Excel作業よ、さようなら!Geminiと創る定型業務“完全自動化”マクロ(VBA)作成術 | はてなベース株式会社

Excel作業よ、さようなら!
Geminiと日本語で創る、定型業務“完全自動化”マクロ(VBA)作成術

はてなベース株式会社 公式ブログ

はじめに:「あなたの会社にも、毎月、同じExcelファイルとにらめっこしている“Excel職人”がいませんか?」

月末や月初、あるいは毎週月曜日の朝。あなたの会社の誰かが、今日もまた、あの果てしない作業に、貴重な時間と精神力を費やしています。

複数のExcelファイルを開いては、特定の範囲をコピーし、マスターファイルに貼り付ける。ひたすら続く、コピー&ペーストの嵐。フィルタをかけ、並べ替え、関数を埋め込み、手作業でグラフを作成する…。

それは、創造性のかけらもない、ただの単純作業。しかし、誰かがやらねばならず、そして、驚くほど多くの時間が、この作業に吸い取られていく。

あなた自身が、あるいは、あなたの部下が、こんな「Excel手作業地獄」に陥ってはいませんか?

  • 「このレポート作成、毎月2日もかかっている。この時間がなければ、もっと本質的な仕事ができるのに…」
  • 「単純作業だからこそ、コピーミスや計算ミスが怖い。ダブルチェックにも時間がかかる…」
  • 「“マクロを使えば楽になる”と分かってはいるけど、VBAなんて、プログラミング経験のない自分には無理だと諦めている…」

もし、あなたがこの、会社の生産性を静かに蝕む「定型業務」という名の怪物に、少しでも心を痛めているなら、この記事は、その怪物を退治するための「魔法の剣」です。

今回ご紹介するのは、プログラミングの知識が一切なくても、GoogleのAI「Gemini」に、あなたが普段行っている作業を“日本語でお願いする”だけで、あなた専用の「業務自動化マクロ(VBA)」のコードを自動で生成させてしまう、まさに魔法としか言いようのない具体的な方法です。

この記事を読み終える頃、あなたは以下のスキルと未来を手にしています。

  • AIに、正確なVBAコードを生成させるための、的確な指示(プロンプト)の出し方
  • Geminiと対話しながら、単純な処理から、複雑な繰り返し処理まで、段階的に自動化マクロを構築していく全ステップ
  • ヒューマンエラーを撲滅し、定型業務にかかる時間を9割以上削減する、具体的なイメージ
  • 単純作業から解放され、人間にしかできない、より創造的で付加価値の高い仕事に集中できる、新しい働き方

もう、VBAの分厚い教本を前に、挫折する必要はありません。「Excel作業に追われる人生」に、今日で別れを告げましょう。

シナリオのご紹介:今日の主人公は、“月末のExcel集計”に苦しむ営業企画担当者

この物語は、多くのオフィスで、今日も誰かが行っているであろう、非効率な手作業との戦いの物語です。彼の抱える課題と、AIによる劇的な解放劇に、ぜひご自身の業務を重ね合わせてみてください。

【登場人物】

  • 斎藤さん: 中堅商社「グローバルトレード社」の営業企画部に所属する、入社5年目の社員。

【彼の課題】

毎月末、全国の営業担当者10名から提出される、フォーマットが微妙に異なるExcel形式の「売上報告書」を、一つのマスターファイルに手作業で転記し、全社の売上集計レポートを作成している。この、ひたすらコピー&ペーストを繰り返す作業に、毎月、丸2日間(約16時間)もの時間を費やしている。この時間がなければ、もっと重要な市場分析や、来期の営業戦略の立案に時間を使えるのに、と常に感じている。

今回は、この斎藤さんが、**長年、彼を苦しめ続けてきた「月末のExcelコピペ地獄」**をテーマに、Geminiと共に、その業務を完全自動化するマクロ(VBA)を作り上げていくプロセスを、誰にでも分かるように、超具体的に解説していきます。

第1章:なぜ、あなたの会社は「Excelの手作業地獄」から抜け出せないのか?

実践的な手法に入る前に、なぜ多くの企業が、DXが叫ばれる現代においても、この非効率な「Excelの手作業」から抜け出せないのか、その構造的な問題を理解しておきましょう。

手作業がもたらす「3つの大損失」

  • 【損失①】時間の浪費: 人件費という最大のコストを、付加価値を全く生まない単純作業に投入し続けています。
  • 【損失②】ミスの発生: 人間が手作業で行う以上、ヒューマンエラーは絶対に避けられません。一つのミスが、経営判断を誤らせる可能性すらあります。
  • 【損失③】モチベーションの低下: 創造性のない、単純作業の繰り返しは、社員のエンゲージメントとモチベーションを著しく低下させます。

これらの損失を解決する唯一の方法が「マクロによる自動化」であることは、誰もが知っています。しかし、そこには**「VBAの壁」**という、あまりに高く、分厚い壁が立ちはだかっていました。Geminiの登場によって、その壁は、音を立てて崩れ去りました。

第2章:Geminiに“魔法の呪文”を唱える前の、最も重要な準備

AIに、あなたが望む通りの完璧なVBAコードを生成させるには、AIに丸投げするのではなく、人間側で、ほんの少しだけ「準備」をする必要があります。この準備こそが、自動化成功の鍵を握ります。

準備①:あなたが行っている作業の「手順」を、日本語で細かく分解する

まず、あなたが無意識に行っている一連の手作業を、一つひとつの「動作」に分解し、箇条書きで言語化します。これは、AIに正確な指示を出すための「レシピ作り」です。

【斎藤さんの作業手順書】

  1. C:\Work\Report フォルダにある、マスターファイル「月次レポート(マスター).xlsm」を開く。
  2. C:\Work\Source フォルダを開く。
  3. その中にある、全てのExcelファイル(.xlsx)を、一つずつ順番に処理する。
  4. 開いた営業担当者のファイルの中の、「売上実績」シートを選択する。
  5. そのシートの、A2セルからG列の最終行までの範囲をコピーする。
  6. マスターファイルの「全データ」シートを選択する。
  7. そのシートの、A列の最終行の、さらに一つ下の行を選択する。
  8. そこに、コピーした内容を「値のみ」で貼り付ける。
  9. 開いた営業担当者のファイルを、保存せずに閉じる。
  10. C:\Work\Source フォルダ内の、全てのファイルに対して、3~9の処理を繰り返す。
  11. 全ての処理が終わったら、マスターファイルを上書き保存して、閉じる。

ポイント: このように、**「誰が聞いても、他の解釈のしようがないレベル」**まで、作業を具体的に、そして細かく分解することが、AIへの指示の精度を決定づけます。

準備②:Excelの「オブジェクト名」を正確に把握する

次に、レシピで使う「材料の名前」を正確にメモしておきます。VBAにとって、ファイル名やシート名、セルの番地は、目的の場所にたどり着くための、唯一の「住所」です。

第3章:実践編|Geminiと創る!日本語だけでExcelマクロ(VBA)を自動生成する4ステップ

いよいよ、斎藤さんはGeminiのチャット画面を開き、準備した「レシピ」と「材料名」を使って、魔法の呪文(プロンプト)を唱えていきます。

【ステップ1】小さなタスクから始める:“ひとつの処理”をお願いしてみる

いきなり複雑な処理をすべてお願いするのではなく、まずは、動作確認も兼ねて、簡単な処理から始めます。

【プロンプト例1:ファイルを開くコードの作成】

あなたは、Microsoft ExcelのVBAに非常に詳しい、プロのプログラマーです。
これから、私が日本語でお願いする作業を、Excel VBAのコードに変換してください。

まず最初のステップとして、「C:\Work\Report\月次レポート(マスター).xlsm」というExcelファイルを、VBAで開くためのコードを作成してください。

Geminiの回答(例)

Sub OpenMasterFile()
' マスターファイルを開く
Workbooks.Open "C:\Work\Report\月次レポート(マスター).xlsm"
End Sub

【ステップ2】複数の処理を組み合わせる:作業プロセスを具体的に指示する

次に、準備した手順書の中から、中核となる「コピー&ペースト」の処理を、具体的に指示します。

【プロンプト例2:コピー&ペースト処理のコード作成】

ありがとう。次に、別のファイルからデータをコピーしてくる処理を追加します。
以下の処理を行うVBAコードを作成してください。

1. 「C:\Work\Source\田中売上報告.xlsx」を開く。
2. その中の「売上実績」シートの、A2セルからG列のデータがある最終行までの範囲をコピーする。
3. 「月次レポート(マスター).xlsm」の「全データ」シートを選択する。
4. そのシートのA列の最終行の、さらに一つ下の行に、コピーした内容を「値のみ」で貼り付ける。

【ステップ3】繰り返し(ループ)処理:手作業地獄の根源を断つ!

ここからが、自動化の真骨頂です。これまで斎藤さんが10人の営業担当者分、10回繰り返していた作業を、ループ処理で一気に片付けさせます。

【プロンプト例3:ループ処理の追加】

素晴らしいです。これを、さらに進化させます。
ステップ2で作成した処理を、「C:\Work\Source」というフォルダの中にある、全てのExcelファイル(拡張子が .xlsx のもの)に対して、順番に実行するように、ループ処理を追加してください。

【ステップ4】仕上げとエラー処理:より“気が利いた”マクロに進化させる

最後に、より実用的なマクロにするための、仕上げの処理を追加させます。

【プロンプト例4:メッセージ表示とエラーハンドリングの追加】

完璧です!最後に、このマクロをさらに使いやすくするための、以下の機能を追加してください。

1. マクロの実行前に、「これから集計を開始します。よろしいですか?」という確認メッセージを表示する。
2. 処理が完了したら、「〇件のファイルを集計しました。お疲れ様でした!」という完了メッセージを表示する。(件数もカウントして表示)
3. もし、処理の途中でエラーが発生してもマクロが途中で止まらないように、基本的なエラーハンドリング(On Error Resume Next)を追加してください。

第4章:完成した「自動化マクロ」と、取り戻した“16時間”

最終的に完成したVBAコードの全体像を、斎藤さんは感慨深く眺めました。それは、彼がこれまで手作業で、16時間かけて行っていた全てのプロセスが、コードとして凝縮されたものでした。

彼は、Excelシートに「集計実行」というボタンを設置し、そのボタンに、完成したマクロを登録しました。そして、月末。彼は、深呼吸をして、そのボタンをクリックしました。

すると、どうでしょう。これまで、彼の2日間を奪い続けてきた、あの忌まわしい作業が、PCの画面上で、目にもとまらぬ速さで実行されていきます。

わずか30秒後。画面に、メッセージボックスが表示されました。「10件のファイルを集計しました。お疲れ様でした!」

斎藤さんは、声にならない声を上げました。彼は、ただマクロを作ったのではありません。彼は、AIと共に、月に16時間という、自由な時間を、自らの手で創り出したのです。

第5章:注意点と成功の秘訣

  • AIのコードは“完璧”ではない。対話で育てる: エラーが出ても諦めず、そのエラーメッセージをGeminiに伝えて「質問」し、対話しながらデバッグすることが成功の鍵です。
  • 具体的で、正確な指示がすべて: 「作業手順の超・分解」と「オブジェクト名(ファイル名、シート名)の正確な指定」が、コード生成の精度を99%決定づけます。
  • セキュリティへの最低限の配慮: コードを実行する前に、ざっとで良いので、何をしているコードなのかを眺める癖をつけましょう。Geminiに「このコードに、何か危険な処理は含まれていませんか?」と尋ねるのも有効です。

まとめ:あなたは「Excel職人」から、業務をデザインする「自動化の司令塔」へ

Geminiの登場により、Excelマクロ(VBA)の作成は、もはや、一部のプログラマーや、PCに詳しい人だけの専売特許ではなくなりました。

日本語で「やりたいこと」を、論理的に、そして具体的に伝えさえすれば、誰もが、業務自動化の強力な武器を、手に入れることができる。そんな、驚くべき時代が、もう始まっているのです。

あなたの会社にも、まだ、人間がやるべきではない、非効率な定型業務が、たくさん眠っていませんか?単純作業は、AIという最高の部下に任せましょう。そして、私たち人間は、人間にしかできない、考える、創造する、そして新しい価値を生み出す仕事に、集中しようではありませんか。

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今回ご紹介したExcelマクロの自動生成は、業務改革の、ほんの小さな一歩です。「Excelだけでなく、他のSaaSツール(Salesforce, kintoneなど)との連携も自動化したい」「個別の業務改善だけでなく、部署全体のワークフローを、AI時代に最適化したい」「RPA(Robotic Process Automation)やiPaaSといった、より高度な自動化ツールを導入・活用するノウハウを知りたい」

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