【2026年6〜8月】Claudeの仕様変更まとめ——新モデル・料金・Cowork・Slack連携・管理機能、追いつけていない人向けに3か月分を一枚に

この3か月で Claude は新モデル3つ、料金改定、Cowork のスマホ対応、Slack 連携、透かし導入、管理機能の拡充と変化が続いた。公式発表だけを根拠に年表と立場別(使う人・管理する人・作る人)で整理し、今日やる一歩まで示す。

この3か月、Claude の変化が速すぎて追いきれない。そんな声を、経営者や管理部門の方から続けて聞きました。新しいモデルが3つ出て、料金が変わり、スマホで使える機能が増え、管理者向けの設定も増えました。ひとつずつは小さなニュースでも、まとめて見ないと「いま自分は何を使えていて、何を見落としているか」が分かりません。

そこでこの記事は、2026年6月から8月25日までの Claude の仕様変更を、Anthropic の公式発表と公式リリースノートだけを根拠に一枚にまとめました。読み方は3つの立場で分けています。「使う人」(日々 Claude に相談する人)、「管理する人」(情シス・総務で設定と安全を見る人)、「作る人」(API で業務に組み込む人)。自分の立場の章だけ読めば、今日から追いつけるようにしました。

この3か月の変化を一言でいえば、「賢いチャット」から「任せられる同僚」への移行が、モデル・アプリ・管理・API の4方向で同時に進んだ。

この記事の要約

まず全体を年表で

細かい話に入る前に、主要な出来事を日付順に並べます。太字は、読者の多くに影響する項目です。

日付出来事関係する人
6月9日最上位モデル「Claude Fable 5」公開(Mythos級の一般提供版)全員
6月12日米政府の輸出規制指示で Fable 5・Mythos 5 が一時停止全員
6月23日Slack で使う「Claude Tag」が Team・Enterprise に提供開始使う人
6月26日API の利用上限を引き上げ、利用ティアを3段階に統合作る人
6月30日「Claude Sonnet 5」公開($2 / $10)、研究者向け「Claude Science」ベータ全員
7月1日Fable 5・Mythos 5 の提供を再開全員
7月7日Cowork がスマホ・Web でも使えるように(クラウドで作業が続く)使う人
7月10日記憶(メモリ)機能を刷新。会話中に項目単位で更新使う人
7月24日「Claude Opus 5」公開($5 / $25、高速モード付き)全員
8月5日旧モデル Opus 4.1 を廃止。企業向け「推論フック」ベータ管理する人
8月10日Sonnet 5 の導入価格 $2 / $10 を正式価格に(値上げ中止)作る人
8月13日Claude Tag が会話の流れを読んで発言判断(約30%改善)使う人
8月14日Claude の文章に「透かし」を導入(EU AI 法対応)全員
8月19〜20日Computer Use・Skills API・Files API が正式版、Python SDK 1.0作る人
8月20日学習サイト「Claude Academy」公開使う人
8月21日Mythos 5 のセキュリティ診断機能を全 Enterprise に開放管理する人
2026年6月〜8月の Claude 主要アップデート年表。Fable 5 公開、一時停止と再開、Sonnet 5、Cowork スマホ対応、Opus 5、透かし導入、Computer Use 正式版
3か月の主な出来事(Anthropic 公式発表・リリースノートをもとに筆者作成)

モデルと料金——3か月で3つの新モデル

いちばん混乱しやすいのがモデルの話です。6月から8月で、上位・中位・普及帯のモデルがすべて入れ替わりました。現在の顔ぶれと料金を先に表にします。料金は API 利用時の100万トークン(日本語でおよそ50〜70万文字)あたりの価格で、左が入力、右が出力です。

モデル公開日位置づけAPI 料金(入力 / 出力)
Claude Fable 56月9日一般提供される最上位。Mythos 5 と同じ土台に安全装置を加えた版$10 / $50
Claude Opus 57月24日Fable 5 に近い性能を半額で。Max プランの標準モデル$5 / $25
Claude Sonnet 56月30日コストを抑えた普及帯。文書作成・要約・ツール操作の主力$2 / $10
Anthropic 公式サイト「Introducing Claude Opus 5」発表ページ(2026年7月24日)
Anthropic 公式の Claude Opus 5 発表ページ(2026年7月24日)

Fable 5——「Mythos級」が誰でも使える形に

6月9日に出た Fable 5 は、Anthropic が「Mythos級」と呼ぶ新しい階層のモデルです。従来の最上位だった Opus の上に位置します。Mythos 5 そのものは、サイバー攻撃に転用されるおそれがあるため、承認された組織にしか渡されません。Fable 5 は同じ土台に安全装置を加えて、誰でも使えるようにした版です。この背景はMythos 5 はなぜ防御者にしか渡されないのかで詳しく書きました。

押さえておきたい実務上の違いが2つあります。ひとつは文字の数え方が変わり、以前のモデルより同じ文章でおよそ30%多くトークンを使うこと(Opus 4.7 以降と同じ方式)。もうひとつは、Fable 5 では30日間のデータ保持が必須で、「データを一切残さない」契約(ゼロ保持)では使えないことです。厳しい機密要件のある業務では、この点で Opus 5 を選ぶ判断もあります。

6月12日の一時停止と、7月1日の再開

Fable 5 公開の3日後、米政府が安全保障上の理由で「外国籍の利用者への提供停止」を指示し、Anthropic は全利用者への提供を止めました。政府側が、安全装置を回避する手法を把握したためとされています。6月30日に規制が解除され、7月1日に再開。再開版では回避手法の99%超を防ぐ新しい安全分類器が入っています。

ここから学べるのは「特定モデルに依存した業務は、モデルが止まると業務も止まる」ということです。約3週間の空白のあいだ、Opus 4.8 など他のモデルは通常どおり使えました。業務に組み込むなら、切り替え先を決めておく設計が要ります。

Sonnet 5 と Opus 5——普及帯と中位が刷新

6月30日の Sonnet 5 は、当初「導入価格 $2 / $10、9月1日から $3 / $15 に値上げ」と案内されていましたが、8月10日に値上げが取りやめになり、$2 / $10 が正式価格になりました。日常の文書作成や要約は、まずこのモデルで足ります。

7月24日の Opus 5 は、価格は前の Opus 4.8 と同じ $5 / $25 のまま、性能は大きく上がりました。公式発表では、コーディングの指標で Fable 5 の最高得点に0.5%差まで迫り、費用は半分。パソコン操作の指標では Fable 5 を上回った、とされています。新しく「高速モード」も付き、通常の約2.5倍の速さで動く代わりに料金は2倍です。会議中にその場で答えが欲しい、といった場面向けの選択肢です。有料プラン Max では Opus 5 が標準モデルになっています。

一方で、古いモデルは順に廃止されています。6月15日に Opus 4 と Sonnet 4、8月5日に Opus 4.1 が API から使えなくなりました。社内ツールが古いモデル名を指定したままだと、ある日突然エラーになります。Claude 全モデル比較ガイドも、この機会に読み直すと整理しやすいはずです。

使う人向け——スマホ・Slack・記憶が変わった

ここからは、Claude を日々の相談相手として使っている人に関係する変更です。開発の知識は要りません。

Cowork がスマホと Web で動く(7月7日)

Cowork は、ファイル整理やデータ分析、パソコン操作まで Claude にまとめて任せる機能です。これまではデスクトップ版だけでしたが、7月7日から Web とスマホ(iOS・Android)でも使えるようになりました。大きいのは、作業が Anthropic 側のクラウドで動くので、ノートパソコンを閉じても仕事が続くことです。外出先のスマホから「この資料をまとめておいて」と頼み、戻ったら終わっている、という使い方ができます。まず Max プランから順次提供です。使い方の全体像はClaude Cowork 完全ガイドにあります。

記憶のしくみが変わった(7月10日)

Claude があなたのことを覚えておく「メモリ」機能が刷新されました。以前は1日ごとの要約をためる方式でしたが、今は「好みの文体」「担当している案件」のように項目ごとに記録し、会話の途中でも更新されます。何を覚えているかは設定画面で確認・削除できます。7月9日には、その月に何を相談したかを振り返る「月次まとめ」、休憩を促す通知、夜間は通知しない「静かな時間」の設定も加わりました。

Slack の中で仕事を頼める「Claude Tag」(6月23日→8月13日)

Team・Enterprise プランでは、Slack のチャンネルに Claude を参加させ、@メンションで仕事を頼めるようになりました(6月23日)。8月13日の改良で、Claude が「今は答えるべきか、黙っているべきか」を会話全体の流れから判断するようになり、その精度が約30%上がったと発表されています。短い質問にはその場で返し、重い作業はスレッドで進め、関係ない話には出てこない。この判断にかかる分は利用上限に含まれません。

文章に「透かし」が入る(8月14日)

EU の AI 規制に対応するため、Claude が書いた文章には目に見えない「透かし」が入るようになりました。単語の選び方に、専用の鍵がないと読めないパターンを混ぜる方式で、文章の質や料金には影響しないとされています。誰が書かせたかは分からず、個人や会社に結びつく情報は含みません。対象は一般的な文章・翻訳・コードのコメントで、正確な出力が必要なコードや、少し手直しするだけの校正は対象外です。検出用の仕組みは今後提供予定です。社外向け文書に AI を使う会社は、「AI が書いたと判定されうる」ことを前提にした運用ルールを考えておくとよいでしょう。

学習サイト「Claude Academy」(8月20日)

AI の使い方を学ぶ無料サイトが公開されました。Anthropic 社員向けの研修の枠組みをもとに、部門別の使い方や練習課題、修了バッジがあります。Claude の画面のメニューから開けます。「何から覚えればいいか分からない」という人の最初の一歩として、この記事の次に見るのに向いています。

管理する人向け——安全と統制の設定が一気に増えた

情シス・総務で Claude の設定を預かる人には、この3か月でできることが大きく増えました。数が多いので、用途別に表にまとめます。

日付機能何ができるか
6月2日カスタム役割の拡張オーナー権限を渡さずに、一部の管理操作だけを任せる役割を作れる
6月25日信頼済み端末Claude Code の遠隔操作を、管理者が承認した端末からだけに限定
7月14日HIPAA 設定のセルフサービス医療情報向けの契約設定を、問い合わせなしで自分で有効化
8月5日推論フック(ベータ)社内の AI セキュリティサーバーに全ての指示文を通し、許可・拒否を判定してから実行
8月6日スキル・プラグインの安全検査(ベータ)社員が入れた外部スキルを自動でマルウェア検査
8月3日・11日コンプライアンス API の拡張Cowork・Claude Code の作業記録を、監査用に取り出せる
8月21日Mythos 5 のセキュリティ診断を Enterprise に開放自社コードの脆弱性を AI が洗い出し、修正案まで提示

特に重要なのは8月5日の「推論フック」です。社員が Claude に何を送るかを、会社側の判定サーバーが事前に確認できる仕組みで、「機密を貼り付けてしまう」事故を入口で止められます。8月21日の Mythos 5 セキュリティ診断も見逃せません。これまで一部企業にしか渡されなかった能力が、Enterprise 全体に開放されました。Project Glasswing の記事で書いた「守る側に先に渡す」方針の延長です。

作る人向け——API で「任せる」ための部品がそろった

API で Claude を業務システムに組み込んでいる人向けの変更です。件数は最も多いのですが、要点は3つに絞れます。

  • 8月19〜20日、Computer Use・Skills API・Files API が正式版に。 画面操作、手順書の受け渡し、書類の保管という「AI に仕事を任せる3点セット」がベータを卒業しました。詳しくはComputer Use・Skills API・Files API 正式版のやさしい解説にまとめています。
  • 6月26日、利用上限が引き上げ。 Sonnet と Haiku の上限が Opus と同じになり、利用ティアが「Start / Build / Scale」の3段階に整理されました。ほとんどの組織が上のティアに移り、下がった組織はないとされています。
  • Managed Agents(サーバー側で動くエージェント基盤)が実用段階に。 定時実行(6月9日)、セッションごとの予算上限(8月7日)、推論を行う地域の指定(8月7日)、GitHub からのスキル読み込み(8月7日)が加わりました。仕組みの解説はClaude Managed Agents とはへ。

細かいところでは、6月2日から「安全装置が拒否して何も出力しなかった場合は課金されない」ようになり、7月8日から API キーに有効期限を付けられるようになりました。8月18日には試作画面の Workbench が「Playground」に置き換わり、8月20日に Python SDK が 1.0 になっています(古い書き方が一部使えなくなるので、更新前に移行ガイドの確認が必要です)。

研究者向けには、6月30日に「Claude Science」がベータ公開されました。ゲノムやタンパク質、化学のデータベース・解析ツール60種以上をひとつの作業環境にまとめたもので、Pro 以上のプランで使えます。製薬・バイオ以外の業種には直接関係しませんが、「Claude Code の科学版」という位置づけで、業種特化のアプリが今後も出る流れを示しています。

何から追いつくか——立場別の最初の一歩

全部を追う必要はありません。立場ごとに、今日やることを1つずつ挙げます。

  1. 使う人。 設定画面でモデルが Opus 5(Max)または Sonnet 5 になっているか確認し、メモリ設定で Claude が何を覚えているかを一度見る。Slack を使う会社なら Claude Tag をひとつのチャンネルで試す。
  2. 管理する人。 社員がどのプランで何を使っているかを棚卸しし、8月5日の推論フックと8月6日のスキル検査を有効にするかを決める。社外向け文書への AI 利用ルールに「透かし」の前提を加える。
  3. 作る人。 社内ツールが指定しているモデル名を確認し、廃止済み(Opus 4 / Sonnet 4 / Opus 4.1)があれば Opus 5 か Sonnet 5 に切り替える。Fable 5 を使っている業務には、停止時の切り替え先を決めておく。

筆者の実感として、この3か月で問い合わせが増えたのは「新機能の使い方」よりも「うちはどこまで使ってよいのか」という統制側の相談です。機能が増えるほど、線引きの設計が価値を持ちます。「AI導入」の本当の難しさで書いたとおり、個人の使いこなしより先に、会社としての運び方を決めるのが近道です。

まとめ

2026年6月から8月の Claude は、モデル(Fable 5・Sonnet 5・Opus 5)、アプリ(Cowork のスマホ対応・メモリ刷新・Slack 連携)、管理(推論フック・端末制限・監査記録)、API(Computer Use ほか正式版・利用上限引き上げ)の4方向が同時に進みました。一時停止と再開という出来事も含めて、「賢いチャット」から「任せられる同僚」へ、そして「同僚を会社として管理する」段階へ移っています。

追いつくコツは、全部を読むことではなく、自分の立場の章だけを押さえて、今日ひとつ設定を見直すことです。次に大きな変更があれば、また同じ形でまとめます。

「うちはどこまで Claude を使ってよいか」の線引きから一緒に設計します

はてなベースでは、Claude をはじめとする生成AIを既存の業務フローに組み込む設計から、AI 活用の前提となるデータ基盤の整備、そしてセキュリティが気になる企業向けのオンプレミス環境での生成AI導入までを一貫して支援しています。たとえば「社員が勝手に使い始めていて統制が追いつかない」「新モデルに切り替えたいが何が変わるか分からない」といった段階から、30分の無料相談でご相談ください。

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