CRM選定で見るべき4つのポイント
CRMを比較検討する際、以下の4つの観点を押さえておくと、導入後の「思っていたのと違った」を防げます。
1. 料金体系と総コスト
月額のユーザー単価だけでなく、最低契約人数・初期費用・有料オプションも含めた「年間の総コスト」で比較することが大切です。たとえばKnowledge Suiteはユーザー数無制限の定額制のため、社員数が多い企業ほど1人あたりのコストが下がります。一方、Mazrica Salesは最低5ユーザーからの契約のため、少人数のチームでは割高になる場合があります。
2. 必要な機能の見極め
「全部入り」の製品を選ぶのではなく、自社の営業プロセスに合った機能を持つ製品を選びましょう。パイプライン管理を重視するならPipedrive、名刺管理を起点にしたいならSansanやHotProfile、マーケティングと一体で運用したいならHubSpotやKairos3が強みを持っています。
3. 日本語サポートの充実度
グローバル製品の中には、UIは日本語対応でもサポートやドキュメントが英語のみの製品があります。社内にIT担当者が少ない場合は、日本法人がある製品や国産CRMを選ぶと安心です。
4. カスタマイズ性と拡張性
「ノーコードでどこまでカスタマイズできるか」は、運用開始後の満足度を大きく左右します。kintoneやCreatioはノーコードの柔軟性に優れ、Zoho CRMはCanvas画面デザイナーで独自のUI設計が可能です。
全24製品 比較一覧表
グローバルCRM 12製品
国産CRM/SFA 12製品
料金は2026年3月時点の調査に基づいています。ドル建て製品は1ドル=約150円で換算しています。最新の正確な価格は各製品の公式サイトでご確認ください。
グローバルCRM 12製品の詳細
Microsoft Dynamics 365 Sales
Outlook・Teams・Excel・SharePointとシームレスに連携し、Microsoft 365を社内標準で使っている企業には最も自然な選択肢です。Copilot(AI)によるメール下書きや商談サマリーの自動生成にも対応。Power Platform(Power Apps/Power Automate)によるローコード拡張が可能で、IT部門がある中堅〜大企業に適しています。
日本マイクロソフトによる日本語サポートと充実したドキュメントが利用でき、日本語UIも完全対応しています。
HubSpot CRM
無料プランでもコンタクト管理・取引パイプライン・基本レポートが使えるため、スタートアップや初めてCRMを導入する企業に人気です。Sales Hub・Marketing Hub・Service Hubを組み合わせることで、マーケティングからカスタマーサポートまで一貫した顧客体験を構築できます。
1,000以上のアプリ連携に対応し、HubSpot Japan(東京オフィス)による日本語サポート、HubSpotアカデミーの日本語コースも充実しています。ITreviewで103件以上のレビューがあり、G2スコアは4.4/5と高評価です。
Zoho CRM
月額1,680円/ユーザーのスタンダードプランでも、顧客管理・商談管理・ワークフロー自動化・レポートがフルに使えるのが最大の魅力です。エンタープライズプラン以上ではAIアシスタント「Zia」が利用可能になり、売上予測やリードスコアリングも自動化されます。
Zohoスイート全体で50以上の自社製品(メール、プロジェクト管理、会計など)と連携でき、Canvas画面デザイナーでUIのフルカスタマイズも可能です。ゾーホージャパンが国内サポートを提供し、ITreviewでは5年連続Leader受賞と高い評価を得ています。
Oracle CX Sales
Oracle ERPやHCM Cloudとの統合が最大の強みで、特にB2Bで検討期間が長い大型案件の管理に適しています。テリトリー分析や売上予測機能が充実しており、Adaptive Intelligenceによる予測分析も利用可能です。料金は非公開で個別見積もりが必要なため、Oracle製品を既に利用している大企業向けの選択肢です。
SAP Sales Cloud
SAP S/4HANAを基幹システムとして利用している企業にとって、もっとも自然なCRMの選択肢です。生成AIによるセールスレコメンデーションや、SAP BTPでのローコード/ノーコード拡張に対応しています。製造業や小売業での導入実績が多く、世界40万社以上の顧客基盤を持つSAPのエコシステム内で統合的に活用できます。
Pipedrive
営業パイプラインのビジュアル管理に特化しており、ドラッグ&ドロップで案件のステージを直感的に管理できます。シンプルなUIで学習コストが低く、小規模な営業チームが「今日何をすべきか」を一目で把握できる設計です。
400以上のアプリ連携に対応し、AIセールスアシスタントも搭載。日本語UIは対応していますが、公式サポートは英語のみのため、日本では株式会社Mer(国内マスターパートナー)が日本語サポートを提供しています。ITreview満足度は4.5/5と高評価です。
Freshsales
3ユーザーまで無料、有料プランもGrowthプランが約1,350円/ユーザーと非常に低価格ながら、AI「Freddy」によるコンタクトスコアリングやディールインサイトが利用できます(Proプラン以上)。Freshworksエコシステム(Freshdesk、Freshchat等)との統合で、営業からカスタマーサポートまでカバーできます。
G2スコア4.5/5、Capterra 4.5/5と高評価。2019年に日本市場へ本格進出しており、日本語UIと日本語サポートに対応しています。
monday CRM
monday.comのプロジェクト管理プラットフォームをベースにしたCRMで、営業管理とタスク管理を1つのツールで完結できるのが特徴です。ノーコードでボード・カラム・ワークフローを自由に設計でき、200以上のアプリ連携にも対応しています。
日本では日立ソリューションズや三井情報が国内パートナーとしてサポートを提供。Capterra 4.7/5と非常に高い評価を獲得しています。最低3シートからの契約で、少人数チームでも始めやすい価格設定です。
Zendesk Sell
Zendesk Supportを利用している企業にとって、営業とサポートの情報をシームレスに共有できるのが最大のメリットです。リード・商談のスコアリング機能を搭載し、営業活動の優先順位付けを自動化できます。
Zendesk日本法人による日本語サポートとドキュメントが充実。1,000以上のマーケットプレイスアプリで拡張できます。
Creatio
ビジュアルBPMデザイナーによるビジネスプロセスの自動化が最大の特徴で、GartnerのMagic Quadrantでリーダーに選出された実力派です。Freedom UIデザイナーで画面レイアウトもノーコードでカスタマイズ可能。G2 4.7/5、Capterra 4.7/5とグローバルで最高クラスの評価を獲得しています。
2023年にBlueMemeグループのOpenModelsが日本独占販売契約を締結し、日本市場への本格展開を開始。日本語UIとサポートに対応しています。
NetSuite CRM
CRM・ERP・Eコマースがワンプラットフォームで統合されており、リード獲得から受注・請求・入金までを一気通貫で管理できます。「CRMとERPを別々に導入して連携に苦労している」という課題を根本から解決する製品です。
ただし、基盤費用が月額$999〜と高額で、初期導入費用も$25,000〜$250,000と幅があるため、投資対効果を十分に検討する必要があります。
SugarCRM
B2B営業に特化し、Sugar Studioによるノーコード設定からPHP/JavaScriptによるフルカスタマイズまで幅広い拡張が可能です。オンプレミス版(Sugar Enterprise)も提供されており、セキュリティ要件の厳しい企業にも対応できます。AIアシスタント「SugarPredict」による売上予測機能も搭載しています。
日本ではシステムプラネットやDHI等のパートナーが日本語サポートを提供しています。
国産CRM/SFA 12製品の詳細
kintone(サイボウズ)
「CRMとして売られている製品」ではなく、ノーコードで業務アプリを自由に構築できるプラットフォームです。顧客管理・案件管理・日報など、自社の業務フローに合わせたアプリをドラッグ&ドロップで作成できます。
100以上のプラグインでGoogle Workspace、Slack、freee、Money Forward等と連携可能。ただし、SFA専用の機能(パイプライン管理など)は標準では用意されていないため、自分で構築するか外部プラグインを利用する必要があります。ライトコース(月額1,000円)ではAPI連携・プラグインが使えない点に注意が必要です。
Sansan
名刺をスキャンするだけでAI-OCRが正確にデータ化し、100万件以上の企業データベースと紐づけて自動で顧客DBを構築してくれます。商談や営業履歴も名刺情報に紐付けて管理でき、「名刺の山が会社の資産に変わる」体験は他のCRMにない独自の強みです。
Salesforce、Marketo、kintone、HubSpotなど主要ツールとの連携にも対応。ITreviewでは701件のレビューで3.9の評価を獲得し、名刺管理部門で5年連続Leaderに選出されています。
eセールスマネージャー(ソフトブレーン)
185業種以上の導入実績を持つ国産SFAの老舗です。日本企業特有の「根回し」「稟議」といった営業プロセスを想定した設計がされており、利用継続率95%という高い定着率を誇ります。
Basicプラン(月額3,500円)は5〜30名向けの手頃なプランで、EnterpriseプランではAPI連携やAI機能(有料オプション)も利用可能。esm appliというノーコードツールで独自アプリの作成にも対応しています。
Mazrica Sales(マツリカ)
カード形式の案件ボードで商談の進捗を直感的に管理でき、「誰でもすぐに使い始められる」UIが最大の特徴です。Growthプラン以上ではAI予測機能が使え、過去の商談データから受注確度を自動で算出してくれます。
Gmail・Outlook連携、Slack・Chatwork連携、freee・Money Forward連携など、日本で人気のツールとの連携が充実。ITreview満足度4.0と高評価です。初期費用無料で、無料トライアルから始められます。
GENIEE SFA/CRM(ジーニー)
10ユーザー込みのスタンダードプランが月額34,800円(1人あたり3,480円)と低価格ながら、AIによるスコアリング、着地予測、案件の健康状態監視といった高度な機能を搭載しています。平均1〜2ヶ月で導入でき、初期設定から運用支援まで手厚いサポートが受けられます。
ITreview Grid Award 2023 Fall SFA/CRM部門でLeaderを受賞。コストを抑えつつもAI機能を活用したい中小企業に適しています。
JUST.SFA(ジャストシステム)
パネル形式の直感的なUIで、プログラミング不要で画面レイアウトを自由に変更できます。売上予測や集計分析の機能が充実しており、CAMCARD BUSINESS、Sansan、freee会計、Slack、Teams、Google Workspaceとの連携にも対応しています。
ITreview満足度3.9。具体的な料金は個別見積もりのため、導入前に費用感を確認することをおすすめします。
Knowledge Suite(ブルーテック)
ユーザー数無制限の定額制が最大の特徴です。たとえばSFAスタンダード(月額55,000円)を50名で使えば1人あたり1,100円、100名なら550円と、社員数が多いほどコストメリットが大きくなります。グループウェア+SFA+CRMが一体化しており、追加費用なしで利用機能を段階的に増やせます。
ストレージ容量(5GB〜150GB)による課金制のため、容量を超えないよう運用管理が必要です。
UPWARD
位置情報を活用した顧客マップ表示、訪問ルートの最適化、滞在時間の自動記録など、外勤営業に特化した機能が充実しています。モバイルファーストの設計で、営業担当者が外出先からスマートフォンで効率的に活動報告できます。
Salesforce CRMやMicrosoft Dynamics 365との連携に対応しており、既存CRMの「外勤営業向けアドオン」として利用するケースも多いです。継続率99.0%は全CRM製品の中でもトップクラスの数値です。
Kairos3(カイロスマーケティング)
MAとSFAが一体になっているため、マーケティングで獲得したリードを営業に引き渡す際のデータ断絶が起きません。音声データから商談の要約を自動記録するAI機能も搭載しており、営業活動の入力負荷を大幅に軽減できます。
専任IT部門がない中小企業でも導入しやすく、初期費用無料で導入期間中の定期サポートが付きます。Zoom、Salesforce、Sansanとの連携にも対応。ITreview満足度4.2と高い評価を得ています。
Synergy!(シナジーマーケティング)
顧客データベースを軸に、メール配信・LINE配信・Webアンケート・フォーム作成を組み合わせるモジュール型のCRMです。BtoCのマーケティング運用に強みがあり、セグメント配信やタイミング最適化の機能が充実しています。
サポートセンターの無料利用が可能で、顧客満足度は90%以上。ITreview Grid Award 2026 Winter CRM部門で5年連続Leaderを受賞しています。SFA機能は限定的なため、法人営業向けではなくBtoC顧客管理に適した製品です。
b→dash(データX)
CDP(顧客データプラットフォーム)・MA・BI・Web接客・メール配信をノーコード(SQL不要)で統合管理できるオールインワンツールです。EC、人材、金融、ホテルなどBtoC企業での導入が中心で、b→dash AIによる生成AIを活用した顧客アプローチの最適化にも対応しています。
ITreview満足度4.3、BOXIL SaaS AWARD 2025 MAツール(BtoC)部門で1位を獲得。上位プランは月額100万円を超えるため、投資対効果の検証が重要です。
HotProfile(ハンモック)
名刺管理・SFA・MAの3つの機能が1ツールに統合されており、名刺をスキャンするだけで顧客DBが自動構築され、そこから商談管理や見込み客の発掘まで一気通貫で行えます。反社チェック機能も標準搭載されているのはユニークな特徴です。
名刺管理だけのHotProfile Lite(月額800円/ユーザー)から始めて、必要に応じてSFA・MA機能を追加できる段階的な導入が可能です。ITreview Grid Awardを4年連続受賞しています。
企業規模別おすすめCRM
小規模企業(〜50名)向け
- HubSpot CRM — 無料プランで基本機能がすべて使える。成長に合わせて有料プランへアップグレード
- Zoho CRM — 3名まで無料、有料でも月額1,680円〜と圧倒的なコストパフォーマンス
- Freshsales — 3名まで無料、AI機能付きで月額約1,350円〜
- Pipedrive — 月額約2,100円〜。パイプライン管理のシンプルさが魅力
中堅企業(50〜500名)向け
- Mazrica Sales — 直感的UIとAI予測。国産で日本語サポートも万全
- GENIEE SFA/CRM — 低価格ながらAI機能が充実。短期間で導入可能
- Kairos3 — MA+SFA一体型で、マーケティングから営業まで一気通貫
- monday CRM — プロジェクト管理と統合したい企業に最適
- Creatio — BPM(ビジネスプロセス管理)を重視する企業に
大企業(500名以上)向け
- Microsoft Dynamics 365 — Microsoft 365を標準で使っている企業に最適
- SAP Sales Cloud — SAP ERPユーザーにとって自然な選択肢
- Oracle CX Sales — Oracle ERPとの深い統合
- NetSuite CRM — ERP+CRM一体型で業務を統合
- Knowledge Suite — ユーザー数無制限の定額制で大人数でもコスト管理しやすい
目的別おすすめCRM
CRM乗り換え時の注意点
データ移行の計画を立てる
既存CRMからのデータ移行は、CRM乗り換えで最も手間がかかるステップです。顧客情報・商談履歴・活動ログなど、移行するデータの範囲と優先順位を事前に決めておきましょう。多くのCRMはCSVインポートに対応していますが、カスタムフィールドやリレーションの再構築が必要になるケースもあります。
無料トライアルで実運用をテストする
ほとんどのCRMは14〜30日間の無料トライアルを提供しています。デモデータではなく、自社の実データを使って実際の営業プロセスを回してみることが重要です。「UIがきれい」だけでは選べません。日常の入力作業がどれだけ楽になるかを体感してください。
社内の定着を最優先に考える
高機能なCRMを導入しても、営業担当者が入力を面倒に感じて使わなくなれば意味がありません。最初から全機能を使おうとせず、まずは最低限の機能で運用を始め、定着してから段階的に機能を追加するアプローチが成功率を高めます。
契約条件を事前に確認する
最低契約期間、最低ユーザー数、解約時のデータエクスポート方法は必ず事前に確認しましょう。年間契約が必要な製品では、途中解約時に違約金が発生するケースもあります。また、将来ユーザー数が増減した際のコスト変動もシミュレーションしておくと安心です。





