製造業の生成 AI 事例は多く公表されていますが、製品を売る側の紹介記事だけでは、何を人が確定し、どこまで AI に任せているのかが読み取れません。対象は、企業の公式発表と官公庁の白書に載った 12 件です。公表期間は 2023 年 11 月から 2026 年 6 月で、生成 AI を中心に業務別に並べました。設備制御の 1 件と海外の 1 件は生成 AI 以外の AI が主役で、比較のために入れています。
整理の軸は、当社が FDE(Forward Deployed Engineer。顧客の現場に入って AI を本番稼働まで運ぶ職種。解説記事)として案件に入るときの見方です。AI が何を出し、人が何を確定し、根拠を何に置いているか。この 3 点が公表資料から読める事例だけを選びました。製造業の AI 導入を設計する側の考え方は前回の記事に書いたので、今回は他社が実際に何をしたかを追います。
先に断っておくと、ここに並ぶ削減率や精度は、各社が自社の特定の業務で測った数字です。同じ道具を入れれば同じ数字が出るという意味ではありません。何を測ったか、試験運用なのか提供開始なのかを、事例ごとに添えてあります。
選んだ 12 件のうち業務に適用したものは、図面・規格の照合、品質トラブルの記録検索、設備故障の診断、現場ノウハウの形式知化、電力など設備の制御の 5 つに分かれる。設備制御の 1 件を除き、AI が候補や下書きを出し、設計者・品質保証担当・保全技術者が確定する。削減幅が大きい事例は、照合・検索・下書きなど時間のかかる定型業務に AI を使っていた。生産全体を AI に任せて稼働済みの事例は、今回確認した資料には無い。
この記事の要約
数字で見る現在地——利用は広がったが、製造データで効果を出せた事業者は約 4 割
まず全体の温度です。総務省の令和 8 年版情報通信白書では、生成 AI の活用方針を「わからない」と答えた企業を除いた回答のうち、何らかの業務で生成 AI を利用している日本企業は 86.4% で、2024 年度の調査から大幅に上昇したとあります。製造業に絞った数字は、調査も指標も別物ですが、経済産業省ほかの2026 年版ものづくり白書(2026 年 5 月)にあり、製造プロセスで何らかのデータを取得している事業者は 7 割弱、そのデータを活用して効果が得られた事業者は約 4 割です。企業間のデータ連携は 2 年前からほぼ変化がなく、AI・デジタル技術の活用では知識・ノウハウと人材確保の難しさが課題として挙がっています。
中小企業に目を移すと、中小企業庁の2026 年版中小企業白書(2026 年 4 月)で、2019 年以降に省力化投資として AI 活用に取り組んだ中小企業は 30.3%。取り組んでいない理由の上位は「活用する業務がイメージできていない」63.4%、「活用を推進する人材が不足している」40.0%、「社内ルール・ガイドラインが整備されていない」26.2% です。活用する業務をイメージできていない 63.4% の会社に向けて、以下は業務別に並べています。
| 出典 | 数字 | 何を示すか |
|---|---|---|
| 総務省 令和 8 年版情報通信白書 | 86.4% | 何らかの業務で生成 AI を利用している日本企業の割合(活用方針を「わからない」と答えた企業を除く) |
| 経産省ほか ものづくり白書(2026 年 5 月) | 7 割弱 → 約 4 割 | 製造プロセスのデータを取得している事業者 → 活用して効果が得られた事業者 |
| 同上 | 2 年前からほぼ変化なし | 企業間のデータ連携の状況 |
| 中小企業庁 中小企業白書(2026 年 4 月) | 30.3% | 2019 年以降に AI 活用に取り組んだ中小企業 |
| 同上 | 63.4% / 40.0% / 26.2% | AI を活用していない理由の上位 3 つ(業務がイメージできない / 人材不足 / 社内ルール未整備) |
2 つの白書は調査も対象も違うので一直線には比べられませんが、生成 AI の利用が広がる一方で、製造データを活用して効果を出せた製造事業者は約 4 割にとどまる、という現在地は読めます。以下の事例は、効果を出した側の公表資料です。
設計——AI で図面と仕様書を照合する
設計部門では、パナソニック コネクトが図面照合の削減率を公表しています。2026 年 2 月 19 日の発表によると、設計・開発部門で PDF の図面と設計仕様を照合する業務に「Manufacturing AI エージェント」を社内展開し、従来 1 件あたり 50 分から 340 分かかっていた作業が約 10 分になり、作業時間を 80% から 97% 削減したとあります。仕組みは、複数の PDF 図面から文字情報を自動で抜き出し、材質や仕上げといった仕様項目を AI が照合して一覧に出すもので、Snowflake というデータ基盤の上の AI 機能(Cortex AI)で作られています。

FDE の目で見ると、これは「人が目で突き合わせていた作業を、AI が一覧にして人が確認する」形です。AI が出すのは照合結果の一覧で、採否を決めるのは設計者。根拠は図面と仕様書という、社内にすでに正本がある文書です。適用先を「規格の照合」と「外装部品の照合」に限定して始め、他の照合業務へ横展開する、と発表にあります。
同じ会社の全社的な数字も公表されています。2025 年 7 月 7 日の発表では、社内向け AI アシスタント「ConnectAI」の利用で 2024 年に年間 44.8 万時間を削減し、利用回数は 240 万回、1 回あたりの削減時間は 28 分とあります。削減時間は前年の 2.4 倍(利用回数は約 1.7 倍)で、増えた理由として「聞く」から「頼む」への使い方の変化と、画像や文書を扱えるようになった技術の進歩を挙げています。全社で使える仕組みが先にあり、図面照合のような業務特化の仕組みが後から載った、という順番も読み取れます。
品質保証——過去のトラブル対応記録を検索し、レポートの下書きを出す
日立製作所は、品質保証部門の業務を支援する AI エージェント「品質ナレッジシステム」を、2026 年 4 月から製造業向けに提供開始したと2026 年 6 月 4 日に発表しました。機器故障などのトラブルが起きたときに品質保証部門が担う、過去のトラブル対応記録の検索と、対応レポートの作成を支援するものです。自社の大みか事業所(茨城県日立市)に先行導入した結果として、トラブル対応事例の検索時間を 1 件あたり 60 分から 5 分に、対応レポートの作成時間を 120 分から 15 分に、不具合の原因分析時間を 16 時間から 3 時間に短縮したと、注記に具体的な時間が書かれています。
作り方が具体的に書かれています。熟練者がどのようなキーワードや順序で情報を探索し判断してきたかを分析して 100 件以上の業務知見を AI に組み込み、プロンプトの改善とチューニングを重ねたことが効果につながった、と発表にあります。熟練者の探し方を先に言葉にする作業を、日立の AI 専門組織と現場の熟練者の間で行った形です。
AI が出すのは検索結果とレポートの下書きで、顧客に出す前に担当者が確定します。3 つ目の機能として挙がっている「多角的な品質状況分析」は今後の追加予定です。提供開始時点の機能とは区別して読む必要があります。
設備保全——故障の原因と対策を 10 秒で提示し、保全技術者が採否を決める
ダイキン工業と日立は、設備保全の実証結果を数値で公表しています。2025 年 4 月 22 日の発表によると、ダイキンの堺製作所臨海工場(大阪府堺市)で、保全技術者がタブレットで点検中にポンプやバルブなどの故障を見つけたとき、その原因と対策を提示する AI エージェントの試験運用を 2025 年 4 月に始めました。事前の実証で、10 秒以内に 90% 以上の精度で原因と対策を回答できることを確認した、とあります。

ダイキンが蓄積してきた工場設備の図面を、生成 AI が読めるナレッジグラフに変換します。それに保全記録などの現場データ(OT データ)と、日立が持つ設備故障の原因分析プロセス(OT スキル)を学習させ、一般的な保全技術者と同等以上の診断を目指す構成です。試験運用は 2025 年 9 月までに完了して実用化する予定と書かれています。AI が提示した原因と対策の候補を、保全技術者が確認して採否を決めます。
同じ構成を化学プラントに持ち込んだのが、日立と三菱ケミカルの2025 年 12 月 24 日の発表です。三菱ケミカルの東海事業所(三重県四日市市)で、動力設備や制御装置の故障を見つけたときに原因と対策を提示する AI エージェントの共同検証を始めました。P&ID(配管と機器の図面)をナレッジグラフに変換し、保全記録と分析プロセスを学習させる点は堺の事例と同じで、プロセス産業の設備に適用するのは日立として初めてとあります。高温・高圧や有害物質を扱う現場で、熟練の設備管理技術者と同等以上の速さと正確さを出せるかを検証する、と目的が書かれています。


現場ノウハウ——危険予知とカイゼンに熟練者の知識を使う
旭化成は2024 年 12 月 9 日の発表で、生成 AI の活用先を 2 つ挙げています。1 つは材料の新規用途探索の自動化で、文献データから 6,000 以上の用途候補を出し、ある材料では候補の選別にかかる時間を従来の約 40% に短縮した。もう 1 つが製造現場の技術伝承で、事故や災害を防ぐために作業者が潜在リスクを洗い出す「危険予知」の活動に、過去事例を学習させた生成 AI を使い、経験の浅い従業員でもリスクと対応策を洗い出せるようにした、とあります。熟練社員の高齢化と退職を課題として明記しているのが特徴です。
中堅の自動車部品メーカーでは、旭鉄工が、経済産業省のデジタル人材に関する審議会の資料(2023 年 11 月)で自社の取り組みを説明しています。自社のカイゼンのノウハウを集めて生成 AI に答えさせる「カイゼン GAI」と、設備の稼働データを自社の視点で解釈して問題点を自動で指摘する「AI 製造部長」の 2 つで、カイゼンの民主化と人材育成を目的に据えています。同じ資料には、IoT を使ったカイゼンで労務費を年 4 億円削減(2015 年比)、電気使用量を 26% 削減(2013 年比)とあり、生成 AI の前に稼働データを集める仕組みが先にあった、という順番が読み取れます。
2 社とも、過去の事例や自社のノウハウを AI に与え、リスクの洗い出しや問題点の指摘に使っています。危険予知の最終判断も、カイゼンの実行も、現場の人に残っています。過去事例やノウハウをどう集めて文書にしたかは、2 社の資料からは読めません。当社の案件では、ここがいちばん時間のかかる工程で、ベテランへの聞き取りを先に予定に入れておかないと後の段階が進みません。
設備の制御——電力の需要予測と再エネの受電計画を AI が立てる
生成 AI に限らず「フィジカル AI」と呼ばれる領域では、日立がトヨタ自動車東日本の岩手工場(岩手県胆沢郡金ケ崎町)に納入したエネルギー管理システム「EMilia」が2026 年 4 月 20 日に発表されています。生産情報・気象情報・電力量の実績から電力需要を予測し、設備の制約を加味して再生可能エネルギーの受電計画を自動で立案し、分散型の電源を制御する。試運転ではインバランス率(計画と実績のずれ)1% 前後で運用できたとあります。工場が 2026 年 3 月から運用している「金ケ崎レジリエンスグリッド」の中核で、平常時は再エネの地産地消、停電時は自立運転で工場と地域の防災拠点に電力を供給する構想の一部です。
この事例では、人が 1 件ずつ確認して確定する工程を挟まず、AI が作った計画を制御に使います。その代わり、インバランス率という結果指標で運用の良し悪しを測っています。AI に確定まで任せる業務は、こうした結果指標と、外れたときの戻し方がセットで要る。当社が[エージェントの権限と停止の記事]({PERM})で書いた線引きが、そのまま当てはまる事例です。
大企業の全社 AI 基盤と、工場・車載機器で動かす技術
個別業務への適用に加え、全社で AI を使うための仕組みも整備されています。パナソニック コネクトの ConnectAI は先に触れました。三菱電機は2025 年 6 月 18 日の発表で、FA 事業などで保有するデータを学習させた製造業向けの言語モデルを、計算資源に制約のある環境やオンプレミス(自社設備内)で動く大きさで開発したとしています。デンソーテンは2026 年 6 月 16 日の発表で、車載機器の中で RAG(社内文書を検索してその結果をもとに AI が回答を作る構成)を省メモリで動かす技術を開発し、公開データでの評価で既存モデルよりメモリ容量を 30% から 60% 削減しながら検索精度を維持した、とあります。
この 2 件は、工場の設備や車載機器、コールセンターのようなオンプレミス環境で AI を動かすための技術発表です。ただ、外に出せないデータをどこで処理するかという論点は、中小企業がクラウドの AI を使うときにも同じ形で出てきます。データの扱いの記事で整理した 6 項目のうち、保存場所と学習利用の 2 つは、規模に関係なく最初に決める項目です。
海外では、Siemens が 2026 年 1 月の CES で NVIDIA と共同の「Industrial AI Operating System」を発表し、ドイツ・エアランゲンの自社工場を、AI を使って状況の変化に対応する製造拠点の最初の例として 2026 年に立ち上げるとしています。同じ発表で、PepsiCo が工場の改修をデジタルツインで事前に検証し、処理能力を 20% 上げ、物理的な変更の前に潜在的な問題の最大 90% を見つけた、という数字が紹介されています。設計・製造のソフトに 9 種類の「Industrial Copilot」を載せる話も含まれており、生成 AI は設計・製造データの操作を助ける役として位置づけられています。
中小製造業の事例——85 名の部品メーカーが AI で作った 30 以上の業務アプリ
大企業の事例が続きましたが、中小企業白書には規模の近い事例が載っています。石川県金沢市の岡田研磨(建設機械・産業機械向け部品の加工・組立、従業員 85 名)は、図面などの情報が紙と Excel で管理され属人化していた状態から、生成 AI でプログラムを作れることを知った専務が AI との対話を通じて自社の情報統合管理システム「OKADA Board」を開発した、と白書の概要にあります。生産管理・労務管理・原価管理をはじめ 30 以上のアプリを載せて情報を一元管理し、従業員のノウハウ共有にも AI を使い、労働時間の削減と売上高の増加につながった、という記述です。
この事例が示しているのは、生成 AI の最初の使い道が「業務そのもの」ではなく「業務の道具を作ること」だった、という点です。白書には開発の進め方までは書かれていませんが、紙と Excel の台帳を自社の仕組みに移す作業なら、当社はExcel 台帳の移行の記事で書いた棚卸しと並行稼働を挟みます。AI はその作業を速くする道具です。人材不足を理由に AI 活用を見送っている 40.0% の会社には、AI で業務用の道具を作る方法が最も取り組みやすいと当社は考えています。
業務に適用した 7 件に見える 4 つの型——AI が出すもの、人が確定するもの
12 件のうち、業務に適用した 7 件(パナソニック コネクトの図面照合、日立の品質ナレッジ、ダイキン×日立、日立×三菱ケミカル、旭化成、旭鉄工、日立×トヨタ自動車東日本)は、AI と人の分担で 4 つの型に整理できます。残りの 5 件(ConnectAI、三菱電機、デンソーテン、Siemens、岡田研磨)は全社基盤・技術開発・道具作りで、この型の外に置きます。この表では、FDE が案件の初めに決める、AI に任せる範囲を比較できます。
| 型 | AI が出すもの | 人が確定するもの | 根拠になる社内データ | 該当する事例 |
|---|---|---|---|---|
| 照合・検索 | 突き合わせ結果の一覧、該当する過去記録 | 採否、顧客への回答 | 図面・仕様書・トラブル対応記録 | パナソニック コネクト(図面照合)、日立(品質ナレッジ) |
| 診断の提示 | 原因と対策の候補 | 現場での処置 | 設備図面、保全記録、原因分析の手順 | ダイキン×日立、日立×三菱ケミカル |
| ノウハウの形式知化 | リスクの洗い出し、問題点の指摘、カイゼンの提案 | 対策の実行、教育 | 過去の危険予知記録、稼働データ、カイゼン記録 | 旭化成、旭鉄工 |
| 計画と制御 | 需要予測と受電計画 | 結果指標の監視、外れたときの介入 | 生産計画、気象、電力実績 | 日立×トヨタ自動車東日本 |
上の 3 つの型では、AI の出力は人が内容を確認してから業務に使います。公表されている削減率は、照合・検索・レポート作成・原因分析といった対象業務ごとの所要時間の差です。4 つ目の型だけ AI の出力が直接使われ、その代わり結果指標で運用を測っています。自社でどの型から始めるかを決めるときは、最初の 3 つでは参照する正式なデータが社内に揃っているかを、4 つ目では評価指標と、結果が外れた場合の対応手順を先に決められるかを確認します。

数字を読むときの 4 つの注意
公表数字はそのまま社内の企画書に写したくなりますが、次の 4 点を添えないと、経営会議で「うちでも 97% 減るのか」という誤解を生みます。
- 測っている業務が狭い パナソニック コネクトの 80〜97% は図面と仕様の照合という 1 業務、日立の 60 分から 5 分はトラブル事例の検索という 1 業務の数字。部門全体の工数ではない
- 段階が違う ダイキンの 10 秒以内・90% 以上は試験運用を始める前の実証実験(5 種類の設備で各 5 件、熟練者 2 名が評価)の値、日立×三菱ケミカルは共同検証の開始時点、日立の品質ナレッジシステムは自社先行導入を経た提供開始。同じ表に並べても同じ重みではない
- 発表者が売り手のことがある 日立の 3 件と Siemens は製品として提供する側の発表。測った場所もばらつき、品質ナレッジシステムは日立の自社工場、EMilia はトヨタ自動車東日本の工場での試運転、PepsiCo は自社工場での初期導入の値。売り手の発表では、どこで誰が測ったかを必ず見る
- 土台が先にある ConnectAI の年間 44.8 万時間や旭鉄工の労務費 4 億円は、全社基盤や IoT の整備が先にあって出た数字。業務特化の AI だけを入れて出た数字ではない
当社は案件で、公表事例の数字を目標値に使いません。代わりに、自社の 1 業務で 20 件ほど試して測った数字を出発点にします。その測り方は評価設計の記事に書きました。
自社で始めるならどの順番か——事例から逆算した 3 段階
公表資料を読む限り、業務に適用した事例の多くは、社内に正式な参照資料があり、人の確認を経て完了する業務から始めています。当社が FDE として製造業を支援する際の導入順序は次のとおりです。期間は当社が案件で置いている目安で、事例各社の所要期間ではありません。
| 段階 | 業務 | 手本になる事例 | 先に揃えるもの | 目安の期間(当社提案) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 図面・仕様・見積の照合、過去の問い合わせやトラブル記録の検索 | パナソニック コネクト、日立(品質ナレッジ) | 図面と記録の正本、誰が採否を決めるか | 着任から 4〜6 週 |
| 2 | 日報・危険予知・作業手順の下書きと、ノウハウの聞き取り | 旭化成、旭鉄工、岡田研磨 | ベテランへの聞き取り時間、記録の保存場所 | 6〜10 週 |
| 3 | 設備の故障診断、保全記録からの原因提示 | ダイキン×日立、日立×三菱ケミカル | 設備図面、保全記録、原因分析の手順書 | 10 週以降。試験運用を挟む |
段階 1 と 2 は、AI の出力を人が確認してから使う型なので、誤りがあっても影響を止めやすい。段階 3 は現場の処置に直結するため、公表事例でも試験運用と共同検証を挟んでいます。この順番は90 日ロードマップの記事にある週ごとの計画に組み込めます。社内文書の検索を先に整える手順はRAG の記事にあります。
まとめ
業務に適用した 7 件は、照合・検索、診断の提示、ノウハウの形式知化、計画と制御の 4 つの型に整理でき、削減幅が大きい事例では、照合・検索・下書きなど時間のかかる定型業務に AI を使っています。設備制御の 1 件を除き、根拠は各社の図面・保全記録・過去のトラブル対応記録にあり、AI の出力を設計者・品質保証担当・保全技術者が確定しています。生産全体を AI に任せて稼働済みの事例は、今回確認した資料にはなく、Siemens が計画として公表している段階です。
白書が示すとおり、生成 AI の利用は広がっても、製造データを活用して効果を出せた製造事業者は約 4 割です。紹介した事例では、参照する正式な資料を定め、熟練者の検索手順を言葉にし、確認担当者を決めていました。それを顧客の現場で代わりに進めるのが FDE の仕事で、製造業での線引きは前回の記事に書いています。
FDE を募集しています(会計FDE/FDE・業務システム)
経理の月次をAIで本番まで持っていく「会計FDE」(会計士・経理責任者・管理部門経験者)と、要件が固まる前に動くものを出して本番まで運ぶ「FDE(業務システム)」(ITコンサル・PM/PL・情シス出身者)を正社員で募集しています。応募でなくても構いません。まず30分の「キャリア相談」から。採用のお問い合わせフォームに「キャリア相談希望」と書いて送ってください。
自社の図面・日報・保全記録で、どの型から始められるかを一緒に見ます
公表事例の数字を目標にするのではなく、貴社の 1 業務で 20 件ほど試して測るところから始めます。参照する正式な資料の保管場所、AI の出力を確認して採否を決める担当者、誤った場合の復旧手順を最初の 2 週間で決め、本番稼働まで支援します。経理AX・kintone・案件管理システムの刷新・Claude 導入を本番稼働まで支援した経験を、製造業でも生かします。