗管理:完了予定日が近づくとタスクの背景色を変更して注意喚起
- 工数計算:開始日と終了日から自動で作業日数を計算
- 担当者割り当て:タスク種別に応じて適切な担当部署を自動入力
経費・請求管理での活用
- 消費税計算:税抜金額を入力すると自動で消費税と税込金額を計算
- 予算チェック:部門予算を超える申請があった場合にエラー表示
- 請求書番号:年月と連番を組み合わせた請求書番号の自動生成
人事・勤怠管理での活用
- 勤続年数計算:入社日から現在までの勤続年数を自動計算
- 有給休暇管理:取得日数に応じて残日数を自動更新
- 評価フォーム:評価ランクに応じてコメント必須化や背景色変更
条件分岐プラグインは、繰り返し行われる定型的な入力作業や、ミスが発生しやすい計算処理、データの整合性チェックなどに特に効果を発揮します。自社の業務フローを分析し、「ここを自動化できれば効率が上がる」というポイントを見つけることが重要です。
7. 自動ルックアップ機能の設定方法
ルックアップとは、他のアプリから必要な情報を引用する機能です。条件分岐プラグインには、ルックアップを自動で行う機能があります。ここでは、自動ルックアップ機能の設定方法を詳しく解説します。
最初に、kintoneのシステム管理を開きましょう。右上の歯車マークを選択し、画面の一覧からプラグインを選択します。そして、画面に従い、条件分岐処理プラグインを読み込み、プラグインの一覧画面に条件分岐処理プラグインが入ったことを確認します。
次に、使用したいアプリの設定から「プラグイン」を選択しましょう。その後、「プラグインの追加」から条件分岐処理プラグインをチェックして追加のボタンを選択します。設定を求められる場合があるため、画面の指示に従い設定を完了します。
次に、フィールドを追加・設定します。初めて利用する場合は、ルックアップフィールドの設定を実施しましょう。アプリの右上にある歯車マークから設定画面を表示して、ルックアップフィールドの名前を変更します。名前は、「元アプリの名前と管理番号」、「社内で分かりやすい名前と番号」などの一目で分かりやすいよう組み合わせを社内で統一しておくとよいでしょう。そして、ルックアップフィールドを設定し、元アプリとルックアップするアプリを紐づけます。設定が完了したら、アプリを更新します。
フィールドの追加・設定が完了したら、次にプラグインの設定に進みます。設定画面が表示されたら、設定タブの名前や動作条件を決めます。設定タブ名はメンテナンスをする際に、分かりやすいように設定しておくことがおすすめです。動作条件には、元アプリのレコード番号を獲得するフィールドに値が入ったら動くように設定しておきましょう。
最後に、自動ルックアップの設定をします。自動ルックアップを選択すると、以下の項目の詳細設定が可能です。
- 参照元アプリ:元アプリを選ぶ
- 取得するレコードの条件:ルックアップ元アプリのレコード番号と、情報を取得したい元アプリ取得するフィールドの2つをリンクする
- 取得するフィールド:データを反映させるフィールドとルックアップ先アプリのフィールドをリンクさせる
- データの上書き:データを常に上書きする場合にチェック
設定後は、アプリの更新を忘れないようにしましょう。
自動ルックアップを設定する際は、参照元アプリと参照先アプリの関係性を明確にしておくことが重要です。また、大量のデータを扱う場合はパフォーマンスに影響する可能性があるため、必要最小限のフィールドだけを取得するようにしましょう。
8. 条件分岐プラグイン活用のためのおすすめTips
効率的な設定のコツ
- 設定タブの命名規則:「機能名_対象フィールド」など、わかりやすい命名規則を決めておく
- テスト環境での検証:本番環境に適用する前に、テスト環境で動作確認を行う
- 設定のドキュメント化:どのような条件分岐を設定したか記録しておく
よくある失敗とその対策
- 無限ループの発生:フィールドAの変更でフィールドBが変わり、それによってまたフィールドAが変わる…という循環参照に注意
- 条件の複雑化:条件が複雑すぎると管理が難しくなるため、シンプルな条件設計を心がける
- フィールドコードの変更:設定後にフィールドコードを変更すると動作しなくなるので注意
条件分岐プラグインの設定は、一度に全てを完璧にしようとせず、小さな機能から段階的に導入していくことをおすすめします。ユーザーからのフィードバックを取り入れながら改善していくことで、より使いやすいアプリに育てていくことができます。
トラブル対策・よくある質問
動作条件(レコード追加時、フィールド変更時など)が正しく設定されているか確認してください。また、条件に使用しているフィールドのフィールドコードが変更されていないかも確認しましょう。
設定タブを機能ごとにまとめ、命名規則を統一することで管理しやすくなります。また、設定内容をドキュメント化しておくことも重要です。
参照先アプリのレコード数が多い場合や、取得するフィールドが多い場合にパフォーマンスが低下することがあります。必要最小限のフィールドだけを取得するように設定を見直してみてください。
9. まとめ&これから始める人へのアドバイス
条件分岐プラグインの導入ステップ
- まずは自社の業務フローを分析し、自動化したいポイントを洗い出す
- 小さな機能から段階的に導入し、効果を確認しながら拡張していく
- ユーザーからのフィードバックを取り入れ、継続的に改善する
どんな人におすすめか
入力作業の自動化でチームの生産性向上を実現
入力ミスや漏れを防止し、高品質なデータ管理を実現
プログラミングなしで高度な機能を実装
今後の展望
kintoneの条件分岐プラグインは、今後も機能拡張が進み、より使いやすく、より高度な自動化が可能になると予想されます。特にAI技術との連携や、より複雑な条件設定、他システムとの連携強化などが期待されています。