Agentforceとは?Einsteinとの違いを3分で理解する

Salesforceの画面に並ぶ「Einstein」と「Agentforce」、何が違うのか。度重なるブランド名変更が混乱を招くが、覚えるべきは1つ——役割の違いだ。Einsteinは数値やスコアを提示する「教えるAI」、Agentforceは人の代わりにタスクを実行する「動くAI」。10シナリオの使い分けと、両者を補完的に組み合わせる連携パターンを3分で整理する。

Salesforceの画面に「Einstein」と「Agentforce」、2つのAI機能が並んでいるのを見て、「何が違うの?」と思ったことはありませんか。

名前が何度も変わってきた経緯もあり、混乱するのは当然です。この記事では、EinsteinとAgentforceの違いを"役割"の観点からすっきり整理します。

📚 Agentforce 連載シリーズ 全 5 回

SalesforceのAI、なぜわかりにくいのか

SalesforceのAIは、2016年の「Einstein」登場以降、何度もブランド名が変わってきました。

時期名称役割
2016年Einstein予測・分析AI
2023年Einstein GPT生成AIを追加
2024年前半Einstein CopilotAIアシスタント
2024年後半Agentforce自律型AIエージェント
2025年〜Agentforce 2.0 / 2dxさらに進化

Einstein Copilotが突然「Agentforce」に改名されたり、CRM Analyticsが「Tableau Einstein」になったりと、名前の変遷が混乱の原因です。

ただし、覚えるべきポイントは1つだけ。EinsteinとAgentforceは「役割が違う」ということです。

Einstein(分析AI)とAgentforce(自律型AI)の役割の違いを示す図
EinsteinとAgentforceの役割の違い

Einstein = 判断を助けるAI

Einsteinは、データを分析して数値やスコアを提示するAIです。

たとえば、リードの画面を開いたときに「このリードの成約確率は85点」と表示されるのがEinstein Lead Scoringです。商談画面で「この案件は停滞リスクあり」と出るのがDeal Insightsです。

Einsteinの主な機能は次のとおりです。

機能何をしてくれるか
Lead Scoringリードの成約可能性をスコア表示
Opportunity Scoring商談の受注確度をスコア表示
Deal Insights商談の停滞リスクを通知
Forecasting売上予測の精度を向上
Case Classificationケースの自動分類・優先度判定
Next Best Action次にとるべきアクションを推薦

共通しているのは、Einsteinは「こうした方がいい」と教えてくれるが、実際に手を動かすのは人間という点です。

Agentforce = 代わりに動くAI

一方のAgentforceは、人間の代わりにタスクを実行するAIです。

お客様からの問い合わせに自動で回答したり、リードに対してメールを送ったり、社内のITヘルプデスクとして対応したり。「判断して終わり」ではなく、「判断した上で行動する」のがAgentforceの特徴です。

現在、Agentforceには以下のエージェントが用意されています。

エージェント何をしてくれるか
Service Agent顧客からの問い合わせに自動応答
SDR Agentリードへのメール送信・商談獲得
Sales Coach営業担当へのロールプレイ指導
Personal ShopperEC上での商品提案・購入支援
Campaign Agentマーケティング施策の自動生成

AgentforceにはAtlas Reasoning Engineという推論エンジンが搭載されており、「質問を分析→必要なデータを取得→回答を生成→回答の品質を確認」というループを自律的に繰り返します。

Atlas Reasoning Engineの処理フロー図
Atlas Reasoning Engineによる自律的な推論ループ

10シナリオで見る使い分け

「この業務にはEinstein? Agentforce?」という疑問に、具体例で答えます。

やりたいこと使うべき機能理由
リードの優先順位をつけたいEinsteinスコアリングで数値化
リードに自動でメールを送りたいAgentforceSDR Agentが代行
商談の受注確度を知りたいEinsteinOpportunity Scoringで予測
商談のロールプレイで練習したいAgentforceSales Coachが対話
ケースを自動分類したいEinsteinCase Classificationで振り分け
ケースに自動回答したいAgentforceService Agentが対応
売上予測の精度を上げたいEinsteinAI Forecastingで分析
社内ITヘルプデスクを自動化したいAgentforceITサポートAgentが回答
顧客の解約リスクを検知したいEinstein予測モデルでスコア化
解約リスクの顧客に自動連絡したいAgentforceプロアクティブに行動

迷ったときの判断基準はシンプルです。

「数値で知りたい」→ Einstein 「AIに動いてほしい」→ Agentforce

両方を組み合わせるのがベスト

EinsteinとAgentforceは対立するものではなく、補完関係にあるのがポイントです。

たとえば、以下のような連携パターンが考えられます。

パターン1 — 解約防止

1. Einsteinが解約リスクの高い顧客を検知(スコアリング) 2. Agentforceが該当顧客に自動でフォローメールを送信(タスク実行)

パターン2 — リード対応

1. Einsteinがリードをスコアリングして高確度のリードを特定 2. Agentforce SDRが高スコアのリードに自動でアプローチメールを送信

パターン3 — ケース対応

1. Einsteinがケースの内容を自動分類・優先度判定 2. Agentforce Service Agentが低〜中優先度のケースに自動回答

Einsteinが分析・判断し、Agentforceが実行する。この組み合わせによって、人間の介入を最小限にしながら業務を回すことが可能になります。

EinsteinとAgentforceが連携して業務を自動化するフロー
EinsteinとAgentforceの連携フロー

料金の違い

項目EinsteinAgentforce
基本利用Enterprise Edition以上に標準搭載別途ライセンスが必要
追加費用の目安多くの機能が追加費用なし月額$2/会話(従量課金)または月額$125/ユーザー〜
高機能プランEinstein 1 Edition(現Agentforce 1 Edition)Agentforce 1 Edition — $550/ユーザー/月

Einsteinの主要機能(Lead Scoring、Opportunity Scoringなど)は、Enterprise Edition以上であれば追加費用なしで利用できます。

一方、Agentforceは別途ライセンスが必要です。料金体系は以下の3パターンがあります。

従量課金 — 1会話あたり$2(外部顧客向けチャット) ユーザー単位 — 月額$125/ユーザー(社内利用向け) Flex Credits — $0.10/アクション(非対話型の処理向け)

まずはEinstein機能で自社データの分析精度を確認し、効果が見えたところでAgentforceの導入を検討するのが現実的なステップです。

まとめ

EinsteinAgentforce
役割分析・予測・スコアリングタスク実行・自動対応
動き方数値を出して人間に判断材料を提供人間の代わりに行動
代表機能Lead Scoring、Deal InsightsService Agent、SDR Agent
費用Enterprise Edition以上で標準搭載別途ライセンス($2/会話〜)
一言で言うと「教えるAI」「動くAI」

SalesforceのAIは名前が変わりすぎて混乱しがちですが、「教えるAI(Einstein)」と「動くAI(Agentforce)」という2つの役割さえ押さえておけば、今後どんな新機能が登場しても整理できます。

Agentforceシリーズ 全5回

第1回(この記事) Agentforceとは?Einsteinとの違いを3分で理解する [第2回](/blog/salesforce-agentforce-use-cases-30/) Agentforceで何ができる?業種・業務別ユースケース30選 [第3回](/blog/salesforce-agentforce-beyond-chatbot/) チャットだけじゃない!Agentforceの6つの起動パターン [第4回](/blog/salesforce-agentforce-global-case-studies/) Agentforce導入企業の成果まとめ — 世界12,000社の実績データ [第5回](/blog/salesforce-agentforce-getting-started/) Agentforce導入の始め方 — 失敗しないための5ステップ