Claude Code セキュリティプラグインが全プランで無料提供——コードを書きながら脆弱性を自動検出する3層レビュー

Anthropicが全プラン無償提供するClaude Codeセキュリティプラグインの仕組みと、開発現場への導入手順をまとめた。

2026年5月26日、Anthropicの公式開発者アカウント @ClaudeDevs が、Claude Code 向けのセキュリティプラグイン「security-guidance」を全プランのユーザーへ無償提供することを発表しました。コードを書いている最中に脆弱性を検出し、同じセッション内で修正まで完結する仕組みが特徴です。プルリクエスト到達前に問題を潰すことで、コードレビューの負担を減らす「シフトレフト型」のアプローチです。

公式アナウンス

@ClaudeDevs(2026年5月26日):「We've shipped a security-guidance plugin for Claude Code that helps identify and fix vulnerabilities as you're writing code. Available for all Claude Code users. Install from the plugin marketplace (/plugins).」

security-guidance プラグインとは

security-guidance は、Claude Code が行ったコード変更を Claude 自身がセキュリティ視点でレビューし、問題を見つけたら同セッション内で修正する仕組みです。Anthropicが公式管理するプラグインディレクトリ「claude-plugins-official」からインストールするため、サードパーティプラグインではなく Anthropic 公式のプラグインです。

特徴的なのは「自動で動く」点です。インストール後は特別なコマンドを毎回叩く必要がなく、Claude Code がコードを書くたびにバックグラウンドでレビューが走ります。開発フローを変えずにセキュリティチェックを組み込めます。

利用可能なプラン

無料プランを含む全プランで利用可能(Free / Pro / Team / Enterprise / Max)。プラグイン自体の追加費用はゼロです。ただし3段階レビューのうち「ターン終了時レビュー」と「コミット時レビュー」はモデル呼び出しを伴うため、それらのトークン消費はプランの利用量にカウントされます。1段目のパターンチェックはモデル呼び出しなしで完全無料です。

3段階の自動レビュー:深さと速さのバランス設計

このプラグインが特徴的なのは、チェックの「深さ」が3段階に分かれている点です。速いが浅い処理から、遅いが深い処理へと自動的にエスカレーションする設計で、コスト効率と検出精度を両立しています。

security-guidance プラグインの3層レビュー構造図
3層の自動レビュー:速さと深さのトレードオフを自動で切り替える(Anthropic公式ドキュメントをもとに作成)

第1層:ファイル編集ごとのパターンマッチ(コスト:ゼロ)

Claude がファイルを書き込むたびに、モデル呼び出しなしの高速な正規表現マッチングが走ります。危険なパターンが見つかると、その警告を Claude のコンテキストに追記し、次のアクションで対処を促します。同一ファイルの同一パターンは1セッション1回のみ発火するため、同じ警告で会話が埋まることはありません。

  • 動的コード実行eval()new Function()os.system()child_process.exec()
  • 安全でないデシリアライズpickle
  • DOM インジェクションdangerouslySetInnerHTML.innerHTML =document.write()
  • ワークフローファイルの変更.github/workflows/ 配下への編集(リポジトリ権限を付与しうるため)

第2層:ターン終了時のdiffレビュー(バックグラウンド実行)

「ターン」とはユーザーが1回メッセージを送り Claude が応答を完了するまでの単位です。ターン終了後、そのターンで変更されたすべてのファイルの git diff をまとめて、別の Claude Opus 4.7 インスタンスがセキュリティ視点でレビューします。コードを書いた Claude とは別のモデル呼び出しのため、自分が書いたコードを自分で採点するバイアスがかかりません。

レビューはバックグラウンド実行なので Claude の応答速度には影響しません。問題が見つかった場合、Claude は自動的に再プロンプトされ、同セッション内で修正まで完結します。1ターンで最大30ファイル、連続発火は最大3回までに制限されており、意図せずループしない設計です。

  • 認可バイパス:本来アクセスできないリソースへのアクセスパス
  • 安全でない直接オブジェクト参照(IDOR):ユーザーIDやリソースIDの検証不足
  • インジェクション:SQLインジェクション、コマンドインジェクションなど
  • サーバーサイドリクエストフォージェリ(SSRF):内部サービスへの意図しないリクエスト
  • 弱い暗号化:非推奨アルゴリズムの使用

第3層:コミット・プッシュ時のエージェント型レビュー(最も深い)

Claude が Bash ツールを通じて git commit または git push を実行すると、変更だけでなく関連するコードパス・呼び出し元・サニタイザー・周辺ファイルまで読み込む、より深いエージェント型レビューがバックグラウンドで走ります。コンテキストを広げて読むことで、「孤立して見ると危険だが、実際のコードベースでは安全」なパターンを正確に判定し、誤検知(フォールスポジティブ)を抑えます。

コミットレビューの対象に注意

このレビューは Claude が Bash ツール経由で実行したコミット・プッシュのみが対象です。開発者自身がターミナルや ! シェルエスケープで実行したコミットはスキャンされません。また1時間あたり最大20件のレビューに制限されています。

インストール方法

以下の前提条件を満たしていれば、Claude Code セッション内でワンコマンドでインストールできます。

  • Claude Code CLI バージョン 2.1.144 以降
  • Python 3.8 以降(python3pythonpy -3 のいずれかが PATH に存在すること)
  • git リポジトリ:第2・第3層レビューは git の状態をもとに動作します。リポジトリ外では第1層のパターンチェックのみ動作します
plain
# Claude Code セッション内で実行
/plugin install security-guidance@claude-plugins-official
/reload-plugins
インストールコマンド(Claude Code セッション内で実行)

インストール後、スコープを選択するプロンプトが出ます。「ユーザースコープ」を選ぶと、そのマシンで起動するすべての Claude Code セッションで自動的にロードされます。初回実行時に ~/.claude/security/ 配下に Python 仮想環境を自動作成し、Claude Agent SDK をインストールします(pip とネットワークアクセスが必要)。

クラウドセッションへの適用

ユーザースコープでインストールしたプラグインは、ブラウザ版の Claude Code(Anthropicインフラ上で動作)には引き継がれません。クラウドセッションや共有リポジトリで有効にするには、リポジトリの .claude/settings.json に設定を追加してください。

json.claude/settings.json
{
  "enabledPlugins": {
    "security-guidance@claude-plugins-official": true
  }
}
リポジトリ全体・クラウドセッションに適用する場合の設定

独自ルールで自社のセキュリティ基準を追加する

組み込みのチェックに加えて、プロジェクト固有のセキュリティルールを追加できます。2種類の拡張ポイントが用意されています。

モデルレビューへの追加指示(Markdownファイル)

.claude/claude-security-guidance.md を作成し、自然言語でセキュリティ基準を記述すると、第2・第3層のモデルレビューがその内容を追加コンテキストとして参照します。たとえば「/admin 配下のルートには必ず require_role("admin") を呼ぶ」「customer_id を INFO レベル以上でログに出力しない」といったプロジェクト固有のルールを組み込めます。ユーザースコープ(~/.claude/)、プロジェクトスコープ(.claude/)、ローカルスコープ(.claude/*.local.md)の3ヶ所に置けるため、組織全体の共通ルールと個人の追加ルールを分離して管理できます。

パターンマッチへの追加ルール(YAMLファイル)

.claude/security-patterns.yaml に正規表現またはサブストリングルールを追加すると、第1層のパターンチェックで検出されます。APIキーのプレフィックス(sk_live_AKIA など)や、マルチテナントコードでのフィルタリング漏れ(例:.objects.all() の無制限呼び出し)など、ビジネスロジック固有のリスクを組み込むのに適しています。

yaml.claude/security-patterns.yaml
patterns:
  - rule_name: internal_api_key
    substrings: ["sk_live_", "AKIA"]
    reminder: "ハードコードされたAPIキーです。シークレットマネージャーから読み込んでください。"
  - rule_name: tenant_unfiltered_query
    regex: "\.objects\.all\(\)"
    paths: ["**/src/tenants/**"]
    reminder: "マルチテナントコードでは org_id でフィルタリングしてください。"
カスタムパターンルールの例

組織全体への展開(チーム・Enterprise)

管理者は [マネージドセッティングス](/en/admin-setup) の enabledPlugins 設定で、組織内の全ユーザーに一括でプラグインを適用できます。個人がプラグインを無効化した場合、その設定はユーザーの .claude/settings.local.json に書かれるため、リポジトリの設定ファイルは変更されず他のメンバーには影響しません。

組織共通のセキュリティルール(.claude/claude-security-guidance.md)は、デバイス管理ツールで ~/.claude/ に配布することで、全メンバーのユーザースコープに適用できます。プロジェクト固有のルールはリポジトリの .claude/ に置いてコミットします。

他のセキュリティ対策との位置づけ

このプラグインはセキュリティの「入口」に位置します。AI時代のクラウドリスクとセキュリティ対策でも触れているように、コード生成 AI の導入とセキュリティ対策は同時に考える必要があります。Anthropicの公式ドキュメントでは、以下の多層防御スタックの中で位置づけを明示しています。

段階ツールカバー範囲
セッション内(最も早い)security-guidance プラグイン(本プラグイン)Claude が書いたコードの一般的な脆弱性。同セッション内で修正まで完結
オンデマンド/security-review コマンド現在のブランチに対して任意タイミングで実行するセキュリティパス
プルリクエスト時Code Review(Team・Enterpriseプラン)フルコードベースコンテキストを持つマルチエージェントによる正確性・セキュリティレビュー
CI/CD既存の静的解析・依存関係スキャナー言語固有ルール、サプライチェーンチェック、ポリシー適用

プラグインは「後工程に届く問題の量を減らす」ことを目的としており、CI・PRレビューの置き換えではありません。30〜40%のセキュリティ指摘削減という内部テスト結果も、PRレビューを廃止できるという意味ではなく、後段のレビュアーがより本質的な問題に集中できるようになる、という文脈で捉えるのが正確です。

おさらい:できることとできないこと

  • できること:eval / pickle / DOM injection などの危険パターンをファイル編集時に即検出(モデル不要)
  • できること:認可バイパス・IDOR・インジェクション・SSRF・弱い暗号などをターン終了後にdiff全体でチェック
  • できること:コミット時に周辺コードまで読んだ深いエージェント型レビュー
  • できること:Markdown や YAML でプロジェクト固有ルールを追加
  • できること.claude/settings.json 経由でリポジトリ全体・クラウドセッションへの適用
  • できないこと:組み込みチェックを個別に無効化(全レイヤーの ON/OFF 切り替えは可能)
  • できないこと:開発者自身が実行したコミットのスキャン(Claude の Bash ツール経由のコミットのみ対象)
  • できないこと:完全なセキュリティ保証(多層防御の1レイヤーとして位置づける)

内部テストの結果

Anthropicの内部ロールアウトでは、このプラグインを使ったプルリクエストでセキュリティ関連のコメントが 30〜40% 減少 したと報告されています。「PRに届く前に問題を潰す」シフトレフトの効果が数字に出ています。

まとめ

Claude Code の security-guidance プラグインは、モデル不要の高速パターンチェック・バックグラウンドdiffレビュー・コミット時エージェントレビューという3層構成で、コーディングセッションにセキュリティチェックを埋め込みます。全プラン無償で提供され、ワンコマンドでインストールでき、既存の開発フローを変えずに導入できます。CI・PRレビューの完全な代替ではなく、「問題をできる限り早い段階で検出・修正し、後工程の負担を減らす」という位置づけです。なお、モデルレビューのトークン消費がプランの利用量に影響する点については、Claude Codeのレート制限ガイドも参考にしてください。

Claude Code をすでに利用しているチームであれば、今すぐセッションで /plugin install security-guidance@claude-plugins-official を実行するだけで試せます。チーム・Enterprise プランの管理者は、.claude/settings.json や managed settings を通じて組織全体に一括展開することも可能です。

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